絶望と人を喰らう者
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エピローグ
十年後。
荒廃した世界で唯一人間が暮らしている大きな街、『ティアティラ』
そこは、十年前には街の中心にシンボルとなる軍事基地にもなっていた大きなビルがあった。
しかし、内部で何が起こったのか、ビルは地下から大きく崩壊し、何も形を残すこと無く廃墟と化した。
軍隊は一人の司令官「間宮」という男が居たのだが、彼もこの事件で行方不明になっている。おかげで、司令と基地を失った元々数の少なかった軍隊は事実上解散し、皆傭兵になったらしい。
まだ兵士だった頃の市民、赤池はビルが無くなる前に喋るデセスポワールによって襲われた後、そのデセスポワールがビルの中へ入っていくのを見たらしい。多分、奴のせいだろうっと彼は語っている。
そのデセスポワールも行方不明で、どこに行ったのかは不明だが……
噂ではあのビルでは何かの研究所があるらしく、中には人体実験をしていたっという話があったり等、未だに謎が多く残されている。
今では軍隊も無く、実質傭兵だけでデセスポワールと戦う機関が無い事から、人類は緩やかな滅亡に向かっていった。
だが、そんな時代に希望の光があった。
まだ十七才という若さの少女、夢見アリスと彼女といつも共に付き添っている白銀の少女、雫。
彼女達は未だ人類の天敵であるデセスポワールをたった二人だけでことごとく倒しており、アリスの方はその美しい外見と金髪が特徴的だからか、現代に蘇ったジャンヌ・ダルクとまで言われている。
そんな二人は現在、いつものように外へ出ていた。
外の世界はデセスポワールが闊歩している人間にとっては死の世界だが、二人は昔から既に歩き慣れており、和やかな雰囲気で会話をしていた。
「今日こそ見つかるかな、ね、雫?」
「分からないな…… もう何年探したと思っているんだい?」
「あの時からもう十年だもんねー、時が経つのって早いねー。もう雫より大きくなったしお姉ちゃんになってしまったもん」
「まだ年では私が姉なんだがな」
雫はそう苦笑いで答えると、アリスが彼女の言葉にクスクス笑う。
「ねぇ、アリス」
「なーに?」
雫は少し目を伏せて、それから。彼女にとっては数え切れないような同じ言葉を再び口にした。
「もう、彼を探すのはやめにしよう。彼はもう見つからないよ」
すると、アリスはいつものように笑顔で答える。
「いーやだ、だってそこで諦めたらきっと私はもう生き甲斐が無くなってしまうしそれに、私は彼が大好きだから。だから、彼がどこかへ居なくなっても、その背中を追いかけるつもりだよ!」
「もう、かれこれ十年も経つのにアリス、君はどうして諦めない…… 自分も死んでしまうかもしれないんだよ?」
「私は死なないよ、だって、彼がまだ帰ってきてないんだから。例え、腕がもげ、足を切り落とされても絶対私は天国なんかに昇らない。ふふっ、雫。いつも心配してくれてありがとうね」
アリスは俯いている雫の頭を撫でて、微笑みながら彼女に感謝をする。
撫でられていた雫は少し頬を染めながらも「ふっ……」っとクールに笑い。
「当然だ、ナナシからまだ約束を果たしてもらっていないからな……」
っと答えた。
アリスは彼女を微笑みながら見て、それから歩き始めた。
だが、その時。
「あらら、デセスポワールだ」
「街から出てすぐに遭遇するなんて運が無いね」
目の前に、彼女達人間とは別の生き物。人間の天敵であるデセスポワールが姿を現していた。
その瞬間、二人の瞳が大きく見開き、アリスは驚きで口元を手で押さえる。
化け物の姿が、 彼女達を驚かせていた。
頭部は前後に細長い形状をしておりエリマキトカゲみたいな傘が付いている。目は無い。口には凶悪な大量の牙が生えており、身体は爬虫類を思わせるような四足で尻尾の先端には切れ味の良さそうな刃が付いていた。
しかし、ある部分を見て、アリスはがっかりする。
「あら、なんだー、違うの………… あれ、でも……」
それは、あの化け物の背中に、翼みたいなものが付いていたから。それに、化け物は彼女達を見るやすぐに駆け、尻尾を振りながら襲いかかってきたからだ。
しかし、アリスは若干違和感を感じた。
何だか、どこか懐かしい感じがしたからだ。
「すぐに片付けよう」
雫はそう言うと、自身の爪を鋭利なナイフのように伸ばし、戦闘態勢を取る。
アリスも取り敢えず悩みを振り払い、彼女に頷くと腰のホルスターから、かなり使い込まれた古いピストルとリボルバーを同時に取り、デセスポワールへと狙いを定めた。
「天羅、結月ちゃん。今日も力を貸してね」
そして彼女は祈るようにそう呟くと、二丁の拳銃を放つのだった。
後書き
これにて、本作は完結です。読んでくれた読者の皆様、ここまで付いて来て下さり、本当にありがとうございました! 本当は色々書きたいシーン等がありましたが文章量が圧倒的に多くなったり、作者の実力不足から省いた所が何箇所かあります。作者のやる気がもしあれば、また改稿する時に出すかもしれませんが……
一応オーバーラップ文庫に出す予定でしたが、今のところこの作品を出すことに決めあぐねてます(何故作ったし)。正直まだまだ出せるレベルでは無いと作者が自負してる。誤字とか脱字多いしね。
ともかく、二度目になりますが、ここまで読んでくださって本当にありがとうございました!
また、新しい作品を投稿するかもしれませんので、その時も是非お読み下さったら幸いです。
それではまたノシ
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