転生とらぶる
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マクロスF
0723話
「ねえ、アクセル。この穴……どう思う?」
ランカの関係者――恐らくは両親――と思われる者の研究室で、手分けしてバジュラに関しての情報を探していた俺達。そんな中でシェリルが見つけたのは、部屋の中に空いている穴だった。
いや、その穴がただの穴ならここまで騒ぐことはなかっただろう。そもそも、このマクロス級はバジュラに襲われて調査船団の者は全滅したのだから、それを考えれば、この艦に多少の損害が出ていてもおかしくはない。
だが、その穴にこの研究室の機器から各種のケーブルが伸びて繋がっているのを考えれば、話は別だ。この部屋にあるコンピュータを調べて発覚した、つい最近消去されたデータ。それらを考えると、恐らくは……
「ねえ、アクセル。この穴ってどう考えても色々な意味で重要そうな手掛かりなんだけど……どうする?」
パワードスーツを着てはいるものの、さすがに1人でこの穴の中に突入するのは止めた方がいいと思ったのか、シェリルがそう尋ねてきた。
だが、そうだな。確かにいいチャンスではある。
「分かった、一緒に行こう。けど、その前にちょっと待っててくれ。まだちょっとやるべき事がある。シェリルはこの穴に異変が無いかをちょっと見ててくれ」
「ちょっと、穴を見ててって……何かあったらどうするのよ」
「心配いらないって。すぐ戻って来るから。……ただ、そうだな。確かS.M.Sでやってた撮影に関係して銃の撃ち方を習ってたよな? ほら、『銀河の妖精、銃を取る』とか何とか」
「なっ、い、いきなり何を言ってるのよ! 変な事、思い出させないでよね!?」
……どうやら、シェリル本人としてもあのキャッチフレーズは色々と恥ずかしいものがあるらしい。いわゆる、黒歴史って奴だな。
「まぁ、とにかくだ。銃の撃ち方は分かるんだろう?」
「あたしを誰だと思ってるの? シェリル・ノームよ。そのくらい当然でしょ」
アイドル、歌姫、シンガー。それらと全く関係の無いだろう銃の撃ち方とシェリル・ノームがどんな関係があるんだろうな? ふとそんな風に思ってはみたものの、正直にそれを口に出すような真似はしない。それで責められるのは目に見えているし。
とにかく俺は持っていた銃をシェリルへと手渡す。
「なら、取りあえずこれでも持っててくれ。この銃があれば多少異変が起きても安心出来るだろ?」
「え? ちょっ、いいの!?」
「大丈夫だよ、すぐに戻って来る。それにお前に何かあったら俺が守ってやるって前に言っただろ? 安心して待ってろよ」
「……ふ、ふんっ。そこまで言うなら、少しは信じてあげるわ!」
強がっているかのような言葉を発し、銃口を穴の中へと向けながらそう告げるシェリルをその場に残し、俺は先程の……バジュラの標本があった場所へと戻る。
「標本を持って帰るにしても、まずこれをどうにか取り外さないといけないよな」
標本の入っている培養ポッドは周囲と一体化しているように設置されている。いやまぁ、変形するマクロスの中で迂闊に取り外しが出来るようにしたら貴重なバジュラの標本が破壊されるかもしれないと思えば、こうするのが正しいのは事実だ。
その代わり、取り外しが出来ないんだけどな。
もっとも、こういう時にはこうすればいい。
「スライム」
シェリルに聞こえないような声で呟き、スライムを出す。そして、空間を素早く銀線が走り、培養ポッドの周辺を切り刻む。そのまますぐにスライムを戻し、バジュラの培養ポッドに影響が無いかどうかを確認して空間倉庫の中へと収納する。
「よし、取り合えず入手は完了っと」
まぁ、良く考えたらフロンティア船団はバジュラの巣を確保しているんだから、幼生体と思われるバジュラのサンプルは普通にありそうだけどな。……この手の類は多くありすぎて困るということもないだろうから、構わないか。
後は……ここがランカの関係者の研究室だとしたら、ランカの為にも何か形見の類を持って行ってやりたいところだ。
そう思って周囲を見回しても、特にこれといった物は無い。シェリルが砕いてしまったフォトフレームがあれば持っていったんだけどな。そう思った時、シェリルのいる方から声が聞こえて来る。押し殺したような、それでいて切羽詰まったような声。
「ちょ、ちょっとアクセル、まだなの? 何かこの穴の下から変な音が聞こえてくるんだけど!」
その声を聞き、これ以上ここを探っている時間が無いと判断する。
まぁ、最悪帰りにまた寄ればいいんだし……何よりも優先するべきはランカに形見を届ける事じゃなく、バジュラの情報を得る事だしな。
そして先程の場所へと戻ると、そこでは銃を手にしたまま気味悪そうに穴の中を覗いているシェリルの姿が。
「アクセル、遅いわよ」
穴の中から聞こえて来る音を刺激しないようにだろう、微妙に小声でそう文句付けてくる。
「悪いな、一応この穴を調べた後でまたここに来れるとも限らないから、粗方調べてきたんだよ」
「……で、何かあったの?」
「いや、特には何も無かった。けど、何も無かったってのが分かっただけでもある意味では収穫だろ」
そもそも、バジュラについてのデータは消した癖にバジュラの標本は残したまま。これってどういう事なんだろうな? まるで、直接ここに来てデータを消去したんじゃなくて、遠距離からコンピュータにアクセスしてデータを消去したような。
……そうなると、俺の思い込みもあるのかもしれないけど、ますますインプラントをしているグレイスが怪しくなるような気がする。
「ま、確かにそうね。ここにはこれ以上の情報は無い。それが理解出来ただけでも十分よ。じゃ、この穴なんだけど……」
チラリ、と穴を覗き込み、次に俺へと視線を向けながら呟くシェリル。
まぁ、シェリルの着ているパワードスーツは簡易型で飛行ユニットも付いていない以上は俺が連れて行くしかない訳で。
「いい? へ、変な場所に触ったりなんかしたら絶対に許さないんだからね!?」
結局穴を降りていく体勢として、俺が先程と同様銃を持ったままのシェリルを横抱きに……俗に言うお姫様抱っこをしながらとなるのだった。
そもそも、シェリルもパワードスーツを着てるんだから変な場所を触るも触らないも無いと思うんだけどな。
まぁ、それを言えばまた色々と言い返されるのは目に見えているので、何も口にはしないが。
そのままシェリルを横抱きにしつつ、EX-ギアの飛行ユニットを使って穴の中を降下していく。暗い状態ではあるが、EX-ギアには暗視装置も内蔵されているので特に問題は無い。……俺は、だが。
「ちょ、ちょっと。何でこんなに暗いのよ。明かりくらい点けない?」
「この穴の下に何が潜んでいるのか分からない以上、迂闊な真似は止めた方がいいと思わないか?」
「……分かったわよ。けど、いい? 絶対にあたしを離したりしないでよ」
そう言いながら、離されて堪るかとばかりに首へと回している手へと力を込めるシェリル。
本来ならシェリルの魅惑的な肢体の感触を堪能出来るんだろうが、残念ながら今はその身体をパワードスーツが覆っている。その為、特に何を感じる出もなくシェリルを抱き上げながら下へ、下へと進んで行き……
「随分と深いな。どこまで続いているんだ? このままだと、かなりの距離を降りる事になるぞ」
「ちょっと、まさか地獄に続いてるとか言わないでしょうね?」
腕の中で呟くシェリル。
この時代になってもまだ地獄っていう概念は残っていたんだな。
そんな風に思いつつ、徐々に下へと降りていき……
「アクセル、あそこ見て。明かりよ」
「どうやらようやく到着……か」
やがて穴を降りきり、その場に目に入ってきた光景は……
「バジュラ……? そんな、なんでこんな場所にバジュラがいるのよ」
腕の中でシェリルが思わずといった様子で呟く。
そう、穴の下には巨大な……巨大すぎるバジュラが存在していたのだ。全長にして、恐らく300mから500m程度はあるだろう。体重がどのくらいになるのかは想像もつかない。少なくてもVFと比べるのは間違っていると言ってもいい。
更に問題なのは……
黙り込んでいる俺の腕の中から、そっとバジュラの様子を見ていたシェリルが何かに気が付いたかのようにその身を固める。
「た、卵……?」
そう。視線の先にいる初めて見るバジュラの周囲には、どう見ても卵としか思えない物が複数存在していた。
俺達が確保したバジュラの巣の中は見たことが無いので何とも言えないが、恐らくあのバジュラの巣の中にもこのような卵が大量にあったのだろう。
……あの難破船の規模から考えると、俺の視線の先にいるようなバジュラがいたとは思えないが。
こうして見る限りでは、下半身が肥大化していることもあって純粋な戦闘力では機動兵隊バジュラや重兵隊バジュラよりも随分と弱そうではある。恐らくは純粋に卵を産み、守り、孵化させ、育てる役目を持つのだろう。
蟻や蜂で言えば女王、つまりは女王バジュラってところか。
けどそう考えた場合、この女王バジュラがバジュラ達の親玉って事になるのか? それとも、あるいはこの女王バジュラと似たようなバジュラが他にもいるのか。
……恐らく後者、だな。
「ね、ねぇ。これからどうするの? このままここでこうしていてもしょうがないでしょ?」
「まあな。それをどうするべきか考えているんだけど、まさかバジュラの巣がここにあるとは思わなかったからな。ここにいるのはあの女王バジュラだけみたいだが、当然この近くには護衛となるバジュラもいるだろうし……それを考えれば、俺達だけでここをどうにかするのは無理だろうな」
正確には混沌精霊の能力を全開にすれば可能かもしれないが、まさかシェリルにそれを見せる訳にもいかないし、何よりもここを脱出した後で新統合軍やらオズマやらジェフリーやらから追究された時に誤魔化しようがない。
となると、オゴダイ辺りを呼んできて第33海兵隊の力を使ってこの艦を制圧するのがベストなのだが……いや、無理か。
あまりにも自分に都合のいい事を思い浮かべていたことに気が付き、小さく首を振る。
少し前……それこそ、1週間前の戦力をオゴダイ達が維持していたのならそれも可能だったかもしれない。だが、今はテムジンの反乱のせいで戦力が半減……とまでは言い過ぎだが、それでもかなり戦力ダウンしているのは事実だ。それを考えると、迂闊にこの艦の制圧を頼んだとしても逆に壊滅してしまう可能性の方が高い。
「だとすると……無難に新統合軍にこの件を知らせた方がいいだろうな」
「じゃあ脱出するの?」
「ああ、そっちの方がいい。ここで迂闊に奴等に見つかろうものなら、それこそ俺だけでバジュラの大群を相手にしないといけなくなる」
「……分かったわ。確かにその方がよさそうね。このままここで死んだりしたら、それこそ意味が無いもの」
シェリルが俺の言葉に頷いたのを見ながら、降下してきた時のように飛行ユニットを噴射させて穴を昇っていく。
にしても、降りてくる時も飛行ユニットを使っていたんだけど、音については鈍いのか? それなりに音が出てると思うんだが。
……あるいは、そう考えたのがフラグだったのだろう。飛行ユニットを噴射した途端、グリンとばかりに女王バジュラの視線がこちらへと向く。そう、まともに視線があったのだ。
「っ!? ちぃっ! シェリル、急ぐぞ!」
「え、ええ!」
シェリルに声を掛け、飛行ユニットを全開にして上へ、上へと昇っていく。
もう出来るだけ音を殺してとか、そんな風に言っていられるような状況ではない。
「アクセル、下からバジュラが……」
「くそっ、やっぱりこのまま見逃してはくれないか。けど、この穴の大きさだぞ?」
機動兵隊バジュラでも、大きめの個体では入って来る事は出来無い大きさ。だが、向こうにしてもそれを承知しているのか、追ってくる個体は小さめの者で構成されている。
「シェリルッ、取りあえず奴等を牽制する。銃口を下に! 当たらなくてもいいから、とにかく撃て!」
「任せなさい! あんなバジュラなんか、あたしが撃ち落としてやるんだから!」
その言葉と共に、下へと向けられた銃口のトリガーが引かれる。
縦穴の中が狭い故にガガガガッ、という射撃音が辺り一帯に響くが、幸いな事に俺のEX-ギアもシェリルのパワードスーツも、その辺の防護はしっかりしているので問題は無かった。
そしてシェリルが撃った銃弾も、ある程度の牽制にはなったらしい。あるいは、卵のある場所から俺達を追い払っただけで良しとしたのかもしれないが、とにかく穴から出て最初の研究所に戻った時には既に背後から追ってくるバジュラはいなくなっていた。
「シェリル、このまま機体のある場所まで戻ってオゴダイに連絡を入れる!」
「分かったわ!」
俺の言葉にシェリルが頷き、そのまま研究室の中を通り抜け――幸い、標本の件については見られなかった――研究所の外に出て、コックピットへと搭乗して機体を起動させる。
だが、次の瞬間……念動力が危険を感知し、殆ど反射的に機体をガウォークのまま上昇させる。そして、一瞬前まで機体のあった場所へと着弾するビーム。
「ちぃっ!」
「きゃあっ!」
俺は突然の攻撃に舌打ちをし、同時にシェリルはいきなりの機体の挙動に悲鳴を上げる。
そしてVF-25Sの映像モニタに映し出されたのは……
「またお前か、アンノウン!」
赤紫の機体色をした、どこかVF-25に似た機体の姿だった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:41
PP:735
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
???
???
撃墜数:656
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