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闇を祓う者~他人の恋愛見てニヤニヤし隊~

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原作開始前
  喪った者と手に入れたモノ 

 
前書き
今回は過去編。

以前千冬と束に話した話についてです。
伏線があったりなかったり?
 

 
 これは夢。彼方が戦いに対しての覚悟を決めた戦いの記憶。そして……彼方が大切な人を喪った決意の悲哀の記憶。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「アタシの名前はユーナ・ソードフォレスト。好きなものは争い。嫌いなものは馴れ合いだ。よろしく」
「俺の名前は賀狩彼方。好きなものは仲間。嫌いなものは争いだ。よろしく」

 目の前に現れた赤い髪の少女は、大体俺たちと同じ位の歳に見える。身体は引き締まっていて、俺たちの世界で言えば陸上をやっているような感じ。しかしスタイルは抜群で、出ているところは出ている……と考えていると叩かれた。

「変なこと今考えてなかった? 相手は敵よ?」
「分かってるっつーの。いつもの敵の観察だよ。というか色目なんて使わねえよ。俺にはお前がいるからな」
「もう……調子のいいこと言っちゃって」

 こいつは木南楓。俺の幼馴染であり、一番の親友であり、俺の最も愛する人だ。

「終わったか? じゃあ始めようぜ!」

 ユーナの声で意識を戦闘へと移す。ユーナは片手剣を右手に持って突っ込んでくる。それに対して俺は腰に佩いた剣の柄に手を触れながらタイミングを待つ。三、二、一、今だ!

「四神流 斬術青龍の型参番! 龍顎(りゅうがく)!」

 剣を鞘から抜きながら上に斬り上げ、すぐに斬り返し、袈裟に斬る。しかしユーナは驚きはしたものの、冷静に斬り上げをいなし身体を横にずらした。
 そこから剣の斬り合いになった。最初は互角に斬り合っていたが徐々にこちらが押してくる。何故なら楓が後ろから援護してくれているからだ。
 元々楓は弓道をしていた。そのため遠距離から攻撃する事が出来る。それに加えて楓はメイジタイプなので後方からの魔法での攻撃、仲間の回復も担当している。魔法耐性があるのなら弓で、物理耐性があるのなら魔法で攻撃、仲間の状況に応じて支援する。楓は遠距離のプロフェッショナルと言えるだろう。

「くそっ、やりにくいな!」
「そういう風に戦ってるからな! 文句は聞かねえよ!」
「文句なんか言わねえよ! 立派な戦術だからな。ある意味完璧なんじゃねえか?」
「お褒めに与り光栄だね!」

 その中でも闘いは加速していく。その最中斬り離れ、互いの間が空く。するとユーナは魔法を打ち出してくる。めんどくせぇ、魔法剣士だったのかよ! 剣を一度鞘に戻す。

「四神流 斬術青龍の型肆番! 龍息(りゅうそく)!」

 俺は剣圧を飛ばして相殺する。相殺出来たことに安心していると煙の中を切り裂いて脚が飛んできた。気を抜いていたところに来た蹴りを俺は避けることが出来ず脇腹に貰ってしまう。

「ガッ!」

 バキッと身体の中から嫌な音と共に激痛が走る。

「これは……数本……持ってかれた……かな……」
「油断大敵……だぜ?」
「ああ……まったくその通りだな!」
「彼方!」

 後ろから楓の魔法が飛んでくる。骨自体は治せないが、痛みは止まった。とりあえずまだ戦える!

「さあ、ユーナ・ソードフォレスト。第2ラウンドと行こうか!」
「いいねえ! そういうの大好きだ!」

 さっき迄の剣撃とは次元が違う速さで剣を交える。それに加えて拳や蹴りの応酬も始まる。戦いは怪我を負っている俺の劣勢のように思われたが、実際はユーナの方が防戦気味だった。勿論、楓のサポートがその理由だ。
 俺が蹴りを出せば相殺される。ユーナが掌打をくり出せばかわしてカウンターをする。それもかわされる。何発かお互い貰ってはいるが、決定的なダメージにはなり得ていない。それに俺のダメージは後ろから楓が回復してくれているためにほぼノーダメージだ。ユーナにのみ実質ダメージが通っていることになる。小さなものではあるがそれは確実にユーナに疲労をもたらしている。

「流石にキツイな……。そっちには後方支援の回復で実質ダメージ0。アタシにだけダメージがたまってく訳だ……。長期戦になったら負けるな」
「こっちも長期戦は遠慮したいな」
「なら?」
「全力で……」
「「叩き潰す!」」

 ユーナが詠唱に入る。その詠唱が進んでいくにつれてユーナの手に握られた剣が焔を纏っていく。

「おいおい、なんだよソレ見たこともねぇぞ」
「そりゃそうだろ。王国の奴等にはこれは使えねぇからな」
「成る程ね。流石にそれを喰らった痛いかな」
「痛いね確実に。だから大人しく喰らっとけ!」
「お断りだ!」

 それを皮切りにユーナが突っ込んでくる。焔を纏ったユーナの剣は斬り結ぶだけでも凄まじい熱量だ。しかし、それを操るユーナは涼しい顔をしている。おそらく術者には害を為さないのだろう。
 さてこれをどうやって攻略すればいいのだろう。生半可な水属性の魔法では太刀打ちどころか即座に蒸発してしまうだろう。後に残されたのは……

(カウンターしかないか……)

 ただ、これは賭けだ。下手をすれば失敗して死ぬのは俺だろう。

「死ぬのはいやだなぁ」
「はぁ? 何言ってやがる。当たり前だろ、そんなの!」

 独り言にユーナが答えた。そうだよな。でもどっちも死なないという結末はありえない。……もう終わらせないと。
 ユーナが袈裟に斬りかかってくる。俺はそれを撫でるように受け流す。

「なんだと!?」
「四神流 斬術青龍の型弐番! 龍身(りゅうしん)! これで終わりだぁ!」

 俺はそのままユーナに斬りかかる。しかし、俺はユーナの身体を斬る直前で止まってしまった。躊躇した。自分と同じ人の命を奪うことに。これまで斬ってきたモンスターたちも同じ命なのに。俺は怖くなった。その隙は大きなものだった。

「おらぁ!」

 ユーナが焔を飛ばしてきた。そんなこと出来たのか! 俺は咄嗟に避けた。避けてしまった(・・・・・・・)。その時だった。

「きゃああああ!」

 後ろから悲鳴と共に人の倒れる音を聞いたのは。

「……え?」

 後ろを見ると楓が倒れ伏していた。慌てて駆け寄る。

「楓? おい、楓!」
「ごめん、彼方。……愛してたわよ」

 楓はそのまま動かなくなった。

「楓? あ、あ、アアアアアアアアアア……!」


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「っ! ハァハァ……。ふぅ、夢か……」

 そこは自分の家だった。枕元に置いてある時計は午前2時過ぎを俺に知らせてくれた。いつもの起きる時間まで四時間以上ある。

「久しぶりに見ちまったな……。最近は見ること無かったのになぁ」

 楓を喪ってしまったあの日の夢。あのあとに続かなくて良かった。それにしても、あの戦いでユーナの死ぬ前に言ってたことがやはり残っている。

「……悪かったな、ありがとう」

 あとで聞いた話だと、ユーナはあんな奴では決してなかったらしい。元凶は、

「ヤネスか……」

 結局倒すことのできなかった悪魔。あいつは一体何だったのだろう。

「ああ、止めだ、止め。明日は流石に寝坊出来ん。千冬姉さんに殺される。流石に比喩だけど、俺負けないし」

 もう一度布団をかぶり直す。明日は入学式だ。それにしてもなんで今あの夢を? 最後にそんな疑問を持ちながら俺の意識は消えていった。


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 明日になってこの夢が一種の予知夢、またはフラグだと気づいた……。 
 

 
後書き
久々の短いスパンでの投稿です。

さて、次回から遂に、遂に! 原作開始です! それにあたりまして、アンケートを追加しました。一度参加した人もまだ参加していない人も参加してください! 詳しくは次の話へ! 追加したアンケートは期間が短いのでお気をつけ下さい。

それでわ!

追記 ツイッターなるものを始めてみました。よければフォローしてやってください。
kuroifarao1026です。 
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