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万華鏡

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第八十四話 リハーサルその三

「というか美優ちゃんスタイルいいから」
「似合ってるか?」
「ええ、可愛いわよ」
「だといいけれどな」
「とにかく服はもう決めてたじゃない」
 事前の話でだ、そうしたからだというのだ。それで彩夏は美優に対してもこう言うのだった。ゴスロリの服のままで。
「いけるって話して」
「それでなのね」
「そう、それに普通だから」
 ステージの上ではその日常生活の中では目立つゴスロリもだ、いけると話してそのうえでだった。
 四人の背中をだ、彩夏は笑顔で押して言った。
「やろう、私達の番になったら」
「普通だからか」
「普通、だからね」
 ゴスロリでもステージ上でなら、というのだ。
「楽しくやろう」
「普段と変わりなくか」
「そうしよう、普段のライブみたいに」
「このリハーサルもか」
「勿論本番もね」
 その時もだというのだ。
「楽しくやろう」
「普通にか。だから」
「一緒にな」
 こう話してだ、そしてだった。90
 五人は自分達の番までリラックスした、そして。
 自分達の番になりステージに立った、そこでだった。
 自分たちの歌を歌った、その中で歌う曲は五人でよく歌う曲にだった。
 卒業ソングだった、あの四十八人のアイドルグループの曲だ。バンドで歌われるこのグループでは移植の曲を歌った、その後でだった。
 歌舞伎調のルックスをした商業科のグループにだ、笑顔でこう言われた。
「よかったじゃない」
「よかった?」
「ええ、結構ね」
 こう五人に言うのだった。
「よかったわよ、私達と同じ位ね」
「そこで自分達より上とは言わないのね」
「あはは、そういうことはね」
 言わないとだ、商業科のグループは琴乃に返した。
「悪いけれどね」
「負けてないっていうのね」
「こっちも毎日練習してるからね」
 それだけに、というのだ。
「負けてないわよ」
「じゃあ本番も」
「競おうね、そうして」
 そしてだった、競いながら。
 リハーサルの練習を進めていった、そうして。
 それが終わってからだ、美優は共にリハーサルをした彼女達に笑顔でこう返した。
「中々やるじゃないか」
「お互いにね」
「そうよね」
「負けないぜ」
 絶対に、という口調で言うのだった。
「けれどな、負けないからこそな」
「お互いにね」
「いいライブにしようね」
「そうしような、いい先輩達だったからな」
 それ故にというのだ。
「こっちもライブ頑張るぜ」
「こっちもよ」
「私達もよ」
 笑顔で返す彼女達だった、商業科や工業科の娘達も。
「お世話になったからね、先輩達にも」
「それもかなりね」
「それだけにね」
「頑張らないとね」
「だよな、どうでもいい人達だとな」
 例えだ、先輩達でもだというのだ。 
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