とある碧空の暴風族(ストームライダー)
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新たなる力へ
Trick68_ウェーイとか間抜けな掛け声してろ!!
「いぃぃぃぃ~~~~やっほーーー!!!」
ハイテンションな叫びと共に、静かな水面から一転、大きな水柱を上げた。
「っぷは! 冷たくて気持ちいい~!!」
数秒後、水面から出した少女こと佐天涙子は、全身を脱力して空を見上げて浮かんでいた。
「さ、佐天さん! 大丈夫っ!?」
「平気ですよ、御坂さん。いつも練習している所よりも低いですから」
「低いって・・・結構な高さよ?」
御坂は少し恐怖し、四つん這いになりながら佐天が飛んだ地点へと行く。
そこは高さ10mはあるかと思われる大きな岩。
下には意外に深い川が流れており、水に浮いている佐天が見えた。
「大丈夫ですって!
ただ、躊躇して飛び下りる勢いが足りなかったら
その岩の側面に当たっちゃうかもしれないだけです」
「そんなこと言ったら余計に飛べなるなるわよ!?」
佐天の発言に引き腰になり、すぐさま御坂は岩の上からゆっくりと降りていった。
御坂達が訪れているのは合宿所の裏の山に流れる静かな渓流。
この学区は風紀委員や警備員の訓練に使われている。
もちろん人工的な訓練場所がほとんどだが、サバイバル訓練が出来るように
ちょっとした自然、この裏山の川のような自然あふれる場所もある。
とはいっても、意図的に造られた山や川が自然物なのか人工物なのか判断に困るところだ。
そんなところに来ていたのは水着を着た麗しい女子たち。
A・Tの特訓に夏休みを費やした佐天涙子。
そして数日前に急遽参加した御坂達、常盤台中学の5人。
そして美雪と美玲だ。
全員が容姿が良いのに加え、水着を着ていた。
ここに青い髪のピアス青年がいたら鼻血を出して歓喜していたに違いない天国のような光景だ。
A・Tのテストの後、信乃の提案で合宿所の裏にある山に遊びに来ていた。
信乃が提案した理由は、合格した7人へのご褒美と、今日まで特訓を頑張った佐天の為だ。
佐天は夏休み始まった日からずっと特訓をしていたのだ。それも毎日だ。
貴重な中学一年の夏休みを全てA・Tに捧げたにも関わらず、彼女は不満にも思っていなかった。
最初こそA・Tを求めた理由に思春期特有の淡い感情が混ざっていたが、
今ではしっかりと自分自身の感情で≪A・Tが好き≫と言えるほどに佐天涙子はなっていた。
そんな彼女を信乃は認めつつ、しかし夏休みの思い出が汗臭い特訓だけとなるのは申し訳ないと感じて、
せっかく彼女以外にも合宿所に来ているので川で遊ぶ事を提案したのだ。
偶然にも、今日は夏休みの最終日。思い出を残すのであれば一番印象に残る日だ。
ちなみに余談ではあるが佐天は夏休みの宿題を無事に終えている。
一応は≪小烏丸≫は学園都市統括理事でもある赤神の直接部隊だ。たかが夏休みの宿題を忘れて
成績を落とすなんて事になってはメンツにも関わる。
そのため昼は特訓、夜は計画的に宿題を消化していったのだ。
さらに余談ではあるが、佐天の親友である少女は夏休み最終日は宿題に追われていたりする。
閉話休題
夏休み最後の思い出に川で友人たちと遊んだらどうかと信乃からの提案であった。
信乃にとっては川で遊ぶ事が出来ればいいと考えていたが、そこにメイドの鏡こと千賀紗和琥。
「川で遊ぶのでしたら水着が必要ですね? ご用意しています」
「なんで用意してんの紗和琥さん? 真剣狂な合宿だったはずでしょ!?
遊ぶことなんて1%も予定していないのに何で水着を用意してるの!?」
「それはもちろん、メイドですから」
「答えになってない!」
などと信乃の本気のツッコミもありながらも一向は水着で川遊びをする事に決まった。
「いぃぃぃぃ~~~~やっほーーー!!!」
ということで冒頭に戻る。
川に来るなり、丁度いい飛びこみ場所を見つけた佐天は走り、その後を心配して御坂が追いかけてきた。
その光景を他のメンバーは呆れた感じで苦笑していた。
「佐天さんって、あのような性格でしたかしら」
「わたくしたちの記憶ではちょっと違ったと・・」
破天荒っぷりに泡浮と湾内。
「たぶん、佐天さんの常識とか日常の概念をぶち壊す経験をしたと思う・・・」
心当たりがあるのは幼馴染にして元凶(信乃)を一番知っている美雪は、遠い目をしていた。
「信乃と関わっていると、良くも悪くも常識とか分からなくなるの・・・。
だから佐天さんが性格変わったのも、信乃関連というか、A・T関連というか・・・」
言葉を濁しながらも、その元凶の事をハッキリと示していた。
「美雪お姉様、お気持ちは痛いほどに分かります。
かく言うわたしも常識を壊された一人でですから、とミレイは胸に手を当てて考え深く頷きます」
「わたくし達の常識も、大丈夫でしょうか?」
「安心して泡浮さん♪ ATの合格を貰った時点で、非常識の谷に落ち始めたから♪」
「落ちるってなんでしょうか!? その表現ですと自分ではどうにもできないように聞こえます!」
「・・・・・その通りです♪」「同じく、とミレイは明後日の方角を見ます」
家族としても、信乃の非常識には目を背けたいようだ。
「皆様、気を取り直して川で遊ぶのがよろしいかと。
せっかく新作の水着を着てらっしゃるのですから、時間がもったいないと思います」
一時停止している一向を、メイドの紗和琥が気分を変えるようにと言った。
「そ、そうですね。せっかく来ていますし」
「遊ぶことにしましょう!」
泡浮も湾内も無理矢理だが納得したようだ。
ちなみに婚后は、どちらかと言えば美雪達と同じ諦めた方の立場だった。
回数こそ美雪達と比べて少ないが、それでも信乃の非常識な面を見ているので、
そういった考えになっている。
泡浮はラブフィルターを通して信乃を見ているので、非常識な部分にも愛しさすら感じていた。
そのために非常識だと気付くまでに少し時間がかかったのだ。
川辺に着いた一同(一人は入水済み)に出来過ぎるメイド、紗和琥が声をかけた。
「皆様、A・Tの試験以降は自由時間として西折様から仰せつかっております。
昼食は川辺でバーベキューを用意いたします。存分にお遊び下さいませ」
「「「「「はーい!」」」」」
各自、準備運動を始めた。
佐天涙子に関しては試験組の見学をする前に少々ハードな朝錬をしていた。
その後、クールダウンの運動も兼ねて柔軟体操もしていたので、川を見た直後に≪アイキャンフラーイ≫をしても問題ないだろう。
佐天を除く、全員が真面目な常盤台生。準備運動の大切さを知っており、そのまま入水という愚を犯す者はいない。
「1,2,3,4・・・っと、そういえばさ~」
「どうかいたしましたか、御坂様」
「今朝、体重計に乗ったんだけど」
「た、体重がどうしたのでしょうか?」
年頃の乙女にとっては、否。淑女にとっては永遠の悩み、それが『体重』!!
A・Tの練習はハードだったが、それ以上に印象にあるのが美味しい食事であった。
朝・昼・夜の3食だけで、おやつやティータイムはない合宿であったが、その3食がとてつもなく美味しかった。
御坂が体重の話をした時、ほとんど反射的にカロリーの≪消費≫よりも≪摂取≫の方が気になってしまったのだ。
「あ、大丈夫よ湾内さん。悪い方の話じゃないから」
「そ、そうですか。申し訳ありませんわ。わたくし早とちりしてしまいました」
「いいって別に謝らなくても。私も体重計を見たときに食べ過ぎた事を思い出したから同じよ。
でもね、びっくりしたのよ! この数日で体重が一気に減ったのよ!」
「「「「えっ!?」」」」
婚后、湾内、泡浮、白井は驚いて同時に言った。
「お姉様、それは本当ですの!? ひデブ!?」
「ドサクサに紛れて抱きついてくるんじゃないわよ!」
いつも通り、白井のアタックは御坂の電撃によって沈められた。
「た、確かにウエストが細くなっていますの!」
「人に抱きついて何調べてんのよあんたは!」
電撃で沈められても、ただでは沈められない女。それが白井黒子だ。
「お姉様マニアのわたくし、黒子がお姉様のことで知らないないことはありませんの!
ウエストがサイズダウンしてますの!!」
「本当ですか!?」
「間違いありませんの、泡浮さん」
羨ましいそうに御坂を見つめる泡浮。彼女はやせている部類に入るが、それでもウエストが大きいのではないかと心配し過ぎる傾向にあるようだ。
良く見れば、御坂のウエストが引き締まったような印象を受ける。
以前に水着撮影会で見た彼女と比べてだから、大差はないが鍛えている感じがする。
あくまで感じるという程度だが。
「そういえばA・Tの運動って、エアロビクスと似たような効果があるらしいですよ」
突然、川の方から声が聞こえた。
先程、川上の岩場で飛び込みをした佐天涙子が仰向けになって流れてきていた。
完全に脱力した状態で、水の浮力のみに頼り切った体勢でリラックスしている。
「これ、合宿中に教えてもらったものですけど・・・・」
川から這い上がりATのエアロビクス、インラインビクスについて佐天は話し始めた。
曰く、有酸素運動と無酸素運動を組合わせた運動。
曰く、ダイエットやシェイプアップに効果がある。
曰く、当時の美女たちには当然の嗜みとも言われていた。
「なるほど。それで佐天さんのカモシカ脚、脚線美ができたのね♪」
「なんですか! カモシカ脚って!?
とある欲望の王様ライダーみたいな言い方しなくていいじゃないですか!?」
「私は好きだけど、スタンダードなTATOBAコンボ♪」
「ミレイのお気に入りはGATAKIRIBAです、とミレイは緑のコンボを推します」
「両方ともバッタ脚じゃないですか。どうせなら脚速いチーター脚がいいです。
私、黄色のコンボも好きですから」
((((何を言っているか全然わからない・・・))))
美雪、美玲、佐天のマニアックな会話に常盤台の4人はついてこれなかった。
男の子の性と言うべきか、信乃に宗像、さらには黒妻までも仮面のライダーが好きであったため、
同じチームに所属している影響で佐天もちょっとしたマニアなレベルまで好きになっていた。
そして信乃大好きの美雪は当然のように同じ趣味を持ち、最近になり特撮というジャンルを見始めた美玲も楽しく話に参加していた。
ただし信乃の趣味を若干ながら知っている御坂は、何のネタかは知っているが話にはついていけなかったりする。
「ちなみに信乃さんと宗像さんは赤のコンボ。黒妻さんは銀色コンボが好きらしいです」
「なんとなくわかる♪ イメージ通りと言えばそうだね♪」
「信乃にーさまは青色のイメージがあります。
ですが青色だからといってSHAUTAとも違いますね、とミレイは印象とイメージの差を感じます」
「それはそれで一人一人の好みだから別に追及する事でもないんじゃないかな♪」
「ですね」
「さてと、仮面のライダーな話はここまでにして、早速遊びましょうか♪」
「そ、そうですわね・・・・」
婚后は呆れ混じりに頷き、川へと入っていく。他のメンバーもそれに続いて入水していった。
「それにしても・・・・本当に信乃達、来ないんだね」
川辺の大きな石に座り、美雪はため息をしながら呟いた。
最初の数十分は川に来た女子全員で競泳したり、潜って川魚など川辺の生物を見つけたり、ごく一部の女子は再び≪アイキャンフラ~イ≫をしたり。
そして現在は各自思い思いに過ごして、体力があまりない美雪は早めに川から上がっていた。
そう、この川で遊んでいるのは女子だけ。つまり信乃、宗像、黒妻はいない。
「今日は合宿の最終日なのに・・・」
一緒に遊びたかった。と寂しさから言い綴る事は出来なかった。
「それでしたら美雪様、西折様が訓練している場所に行かれたらどうでしょうか?」
「ふぇ!?」
いつの間にか美雪の真後ろには千賀 紗和琥が立っていた。
「今の時間でしたら、ちょうどこの川の上流で模擬戦を始める予定ですね。
歩いて行ったら休憩を挟む時間帯です。行ってみたらどうでしょうか?」
「・・スケジュールをバッチリ管理しているんですね」
「はい、メイドですから」
紗和琥の笑顔に、美雪は少し顔をゆがめた。
確かにメイドとして、使用人としてスケジュール管理をしているのはおかしくは無い。
だが、自分より信乃の事を知っていると思うと何故だか胸がもやもやする。
それを世間一般では≪嫉妬≫というのだが、生き方が綺麗過ぎる美雪は気付かなかった。
「・・・それじゃ、行ってみようかな」
胸のもやもやを無視して、とりあえずは信乃に会いに行く事を決めた。
「玲ちゃん、ちょっと散歩言ってくる♪」
「わかりました。他の方にはミレイから伝えておきます、とミレイは綺麗な敬礼で答えます」
「よろしくね♪」
一番近くで泳いでいた美玲に簡単に伝えて、信乃のいる上流の方へ歩き出した。
十分ほど歩いていると、何やら上流の方から音が聞こえてきた。
しかし訓練と言うにはいささか物騒な音に感じる。
空気がはじけるような、岩を砕いたような、人を殴ったような、etc,etc
物騒な音に若干引いた美雪だが、目的の為に足を進める。
そしてさらに5分後、上流と下流を分けるかのように、高さ5メートルほどの滝があった。
その滝の横には階段が設置されており、それを利用して上流へと進んだ。
「わぁー、広い♪」
階段を登りきってみると、そこには湖と呼ぶには少し狭い水溜まりがあった。
「ここで遠泳とかしているのかな♪?」
コテンと可愛らしく首をかしげていると・・・
ドゴン! ビュシュァ!!
「キャッ!?」
湖の中央から音と共に巨大な泡が爆発が起こったかのように吹き出してきた。
その直後、そこから50メートルほど離れた個所でも同じ現象が起こった。
なんとなくではあるが、美雪は信乃達の訓練の結果として、目の前の謎現象が起こっているのだと察した。
泡翠の道 (ラザー・ロード)
Trick - BUBBLEGUM CRISIS!! -
巨大な水の泡が湖の中心に渦を巻き、アリ地獄のように一点に穴をあける。
同時に、渦の中心がはじけた。
剣の道 (ロード・グラディウス)
Trick - ROYAL STRAIGHT FLUSH!! -
渦の中心から、剣の玉璽を展開しながら直進する宗像が飛び出て来た。
同時に宗像の技により、泡は全て切り裂かれて消滅した。
「簡単に抜けやがって! くっそたれが!! ウェーイとか間抜けな掛け声してろ!!」
巨大な渦の泡は消失されたが、まだ終わっていないとばかりに信乃が悪態をつきながら技を続ける。
泡翠の道
CHAIN TRICK - SHABON LAUNCHER! -
CHAIN TRICK - WHIP BUBBLE! -
脚を振り、同じく泡の技を繰り出す。しかも2つ同時に。
大量の飛び交う泡による遠距離。
鞭のようにつま先と繋がった泡の鞭による中距離。
この泡、ただの泡ではない。
泡と言えば、誰もが遊んだ事のあるシャボン玉を思い浮かぶ人もいるだろう。
その時に気付かなかっただろうが、シャボン玉の水膜は高速回転しており、その回転が止まると割れてしまう。
これは≪水は高速で動いているほど強度が増す≫という現象に起因していて、信乃が生み出した泡もまた「水の動き」である。
その泡の中には、見た目の体積の10倍に及ぶ大量の空気が入っている。
割れる事すなわち触れる事、それは圧縮された空気が解き放たれて爆発を生む。
触れる事さえ危険な泡。
特に飛び交う泡は、宗像を狙ったと言うよりは前方全体に放たれて法則性がない。
ゆえに防御にしろ回避にしろかなり難しい。
難しいが、出来ない事ではない。
短期間で≪剣の王≫ほどの実力になった宗像は不可能ではない。
「本来は杖の技だが、それを剣で再現してみるか」
一呼吸を入れ、眼を見開いた時に威圧感が増した。
Trick - SCREW RUSH -
踵から伸びた≪剣の玉璽≫を直線に延ばし、螺旋回転させながら素早く放つ。
螺旋した刃は空気を巻き込み、鎌鼬のように纏わりつく。
泡に触れるのは宗像のA・Tではなく、纏う鎌鼬。直接触れることなく泡を破壊できる。
自分に当たる泡と鞭を的確に捉え、宗像は迎撃に成功した。
「っ!? 簡単に≪無限の空 (インフィニティ・アトモスフィア)≫レベルの技を破壊するなよ!」
(簡単じゃないんだが、な)
内心で宗像は安堵していた、信乃の全力の技を凌ぎ切った事に。
出した技も即席とはいえ、宗像の全力を出した技だ。
傍からではネタに走ったように見える。それが宗像と信乃、両者の本気度合いは随分と違うように見えた。
その差が信乃に焦りを生みだしていた。
「もう一度≪無限の空≫を!」
それは悪手だった。
そもそも≪無限の空≫は、言い換えれば奥義である。簡単に出せるものでもない。
事実、信乃が先程はなった3つの技は、単体で出来ているわけではない。
通常の技を繋ぎ、隙を作り、その隙をついてようやく成りたった≪無限の空≫。
泡の連射にしろ鞭にしろ、その≪無限の空≫から繋げた技。
その過程を無視して放とうとすれば、必然に大きな隙が出来る。
隙を宗像が見過ごすはずもない。
「僕は、貴様を ムッコロス!」
剣の道
Trick - Spinning Dance -
自分の体を縦軸を中心に錐揉み回転させて、脚側から信乃に突撃する。
大技を放とうとしていた隙ゆえに、防御も回避も間に合わず、信乃は技を直撃した。
「グぁっ! くそ! まだだ!」
信乃は水面に足を滑らせて衝撃を逃がして体勢を整える。
だが宗像の攻撃は終わっていない。
「ネタに走って技を連発した。
ならばシメもネタに走ってもいいかな?」
そういって、間合いの離れた信乃に向かって足を振る。
その勢いに乗って踵の刃、≪剣の玉璽≫が展開されて切先が信乃へと迫った。
(どういうつもりだ? この距離は≪剣の玉璽≫の範囲外だ)
≪剣の玉璽≫を製作して宗像に渡したのは信乃だ。
当然、≪剣の玉璽≫の間合いも把握している。
調律して渡したのも、今日の朝だ。距離を伸ばすために短期間で改造するのは不可能だ。
(なら、なぜ?)
平常心の信乃であれば答えを出せたかもしれない。
だが、先程≪無限の空≫を負かされて動揺する頭脳では答えを出す事が出来なかった。
「排除」
宗像の命令に応じて≪剣の玉璽≫が踵から外れ、勢いのそのままに信乃を襲う。
「なっ!?」
予想外の攻撃に1テンポ遅れてしまい、避ける余裕がない。
ギリギリのタイミングで飛んでくる刃を蹴り落として防御に成功した。
しかし、それは宗像の想定内。本当の狙いは次だ。
防御をしたことにより、次の動作が遅くなる。回避も連続防御も難しい状態へと追い込んだ。
元から走れる剣の道。
そして信乃からヒントを得て、最近走れるようになった炎の道。
掛け合わせた道を宗像は駆け抜けてゆく。
高速で走りだして熱エネルギーを生み、全身に纏うと同時につま先にも集束させる。
同時に信乃へと迫り、前方宙返りをする。
つま先に集束させたエネルギーは熱から炎へと変えていく。
そして全身を纏った熱は、宗像の姿を2つへと分けた。
分身を作り出すのと同時に、相手の頭上から炎の力を込めた二段つま先蹴りを打ち込む。
剣の道 (ロード・グラディウス)
×
炎の道 (フレイム・ロード)
Trick - Burning Divide -
つづく
後書き
ライダーネタに走りまくった!
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