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ドリトル先生と伊予のカワウソ

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第三幕その七

「それはまたかなりの方ですね」
「はい、相当位の高い方でして」
「今は官位はないですが」
「それでもかなりの立場の方です」
「だからですか」
「この方のことを知っていても」
 例えそうなっていてもというのです。
「お会いすることは中々出来ないのです」
「左様ですか」
「はい、ですから」
 だからだとお話する加藤さんでした。
「私もお会い出来ないのです」
「そうなのですね、わかりました」
「そうした方もおられるのです」
「この松山には」
「歴史もありますので」 
 ただ人が多く賑わっているだけではないのです、この松山という街は。
「面白い街ですね」
「はい、本当に」
 先生も加藤さんのその言葉に頷きます。
「そう思います」
「狸は面白い生きものです」
「日本的な生きものですね」
「狐と一緒に日本では凄く親しまれていますよ」
 加藤さんは先生にこのこともお話しました。
「童話にもよく出てきますし」
「そうですね。最近日本の童話も勉強していますが」
 日本語、そして日本の文化を研究する為にです。先生の学問は医学だけに留まらないかなり広いものなのです。
「狐と狸はよく出てきますね」
「可愛いですよね」
「愛嬌がありますね」
「その狸達の国でもあるのがです」
「四国なのですね」
「そうです、四国の人間なら狸が大好きです」
 加藤さんは先生ににこにことしてその狸のことをお話するのでした。
「私にしてもそうです」
「それはよくわかります」
 先生は加藤さんのそのにこにことした今のお顔と楽しそうな口調からそのことがわかったのです。加藤さんも四国の人です。
「お好きですね、狸が」
「あの可愛さ、愛嬌はです」
「知ればですね」
「たまらなくなるのですよ」
「日本の代表的な動物の一つですね」
「化ける存在としても」
 変化としても、です。
「愛すべき存在です」
「そうなりますね」
「はい、では」 
 狸のことのお話からです、加藤さんは先生にこうも言ってきました。
「この蛸飯におうどんも食べて」
「そうしてですね」
「また観光に行かれますか」
「はい、ではお昼は」
「何処に行かれますか?」
「公園でしょうか」
 そこに行こうかというのでした。
「そう思いますが」
「愛媛県総合運動公園ですか」
「はい、あそこに」
「そうですね、あそこもいい場所ですしね」
「行こうかと思っています」
 こう加藤さんにお話するのでした。
「午後は」
「いいですね、では案内致しますね」
「はい、お願いします」
 こうしてでした、午後にはです。
 先生達は加藤さんに案内してもらってその公園の中に入りました。すると公園の中はかなりの広さです。
 緑は多くかなり色々な施設があります、そして。
 その中で、です。チーチーが木々を見つつ言いました。
「いいね、見ているとね」
「登りたくなったのかな」
「うん、そうしたくなったよ」
 チーチーは先生の言葉に笑顔で答えました。 
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