ハイスクールD×D 万死ヲ刻ム者
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第九十二話 雷刃
前書き
書いてみてなんですけど、R17,9位かもしれません。ではどうぞ!!
追伸・日間ランキングに入りました!!ありがとうございました!!
「ここが冥界でも有名な滝【アクエリア】か。それにしても【ネヴァン】か・・・たしかケルト神話に登場する三人の勝利の女神の一人の名前だったような」
闇慈はサーゼクスから手紙を受けるとすぐに準備をしてこの場所に赴いた。
この場所は、雄大で幻想的な巨大な滝が流れている所で冥界でも有名な場所だった。例えるなら現代のアメリカとカナダの国境にそびえる【ナイアガラ】のような場所だった。
しかし今回は闇慈一人ではなかった・・・
「・・・どうして小猫ちゃんが居るの?」
「それは勿論、先輩が心配だからです。魔具を手に入れるためにこのアクエリアの裏にある遺跡に行くのでしょう?私も先輩の役に立ちたいんです」
どこから嗅ぎ付けたのかは分からないが闇慈の隣には小猫が猫又の状態で尻尾を揺らしながら闇慈の隣に立っていた。本来なら闇慈は心強いと感じ、一緒に来てくれと頼むかもしれないが魔具の入手の試練は半端ではないものと以前のアグニ&ルドラの時に痛いほど味わったため、少し顔をしかめた。
「小猫ちゃん。これから行く所は半端じゃない強さを持つ、敵のいる所だ。もしかしたら君をカバー出来ないくらいかも知れない」
「それなら尚更一人で行かせる訳には行きません。先輩だけ傷つくのは見てられません。それに私だって強くなったんですよ?甘く見ないで下さい!!」
(しまった。余計に小猫ちゃんのやる気に火を付けちゃった・・・火に油だったな)
闇慈は恋人を思う気持ちで小猫に言い聞かせようとしたがそれが逆に小猫のやる気を付けてしまうと言う逆効果に変わってしまった。こうなってはどうしようもないと感じたのか闇慈は小猫に無謀なことはしないと約束させ、滝の裏側を通り、遺跡の中に入っていった。
~~~~~~~~~~~
「やっぱり小猫ちゃんと一緒だったら前より楽に来れたよ、ありがとう」
「どういたしまして。でも闇慈先輩も流石です」
遺跡の探索を初めて一時間後、闇慈と小猫は最深部と思われる場所に来ていた。
道中は敵や罠が張り巡らされていたが闇慈の全てを見通す【真紅の魔眼】と小猫の猫又としての優れた嗅覚を元に罠を掻い潜り、敵もお互いをカバーし合いながらあまり傷を負わずに倒していった。
「小猫ちゃんは近距離タイプのインファイター。だから僕が援護に回れば、小猫ちゃんも安心して自分の戦闘に集中できたみたいで良かったよ」
「闇慈先輩のシャドゥ・ルーラーで敵を縛り、私が敵の剄を付く。素晴らしい作戦でした、闇慈先輩」
「どういたしまして。そしてここが最深部みたいだ・・・っ!?」
闇慈の言葉を言葉を遮り、二人の背後から無数の蝙蝠が飛んでくるとそれが一つに集まっていく。そしてその中から赤い髪で上半身が半裸の状態の女性が出てきた。
闇慈は慌てて右手で視界を遮っていたが、小猫に至っては自分にないあるものにジト目で見ていた。
「いらっしゃい、坊やに小娘ちゃん。久しぶりに人に会えた気がするわ」
その女性は半裸状態のまま二人に近づき、観察し始める。しかし闇慈が視界を遮ったままその女性に注意を促す。
「あ、あの。好い加減、そのはしたない姿をどうかしてくれませんか?目のやり所に困ると言うか、その・・・」
「あら・・・意外とウブなのね、坊や。うふふ、良いのよ?もっと見ても」
「っ!?闇慈先輩に色目を使わないで!!」
女性が闇慈に対して近寄り、色気を出してきた事に腹を立てたのか、小猫が突っ掛るが・・・
「貴女に興味はないわ、小娘ちゃん。それにそんな『貧相』な体じゃ、この坊やを満足させる事なんて到底無理な話ね」
(あ~、小猫ちゃんが一番気にしている事を・・・)
ブチッ!!
何かが切れるような事がすると小猫が女性に向かって、飛びかかろうとするがその女性が右手で小猫を指差すと複数の蝙蝠が小猫に向かって飛びかかり、小猫を遮る。
「これくらい!!」
「・・・っ!?小猫ちゃん!!その蝙蝠達から離れろ!!」
「遅いわ、弾けなさい・・・」
闇慈が蝙蝠達に集まっていく力を感じ取り、小猫に離れるように警告を射ったが女性の声が響くと・・・
バリバリバリ!!!
「ぎにゃあああ!?」
蝙蝠達から高圧電流が放出され、近くに居た小猫はモロに放電を喰らい、壁際まで服に焦げ跡を残しながら吹き飛んだ。
「小猫ちゃん!!!」
闇慈は女性を跳ね除け、小猫の元に近寄り、安否を確認する。
「大丈夫!?小猫ちゃん!?」
「すみ・・・ません、先輩。油断・・・しま・・・し、た。これ・・・から『氣』を使って・・・」
「無理に話さなくて良いよ、小猫ちゃん。君が無事ならそれで良い・・・黒羽」
「はい」
闇慈は和服姿の黒羽を呼び出し、小猫を守るように促す。
「黒羽。小猫ちゃんを君の光で守れ、そして魔力の譲渡で小猫ちゃんの集氣法の手伝いをしてやってくれ」
「分かりました」
闇慈の要望に答えた黒羽は小猫の周りに無数の黒い光を出現させ、結界のようなものを作り、小猫を守り、両手を小猫の胸にかざすと自分の魔力を小猫に与え始めた。それを見た闇慈はセイクリッド・ギアを発動させ、デスサイズ・ヘルを担ぐと女性と向き合う。
「本来なら女性と戦うのは気が滅入るが、今貴様は俺の逆鱗に触れる事をした・・・貴様には容赦しない!!」
「あらあら。怒らせちゃったみたい、良いわよ・・・来なさい、坊や。遊んであ・げ・る」
女性は艶の入った声で闇慈を挑発したが今の闇慈にはそんなものは一切通用しなかった。
「そんな余裕が続くと思うなよ?さあ・・・貴様に『死』を見せてやる!!」
闇慈は【真紅の魔眼】を見開くと女性に向かって斬りかかったが女性は蝙蝠を操り、闇慈の行く手を遮る。闇慈はデスサイズ・ヘルで蝙蝠を攻撃するのは先程の小猫の二の舞になる感じ、ダークネス・クロスで斬り裂いていったがキリがなかった。
「ちぃ・・・なら!!」
闇慈は魔眼に逆五芒星を刻み込み、シャドゥ・ルーラーを発動させると女性の体を影で縛り付けた。
「あ、あん♪激しいわね。坊やはこう言った事が好きなのかしら?」
女性はシャドゥ・ルーラーの拘束を喰らいながらも余裕の表情を浮かべていたが闇慈はそんな事も一切に気にかけず。
「腕が封じられていれば、蝙蝠を操る事は出来まい!!」
闇慈は魔力を足に止め、移動速度を上げると一瞬で距離を詰めるとデスサイズ・ヘルで斬り掛ろうとしたが・・・
「甘いわ、坊や」
「っ!?」
今度は女性から力が集まっていくのを感じ取ると六枚の翼を出現させ、すれ違いに上空に飛び上がると・・・
ドガガアアアアン!!!
女性に向かって巨大な落雷が起こった。あのまま闇慈が斬りかかっていたら落雷の餌食になっていただろう。
「危なかった・・・」
「良い感をしてるわね?坊や。でも、ぐっ!?」
女性が言葉を次の言葉を発しようとすると女性の体に十文字の傷跡が浮かび上がり、片膝をついた。
「・・・何をしたのかした?坊や」
女性が地面に落ち立つ闇慈を見て気づいたものは、闇慈の武器がデスサイズ・ヘルからアグニ&ルドラに変わっていた。先程のすれ違いの際に脳波を通して、黒羽にアグニ&ルドラを呼び出して貰い、十文字に斬り裂いていたのだった。
デスサイズ・ヘルは大鎌で攻撃力も高いが隙が大きい、しかし双剣と両剣であるアグニ&ルドラはスピードは早く隙も少ない、ああ行った奇襲にはもってこいの武器だった。
「一矢報いたってやつだ」
「やるわね。なら今度はこっちから行くわ・・・逃がさないわよ?」
そう言うと女性は両手を広げ、地面を滑るように闇慈に向かって来た。
(何をやってるんだ?あれじゃ的にして下さいって言ってるみたいだ)
【【マズイ!!あれは!!主よ!!すぐに奴から離れよ!!】】
「えっ!?」
アグニ&ルドラの言葉が耳に届くが目の前には女性が迫っていた。闇慈は逃げようとするが・・・
「っ!?これは!?」
自分の足が影のようなもので取られており、身動きが取れなかった。
「貴方ほど上手くはないけど、私も影を近距離なら操れるの・・・さあ、坊やの味・・・味見させて貰うわよ」
「なに!?・・・むぐっ!?」
「「なっ!?」」
「ん・・・ちゅ」
女性の行動に回復を続けている小猫と黒羽は目を見開いた。その女性は闇慈に口づけを行ったのだ。周りの男性から見ればそれは羨ましいと思える状態だが・・・
「これ・・・は、くっ!離せ!!」
持っていたルドラで二人との間に小さな竜巻を起こし、切り離した。そしてその口づけを受けた闇慈は片膝をついた。
「闇慈様!?」
「大丈夫だ、黒羽。今のは口づけを通して相手の生命力や魔力を奪う技だな?」
「そう。坊やの味、中々美味しかったわよ?」
その証拠に先ほど闇慈がつけた十文字の傷も消えていた。
そう言うと闇慈はシャドゥ・ルーラーを発動させ、自分を囲むように操り、まるで卵のような形を取った。
「あらあら。籠城のつもりかしら?でもそんなもの破壊してあげるわ」
そう言うと再び、蝙蝠を操りながら電撃を放ち、影の殻を破壊していった。そしてヒビが入り、影が砕けった瞬間、女性は再び口づけを行うとした。
「楽しかったわよ?坊や。せめて、私のキスでゆっくり逝きなさい」
「「闇慈先輩(様)!!!」」
小猫と黒羽の叫びが響き、殻が砕け散ると・・・
「えっ!?」
口づけを行おうとした女性は驚愕の顔を浮かべた。何故ならそこに闇慈の姿は無かったからだ・・・
「どういう事!?坊やはどこに!?」
「・・・悪いが」
闇慈の声が響き、女性が上を見上げた頃には遅かった。
「俺の勝ちだ!!」
落下の勢いを乗せたデスサイズ・ヘルの斬撃が女性を襲いかかり、女性はのぞけって倒れようとしたが、デスサイズ・ヘルを消した闇慈がそれを素早く受け止める。
「優しいのね・・・坊や」
しかしそのチャンスを逃すまいと口づけしようとしたが闇慈の右手には小さな魔力の球体が出来ており、それを指で弾くとまるで銃弾のように女性の腹を貫いた。
「言ったはずだ・・・俺は容赦しないと」
「・・・せめて最後のあれはなんなのか教えて貰えるかしら?」
そう言うと闇慈は説明を始めた。
あの時、影の殻は闇慈全体を覆っていたように思えたが、実は女性の視界に見える【半分】を展開していたに過ぎなかった。簡単に言うなら女性に闇慈が殻【全体】をかぶったように見せるためのフェイクだった。そして禁手を使い、姿を消し、何もない後ろから脱出し、殻を破壊して口づけを行うとしたその隙をついて上空から奇襲をかけたという事だ。
「貴様の敗因は俺の能力を全て知ろうとせずに、大技をかけようとしたことだ」
闇慈の説明に女性は軽くため息をつくと・・・
「これはやられたわ。でも気に入ったから力を貸してあげるわ」
その言葉に闇慈はハッとなり、その女性を見据える。
「もしかして・・・貴女が【ネヴァン】!?」
「そうよ。貴方の力があれば私をうまく使いこなせるはず。楽しみにしてるわよ?坊や」
そう言うと女性・・・ネヴァンの体は雷に包まれ、消えていった。そして闇慈の手に握られていたのは・・・
「エ、エレキギター!?これが魔具!?」
紫を中心とし、弦は雷で出来ているエレキギターだった。しかし闇慈は今までギターを弾いた事がないため少したじろいでいたがここでネヴァンの声がギターから響く。
【慌てないで、坊や。これは蝙蝠を操る為の指揮棒みたいなものよ。音の量で蝙蝠の数を調整して、後はどんな風に蝙蝠を操りたいかを想像すれば蝙蝠達が動いてくれるわよ。あと、ギターって言っているけれど、この魔具は鎌よ。貴方の大鎌には及ばないけどそれなりの力を秘めてるわ】
「な、なんか独特の魔具ですね。しかし雷を操れて、鎌にもなるって言うのは便利ですね。では・・・」
闇慈は慣れない手つきでギターの弦を高速で弾き、一定量の雷を纏った蝙蝠が集まると・・・
「落ちろ!落雷!!」
最後の弦の弾きで、蝙蝠達を一気に放電させ、巨大な落雷を発生させた。当然、闇慈はネヴァンの加護のお陰で無傷だ。
「これは自衛能力が強いかも、しかも蝙蝠を敵に飛ばしてダメージを与えることも出来るから【オールラウンドタイプ】の魔具か」
ネヴァンは近距離・中距離・遠距離。この三つのケースに対応しているが・・・
「しかし範囲が大きいため仲間を巻き込んでしまう可能性があるって事が、考えながら使わないといけないって訳か」
【ごめんなさいね、坊や。雷から守ることが出来るのは契約している貴方だけなの。そこは考えて私を使って頂戴】
「そこはこれから慣れていきますよ」
闇慈はネヴァンを片手に持ち替えると小猫と黒羽の元に近寄った。
「小猫ちゃん。大丈夫?」
「もう大丈夫です、先輩。傷は氣でほとんど直しましたし、魔力も黒羽さんから頂きましたので問題ないです」
「そっか・・・黒羽。ありがとね?小猫ちゃんを守ってくれて」
「いえいえ。私も役に立てたので嬉しいです。また呼んで下さいね」
そう言うと黒羽は光となってその場からいなくなった。闇慈は小猫の手を取り、優しく起き上がらせるとAMCマントを小猫にかける。先程の雷撃で服はほとんど焦げていたため、闇慈が気を聞かせてかけてあげたのだった。
「それじゃあ帰ろっか?小猫ちゃん」
「その前に闇慈先輩・・・屈んで貰えますか?」
小猫の言葉に首を傾げながらもゆっくりと屈む。
「これで良いの?小猫ちゃ・・・むぐっ!?」
「ん・・・ちゅっ」
闇慈が屈んだ瞬間、小猫がこの瞬間を待っていたかのように闇慈に飛びかかり、唇を奪う。その拍子に闇慈は小猫に押し倒される形になった。
「あ、あの・・・小猫さん?どうして僕は押し倒されているのでしょうか?」
「・・・先輩。さっきキスしてました」
「あっ!?でもそれは不可抗力で!!」
「問答無用です!!覚悟して下さい!!先輩にキスして良いのは・・・私だけなんですから!!」
そう言うと小猫は再び、闇慈の口を塞ぎ、味わう。
闇慈も悪い気はしていなかったみたいだったのか、そのまま口づけを味わう。
(私を差し置いて見せ付けてくれるわね、二人共・・・でも微笑ましいわね。今は目を瞑っててあげるわ)
その光景をネヴァンはフウとため息をつきながら魔具を通して見ていたみたいだった。
「房中術もしてあげますよ?」
「それはここでは無理かもね」
後書き
その後の風景が見たければ、感想と指摘と一緒にお願いします!!
最近ガンダムビルドファイターズにハマってて、それの小説が書きたいと思っている黒神です!!
でももし書き始めたらまた【万死】が疎かになってしまいそうなので、少し悩んでいます。
見てみたいと思う方は上と同様に感想とお願いします!!
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