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でんきタイプで縛りプレイ

作者:パズル男
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3話:トキワの森の主

 
前書き
感想というかコメントが一件ありました。ありがとうございます。 

 
 ここはトキワの森。

「サンダース、【10まんボルト】だ!」

「ギャウギャウ!!」

 森に入ってトレーナー達(挑んでくるのは女の子だけ)とバトルしてこの子で3人目。

 容赦ないサンダースの鬼畜ボルトが相手のバタフリーたんを戦闘不能に追いやった。

「くっ、ボクの負けだね。いい勝負だったよ」

「……だな」

 対戦相手のボクっ娘虫取りガールのムシ子と握手を交わした。

 ふっ、負けたっていうのになんて笑顔をしやがる。こいつ、将来は大物になるな。きっと……

「オッケー、わかった。約束は約束だ。負けた方が服を脱いでいくんだったね?」

「……野球拳じゃねぇよ」

 服を脱ごうとする少女を素早く対処してみせた俺を褒めてくれ。

「ギャウ……(本当は裸見たかったくせに。この変態)」

 ……そんなサンダースのジト目をスルーしてモンスターボールで回収。

「そうだ、ハルト君。ボクと電話交換しよう! また気が向いたらバトルしたいからね!」

「あぁ、いいぜ」

 ムシ子ならまだセーフだな。子供だからビッチ度合いが低い。だからポケギアの初めてのトレーナーの番号をゲットした。

「ふっ、これでボクもようやくセフレ……もとい友達ができた」

「………」

 やっぱりあとで電話番号は削除しておこう。もう二度と会うことないだろう。

「ときに、ムシ子。ここってピカチュウいるの?」

 さっきから出現するポケモンは虫ポケモンばっかりだ。

【でんきタイプ】のポケモンしかゲットできない俺にとって死活問題。ピカチュウのピの字も出やしない。

「あー、ピカチュウはね、もっと森の奥の方だよ。ニビシティを抜ける道とは別方向だね。けっこう道が複雑だから1人で行くと迷子とかなるかもしれないから、ボクが案内してあげようか?」

「そりゃ助かるけど変な事するなよ??」

「やだなー、せっかく今まで良い人を装ってキミへの好感度上げているのに変なことして好感度下げるようなその辺のバカとは一味違うよー」

「………」

 もうそのセリフを言っている時点で俺はこいつには心を閉ざす。

 つーか、なんでワザとらしくセリフ口調なの?

 しかし、道案内はしてもらう。

 随分と奥まできてしまったが、ムシ子が俺を襲ってくることはなかった。

「あ、ピカチュウだ」

「あれが………」

 ピカチュウが現れた。

 しかし、奴は横に寝転び人間様が食べるお菓子を器用に手にして食べては尻を搔き昔の俺のような堕落ぶりだ。

 奴の目で分かる。

 個性すぎないか、あのピカチュウ。

「あのピカチュウはやめようよ、ちょっと太りすぎだよ」

「……だな」

 運動してそうにないほど、ぐーたらな生活を送っていたんだろうな。

 ちなみに言っておくけど生前の俺はスマートだった。

「ビカッ……(誰がデブだって?お前ら言ってはいけないことを言ってしまったな)」

 とでも言ってそうだ。めっちゃ怒ってはヤる気になっている。

 しかし、未だ手に持っているポテチの袋は手放さない。

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!

「しゅ、しゅごい……ボクはビビッて少しチビってしまったようだ」

「もうお前は後ろに下がっとけよ……」

 ムシ子が戦線離脱した。

 それにしても、なんてプレッシャーを放つんだこのピカチュウは。

 今まで戦ってきた野生のポケモンとは格が違うのはわかった。この俺でさえもビビッてしまうほどに。

「サンダース、頼むから勝ってくれよ」

「ギャウギャウ!(はん、やっと強い奴と戦えるわね!)」

 と、なんとも頼もしい威勢を放つサンダースたん。

「先手必勝だ、サンダース。【めざめるパワー】だ!!」

 頼むから一発で戦闘不能になってくれ。

 しかし、俺の願いは叶わなかった。

「ギャウ……」

「ビカッ……(ふっ、ひんやりして気持ちいいぜ)」

「なんてこった、あのピカチュウはおデブだから【あついしぼう】で守られてるんだ、【こおりタイプ】のワザは効かないよ!!」

「いやいやいや……」

 ムシ子、実況解説してる場合じゃねーよ。

 ピカチュウにそんな特性ないだろうが。

 そして、ポテチの袋は手放さないおデブ。

「ちっ、サンダースくるぞ!!」

 ピカチュウの反撃だ。

【でんきショック】

「ビカッ!!」

「ギャウ……(アンタバカァ?私の特性は【ちくでん】よ!)」

「確かでんきワザを食らえばHPが回復するんだっけ?? ダメージは無効…まぁいい、今度はスピードで敵を翻弄しろ」

「ギャウ!!」

 おデブだから単純にサンダースのスピードについていけないはずだ。

 案の上、自分の周囲をぐるぐる回るサンダースに手を焼いている。目を回してくれたら儲けものだが。

「よし、勢いをつけて【にどげり】だ!!」

 スピードに乗った今のサンダースの攻撃は個体値6Vもあって脅威だ。

 しかし、

「びがーーー!!(俺を甘くみるなーーー!!)」

「ギャンッ!??」

「な、カウンター!??」

 奴は素早さでは敵わないと判断しサンダースが攻撃してくる瞬間を待っていたのか。

 いや、そうじゃない。

「なんて瞬発力なんだ……」

 奴はこんな戦闘中でも執念のごとこポテチを手に持ちながらも、まるで力士のようにサンダースのスピードに最高のタイミングでカウンターを食らわせ、さらに追い討ちを掛けようと迫ってきている。

「ふ、普通に速いじゃないかあのおデブ!??」

「ビガーーー(おデブいうなーーー!!)」

「おいムシ子もうお前は黙れ!!」

 さらに敵を怒らせてどうする。手に付けられない闘牛かよ、あのピカチュウ。

 しかし、だ。こんな序盤で俺たちに敗北は許されないのだ。

「サンダース立て! 来るぞ!!」

「ギャ、ウ……」

 ダメージは深刻だ。

 でも俺のサンダースは立った。まだ戦える。

「サンダース、跳んで躰せ!!」

「ギャウ!!」

「ビカッ!??」

 ギリギリのタイミングで攻撃を躰されたピカチュウは木と激突した。

 凄い衝突音がしたが怯んでいる暇はない。

「よし、隙を見せたな?」

 木との衝突の反動で頭を抑えるピカチュウ。

 反対の手でまだポテチを持ってやがる。

 四つのワザのうちの披露していない残り一つのワザでは効果いまひとつだろうから、やっぱりトドメはアレしかない。

「賭けだ、サンダース。お前の本気を見せてやれ、【10まんボルト】だ!」

 もう小細工はやめだ。倒せなかったら俺たちに勝利はないがな。

 タイプ一致から繰り出す必殺。たとえ相手が同じタイプだからといって普通にダメージは強烈だ。

 そして、ゲームと違ってこのリアルな世界では気合や根性や本気という言葉でポケモンはさらに強さを見せる。

「ギャウギャウ!!(楽しかったわ、またバトルしましょう。おデブ)」

「ギガーーー!!?(だから俺はデブじゃねぇぇええええええ!??)」

 ポッポをオーバーキルするほどの【10まんボルト】だ。

 本気で放ったサンダースの一撃にピカチュウは耐え切れずに、ピカチュウはポテチの袋を手放し戦闘不能になった。

「……今までの中で一番強敵だったな」

「ギャウ……」

「よくやった、サンダース。戻ってゆっくり休んでくれ」

「ギャウ!」

 戦闘を終えて安堵したせいか、地べたに座りこんでしまった。

 ふと、少し離れたところで倒れているピカチュウに目をやる。

「ピカチュウってあんに強かったんだな……」

 正直彼らの戦闘力をナメていた。

「いや、あのピカチュウが普通じゃないだけだと思うよ。さっき見せた俊敏性も人間からそのポテチを盗むために身につけた技術だろうし……」

「……たくましいな」

 そんなピカチュウがもう復活してらっしゃる。

「ビカッ……」

 すでに息切れして立っているのも限界って感じだが。

 奴はポテチの袋を再び手に持ち俺に近寄っては、

「ビ、ビカ……(ポテチが散らばったから新しいのくれ)」

 確かにそこら辺に凄い散ばってしまったな、ポテチ。

「……あぁ、ポテチぐらい買ってやるよ」

「ビカ……(ふっ、ポテチのために働く。それも悪くない)」

「勝手にモンスターボールの中に入ってくんな!!」

 俺の選択権はなかった。

 こうして俺は【でんきタイプ】二匹目、ピカチュウをゲットした。

 そして、これからはこいつのことをピカさんと呼ぼう。

 サンダースも何かニックネームつけてあげようかなー。

「よろしくな、ピカさん」

「じゃあ、ピカチュウもゲットしたしニビシティまで道案内するよー」

 こうして俺たちは無事にトキワの森を抜けてニビシティに到着するのであった。  
 

 
後書き
サンダースのニックネーム……
イーブイなら♀なので「ブイちゃん」にするのですが。 
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