DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)
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第7章:過去から未来への歴史
第13話:父は強し
(サントハイム城)
ウルフSIDE
気球に乗った時より表情に余裕が窺える様になったクリフトさん……
そんな彼を先導する様に歩くアリーナ姫と共に、サントハイム城へ入り王様の下まで辿り着いた我々。
常にヘラヘラしてるリュカさんが、妙に真面目な表情してるのが堪らなく笑いを誘う。
間違いなく大波乱が待ち構えてると予測できてるのに、真顔のリュカさんは面白い。
勿論ワザとなんだろうけど……俺は今にも吹き出しそうです!
慌てて口を手で押さえ横を向いて笑いを我慢すると、同じように笑いを我慢してるトルネコさん・ライアンさん・マーニャさんと目が合った。
根性で表情を造り正面に向き直って周囲を見渡す。
良かった……俺等の輪から離れ、王様の目の前まで進み出たアリーナ姫達に皆さん(サントハイムの人々)意識が行ってて、俺達に事には気付いてない。
「よくぞ戻ったアリーナよ。そして伝説の勇者シンと仲間達よ! 報告は私の耳にも届いておる。世界が平和になったとな」
重い空気の中、サントハイム王の声が響き俺等の労を労ってくれた。
「恐縮であります」
アリーナ姫の次に名が上がったシン君が、彼女の僅か後方まで出て行き恭しく頭を垂れる。
流石は勇者様だ。真面目っ子遺伝子全開で、笑いそうな素振り一つない。
もう俺、お腹痛いんですけど(笑)
この後、シン君と王様の社交辞令応酬合戦や、妙に色っぽくなったアリーナ姫の謙虚さ混じりの報告で、これまでの経緯を話し公人としての会話を終焉させる。
そして待ちに待った本番です!
「あ、あの陛下……わ、私から……いえ、私とアリーナ様から重大なお話があるのですが」
ヘタレ神官クリフト殿が、意を決して彼女の父親に打ち明けようとしております。
何て言うんだろう? 『テヘッ、ヤっちゃったらデキちゃった♥』って言うのかな(笑)
「ほう……重大な話とな? 聞こうかクリフト……其方には礼を言わねばならないからな。アリーナを……私の大切な娘を、無事に凱旋させた従者に心から礼を言いたいからな。其方の話を確と聞こうぞ」
凄ー……この従者、手ぇ~出しちゃってるよー!
本来、その身を守らねばならない姫様に手ぇ~出しちゃってるよー!!
姫様の中を白濁液で汚したのその男ですからー!
言いづれーだろうなぁ(笑)
あんな言われ方したら『テヘッ、ヤっちゃったらデキちゃった♥』なんて言えねーだろうなぁ。
どうするヘタレ神官クリフト!? 取り敢えず様子見で王様の事を“パパ”って呼んでみるか?
「え~っと……あのぉ~……そのですね……」
言えねーよな(笑) だって王様、クリフトさんの事を最大級に信頼してるんだもん!
『お前の娘を喰っちゃった』てな事、言えるわけねーよなぁ!
こういう時はリュカさん楽ぅ! だって先に気付いてくれるから。
「どうした? 何か話があるのだろう、言うが良い」
「え、えっと……は、はい……実は……」
可愛そうにクリフトさん……最高に言いにくい状況の中、先を急かされ困り果ててる。
そんな面白状況を楽しんでいたら、突然リュカさんが前へ出て、
「あーもう、まどろっこしいなぁ! ズバッと言えよ、『娘を孕ませちゃった』って言えば良いんだよ! 簡単な事だろ」
って、言っちゃったー!!
クリフトさんの最大の見せ場を奪っただけじゃなく、とても言いにくい事を言い切り場の雰囲気を凍り付かせちゃったー!!
クリフトさんもアリーナ姫も……シン君でさえもリュカさんに視線を向けて引き攣ってる。
周囲を見ると家臣の方々が凄い形相で睨んでるぜ!
「ほぅ……私の大切な娘をクリフトは汚したと言うのだな?」
皆(リュカさんを除く)が驚愕してる中、王様(パパさん)は冷たい声で状況を確認する。
怖ー……何か怖ーよ! 激怒して錯乱される方が対応しやすいよ。
「あ、その、これには……あの、訳があるんですよ王様!」
「そうよお父様、私達は愛し合ってるの! だから……」
クリフトさんは事態の急変に戸惑い2.3歩後退り言い訳ぶっこいてる。
そんな彼を抱き締め(元の位置に戻し)ながら、アリーナ姫は強気な態度で納得を得ようとする。
「『愛し合ってる』だと? お前等の様な未熟な子供に“愛”を語る事が出来るのか? 旅立ち特殊な環境に身を置いた同年齢の男女が、勢いに任せて度を超えてしまっただけだろう。でなければ、懐妊させるなど有り得ぬ事だ! まして家臣が主君に手を出すなど……」
それ分かる。俺も特殊な状況でなければ、どっちの女にも手を出さなかったと思うから。
そう考えると俺は被害者なのか? 誰かに確認したいけど、マリー・リューノの耳に入ったら怖いから、絶対口に出してはいけないだろう。
「そんな事はありません! 私は幼い頃からアリーナ様に恋心を寄せてました……王様の仰る通り私もアリーナ様もまだ未熟です。しかし、この気持ちに偽りはなく……たとえこの国から出て行く事になっても、アリーナ様と共に幸せな家庭を築き上げる所存です!」
「そうよお父様。私達の仲を裂こうとするのなら、私は彼と共にこの国を出ます! 王族である事や王位継承権なんて、私達には不必要なモノ。何故なら私達には“愛”と言う掛け替えのないモノと、新たなる命を手に入れたのですから……」
腹を括ったクリフトさんの宣言を聞き、色っぽくなったアリーナ姫が自分の腹を愛おしそうに擦りながら、父親の冷たい言葉を払いのける。
なお……場を引っかき回したリュカさんは、優しく微笑みながら状況を観察している。
あいつ、この状況を作った責任を取らない気だな。
「何を言うか……アリーナよ。お前に子供を育てる事など出来ん! “世界を知りたい”“強くなりたい”などと言い、絶えず城から抜け出そうとする子供に、赤ん坊を育て上げる事など出来るわけがないのだ! 今は“愛”と言う幻影に惑わされてるが、国を捨て二人だけで子育てをするなど出来るわけないのだよ!」
今にも唾を吐きそうな顔で娘とその彼氏を見下ろし、現実の厳しさを説く王様。
意外と苦労してるのかな?
もしかして王様も出来ちゃった結婚?
「で、出来るわよ! もう母親なんですから私! クリフトさえ側に居てくれたら、他人の手を借りなくとも子育てしてみせるわよ!」
あれ? 何か話が妙な方へ向かってる……何だろうか、この違和感は?
「出来るものか……壁を蹴破って城から抜け出す御転婆に、手のかかる子育てが出来るわけない!」
「もうそんな事しないわよ! 私は母親となって、この子を立派に育てるんですから……御転婆なんかじゃない、立派な母親になるんですから!」
そういう事か……この王様はやり手だぞ。
単純なアリーナ姫は王様に言質とられちゃったぞ。
どうやら最初から分かってたな。二人の仲を分かってて、この話題に踏み込んだな!
リュカさんに視線を向けると、満足した表情で頷いている。
どうやらリュカさんも気付いてたらしい……どういう訳かリュカさんも、王様が二人の仲に気付いてる事を、気付いた上で引っかき回したらしい。
凄ーけど、何でリュカさんは知ってるんだ?
王様とアリーナ姫・クリフトさん等が、今後の事(王族としての責務を果たす事や王家に入る心構えなど)を話し合ってる中、俺はリュカさんに近付き今回の事を確認する。
「リュカさん……何でリュカさんは、王様が気付いてる事に気付いたんですか?」
「そりゃ……あの余裕在る態度だよ。クリフトが言いにくそうにしてるのに、不安がらず先を促し追い詰める態度。これで何となくピンと来たね(笑)」
「だから突然暴露したんですかリュカさんが?」
「うん。そしたら顔色一つ変えず、口の端が少しだけ笑ったんだよ……一瞬だけどね! で、思いだしたわけ……そう言えば、このオッサンには予知夢を見る能力があったなって(笑)」
「予知夢で知ったんですか!?」
「多分ね……もしかしたら、アリーナが旅立つ前から知ってたのかもしれない。だから年齢の近いクリフトを常に側へ置いてたのかもしれない。まぁ聞いても答えてくれないと思うけどね」
何てこった……世の中の父親ってのは、以外と凄い連中らしい。
視線をアリーナ姫達に戻すと、丁度話が終了したらしく、二人を抱き締め祝福を述べる父親……いやお祖父ちゃんがそこに居た。
そして王様は家臣達を見回し……
「良いか皆の者。クリフトは今より私の義息である! その事に異を唱える者、または心身共に妨害する者、これは王家への反逆であると心得よ!」
と、クリフトさんの立場を守る発言をする。
そうか……あの不愉快な表情は、不本意な事を言わねばならない表れだったのか。
本当は直ぐにでもアリーナ姫を抱き締めて、孫の誕生を祝いたかったのだろうなぁ……
何か俺まで嬉しくなってきたよ。
「さて……勇者シンよ。今宵はサントハイムに泊まっていってくれるのであろう? 凱旋&アリーナ懐妊パーティーを開こうと思ってる。それに参加してくれるのだろう?」
「あ、いえ我々「うん。もう急ぐ必要ないから、美味しい料理を振る舞ってよ。ケチるなよ(笑)」
遠慮しようとしたシン君を遮り、リュカさんが勝手に宴会を承諾する。
しかも無礼極まりない一言付で(笑)
それに対し睨むはシン君と家臣の方々。
家臣の方々は仕方ないとしても、シン君はもう慣れろよって思いが出てくる。
もしくは諦めろって思うよ、もうお別れなんだからさ。
ウルフSIDE END
後書き
さぁて、お盆休みも終わり8月も後半に差し掛かりました。
学生の皆さんは夏休みの宿題を終わらせましたか?
「まだ(休みが)ある」と思っている方……もうありませんよ。
もう2週間を切りましたよ。
友達に「おい宿題終わった?」と聞いて「全然。最後の3日で纏めて終わらすんだ。一緒にやろうぜ!」と言われ、安心していちゃダメですよ。
そんな事言う奴に限って、ほぼ終わらせちゃってるんですからね。
パパやママを当てにしちゃダメですよ。
現役だったのは遠い昔で、今はボンクラに成り果ててますからね。使えたもんじゃありません。
今からでも間に合います。少しずつ片付けていきましょう。
そうする事が一番アナタの為になりますからね。
夏休みの宿題を一度も夏休みにやった事ないあちゃからのアドバイスだ!
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