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緋弾のアリア 夢見る夜の物語

作者:einhart800
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プロローグ

 
前書き
初投稿です。
誤字脱字や意味不明の表現が多いので指摘してくれると嬉しいです。 

 
「7-c-v でチェックメイトだ」
男は言う。
「........」
無言のままに手詰まりとなったチェス盤を覗く。
「惜しかったな。でも、前よりもいい打ち方になってるよ」
柔和な笑顔で笑いかけているが、作り笑顔であるのは明らかだ。
自分の怒りを表すように音を立て立ち上がる。海に近いこのオープンテラスの喫茶店は、早朝であるからか客は自分達だけのようだ。
「なんで、あんたはこんな依頼をする。チェスがしたいなら他の奴にしてくれ。」
そう、この男からチェスの相手を頼まれる依頼はこれが初めてではない。二ヶ月ほど前から度々依頼と称してチェスの相手を頼まれる。
何度か会ってわかったことが男は、何か普通とは違うカリスマ性を感じさせる雰囲気を醸し出していた。
「いいじゃないか、この依頼だけでかなり評価を稼げるのだから。武貞校の少年」
「そんな呼び方やめろ、前に名乗ったろ。」
「ははは、そうだね。久永 夢夜くん」
そう、実際のところこの男からの依頼は、武貞の評価として、Bランク程の評価をもらえる。
「まあ、いい。じゃ、学校が始まるからいくぞ。」
財布から料金を取り出しテーブルに置く。脇に立て掛けておいたカバンに手をかける。
「ああ、すまない。時間をとらせたね。」
男も立ち上がり立て掛けておいた杖と、帽子を手に取り身につける。
俺はゆっくりと神奈川武貞校に足を向け、歩き出す。
「言い忘れたことがあった。今日、誰かが困っていたら助けてあげなさい。」
後ろから声が聞こえる。振り向いた方が良いだろうか。
「別に振り向かなくていいよ。もう一つ、今日一日、桃色には近づかない方がいいよ。」
言っていることが、意味不明だったが、軽く手をあげ返すことにした。

喫茶店からでて海沿いに歩く。この道を真っ直ぐ進むと武貞校第二グラウンド辺りに着く。いつもは、寮からバス登校だが、たまにはこんな登校もいいかもしれない。
店をでた時間もちょうどよくゆっくり歩いても充分間に合う。海の近くもあってカモメの鳴き声が聞こえる。
同じ寮室の生徒も今度誘おうなど頭に浮かんでくる。今頃、幼馴染が
起こしに来ているのだろう。自分がいれば気を使わせてしまうのもあって彼よりも早く出るのはもう日課だ。
そんなことを考えていると、ふと男が言っていたことを思い出した。
道の中復ちょうど、道が交わるT字路だ。
「困っているひとを助けろか、そうそういるもんじゃないだろ。」
そう呟く。と側面から衝撃をうけた。走っていたのだろう。なかなかの力で押し倒される。
「え!?」
「あ!?」
大きく柔らかい物体が顔を埋める。
「!!!」
「ひゃう」
「!!!!!」
「ダメです。くすぐったいです。」
なんとかどいてもらおうとしているが相手も相手でうまく立ち上がれないようだ。
そしてなんとかどける。
「はぁ」
「ご、ごめんなさいです。」
少女はおどおどしながら謝罪する。
服装はフードを被っているが裸足でどこからか急いで出てきたらしい。
「別に大丈夫だよ。でも、どうしたの?」
「は、はい。少し急いでまして、前をよく見ないで走ってしまいました。」
「そうなんだ。」
少女が走ってきた方向から足音が聞こえてくる。足音の大きさや、早さからして何かを追っている。
そして姿が見え始めると
「いたぞ」
「早く捕まえろ!」などと聞こえてくる。
「あぅー、来ちゃいました」少女は怯える。やはり彼らの狙いは彼女。
逃げようと考えるも囲まれてしまった。
「手間とらせやがって。」
「お前がいねーとビジネスが成り立たないだから、おとなしく捕まれ」
「おい、ガキ。そいつを渡せば幸せな生活に戻れるぞ。」
「はぅ」
「はぁ、困った人は助けろね。」
ため息をついて制服の武貞バッチを見せながら。
「武貞だ。理由を聞かせてもらおう」
「余計なことは聞くな。と言われねーとわかんねえかな?」
リーダーらしき男が殺気を出しつつ言う。注意すべきはこいつかな。
「そうはいかない。彼女は明らかにお前達から逃げようとしている。それなのに素性のわからない奴らに渡すのは常識的に無理だろ。ついでに武貞からの質問なんだから、ちゃんと答えろよ」
そう言いつつ左手でそっと少女の手を握る。
「は、はぅ」
「確かにお前の言っていることは正しいが、答える義務はない。渡さないようだから実力行使させてもらう」
そう言うと男の部下たちがそれぞれ構える。俺は少女の耳元に顔をよせそっと囁く。
「目を閉じて」
「は、はい。」
「やれ」男が言う。
同時に俺はポケットの中のフラッシュグレネードを投げた。
辺りを眩い光が覆う。光が消えぬうちに走り出す。
「なに!!!」
「落ち着け、まだ近くにいる。」
海岸沿いをひたすら走る。
「大丈夫?」
振り返りながら聞く。男達はまだ、目をくらませているようだ。
距離にして、100メートルはとれただろう。
「はい、ありがとうございます。」
向かい風で少女のフードが脱げる。
星のように銀色な髪
雪のように白い肌、特徴的な紅い目と翡翠色の目、中でもひときわ目が行ってしまうのは耳だ。
噂や伝承のみの存在となった。
「君は、エルフ!!!」
少し、大きな声を上げてしまう。
そのせいで少し悲しげな顔を浮かべる。
「そう呼ばれてるんですか。私って。」
少しスピードが落ちてしまう。
「ああ!ごめん、大丈夫。俺そんなの気にしないから。とりあえず今は、逃げないと。」
落ちかけた速さを戻す。
男達も追いかけ始める。
入り組んだ道を行きたいが、ここは一本道。先ほどから直線を走っている。ようやく、武貞校第二グラウンドにつく頃だが、相手も追うのをやめない。エルフの少女も顔も苦痛の色浮かべている。
実際俺もきつくなって来た。グラウンドを過ぎるとビルがある、武貞校女子寮だ。ひとまずそこに隠れよう。すると前から自転車走ってくる。乗っているのは、同室の。
「キンジ!!!」
「ユメヤか、悪い今は俺から離れてくれ!!!」
そう言ってさらに自転車を飛ばす。後ろからはセグウェイにUZIをつけたものが追っている。状況からみて、キンジもキンジでなにかに巻き込まれているらしい。
「UZIかよ、しかも、3機か。この状況じゃなければ余裕なのに。」
「ようやく追いついたぜ。」
距離にして20メートル、追いつかれた。すぐ様腰に手を当てる。
「俺の後ろに」
「は、はい」
周りに目を向けるとビルの屋上に人影がある。観察していると人影はツインテールをなびかせ飛び降りた。
「あれは、」
ツインテールの少女は見覚えがあった。アサルトが誇るSランク武貞神崎・H・アリアだ。
アリアは、パラシュートを開きこちらに降りてくる。キンジの状況を事前に知っていたようだ。俺もまずは、キンジを助けることに決めた。
俺たちを追っている奴らに向けグレネードを投げる。
そして、構えていた俺の銃、サムライエッジ(M92FS)を抜く。
「神崎!!チャリをたのむ!!」
「ええ、分かったわ!そっちは任せたわ。」
言い終えると同時に投げたグレネードが爆発する。それを合図に俺はセグウェイのタイヤを狙い引き金をひく。
狙い通り命中して、セグウェイが倒れ爆発する。アリアの方もキンジを助けることができたようだ。だが、キンジが降りた自転車は大きな爆発を起こす。
「そういうことだったか。あの自転車c4でもつけられてたか。でも、付けたのは一体」
「あの、もう大丈夫ですか?」
「ああ、ごめん。怪我はない?」
少女が声をかけてくる。みたところ特に目立った怪我はないようだ。それを確認すると、俺は自分たちの追ってに目を向ける。
男達は、意識を失い倒れている。
「さすが京菱グループいい仕事してくれるね。まだ、プロトタイプだけど十分使える」
俺が投げたグレネードは、京菱グループの試作機、スリーパーだ。一見して普通のグレネード並の爆発音を出すがそれはフェイクで、実際は即効性の睡眠ガスを発生させ意識を奪う。便利だが、極限られたエリアでのみその効果を発揮する。先ほど囲まれた時は自分達も効果対象となってしまうため使うことができなかった。しかし、今は、敵がまとまって移動しなおかつ、自分たちと距離があったことで使用できた。
「とりあえず、あいつらは何者なんだ?それと君はどうして追われているんだ?詳しく教えてくれ。」
周りの安全も確保できた。キンジも神崎•H・アリアが一緒なら問題ないと判断し、質問する。
「はい、でもごめんなさい。私何もわからないんです。」
「何もって.....とりあえず名前は?」
「ごめんなさい」
名前もない少女.......記憶を失っているか、もしくは元々ないか。さて、ならこいつらが何者かが鍵かな。
意識を無くしている男達を調べる。一人目の男、銃やナイフをもっているが特に気になるものは見つからない。一人を覗いて全員が金で雇われた傭兵のようだ。その一人は命令を出してた男だ。男からは何かの象徴のバッチと少女を運べと言う命令書が見つかった。
すぐに電話を取り出す。
「あまり頼りたくないんだよなー。頼ると担任にキレられるし」
と言いつつも電話をかける。
3コールほどで相手は電話にでた。
「はい、もしもし?」
「久永だけれど」
「あら、久永。どうしたの?あ、もしかして懺悔することができた?しょうがないわね」
「いや、そんなんじゃないよ。綴妹、少し依頼ができて、他の捜査官じゃわからないことが出てきそうだから。あと、呼び捨てはやめろ。一応先輩だから」
「それは違う、久永は久永なのだから。それにしてもなんだ。主よ。罪深い久永をお許しください。」
なぜか俺のことを神に懺悔してる。彼女は、尋問科兼クラス担任の綴先生の妹、綴 聖だ。姉と同じ尋問科であるが先生を女王様と呼ぶならば彼女はマリア様と呼ばれる尋問官で姉との性格が全くの逆。尋問された犯罪者は懺悔するかのようになんでも告白してしまうと言われてる。
俺とは戦妹《アミカ》を組んでいる。しかし、要所要所でしか協力していない。
「それはいいとして。依頼の内容だけど、今しがた、事件に巻き込まれて。男達に追われてる女の子を助けたんだ。」
「......久永、誘拐はダメ。」
なぜか冷たい声で言われた。こういうところは綴先生を思わせる。
「そんなことはしない。それよりも、その追ってきた男の一人が気になるものを持っていたんだ。それを尋問してもらいたくて。」
「それはそれは」
「報酬は、今度何かご馳走するからさ。」
「私は構わないけど、お姉ちゃんが。」
そう、尋問ならまず、綴先生を頼るのが一番だが。先生を頼るのがとても恐怖を感じている。
「先生というか。あまり、知られて欲しくないんだよな。必要最低限は知らせるけど」
「隠し事をするのは、神に対する冒涜ですし」
「分かった、じゃあ、俺と神様との秘密にしよう。それならいいだろ?」
「.........仕方ありませんね。お引き受けしましょう。その代わり、今度しっかりとご馳走になりますから」
そう言って綴は電話を切った。
「これでよし、悪いそれじゃあ、どうしよ?とりあえず、俺が一緒にいるからさ。」
「そ、そんな、私なんかといたら、また、酷い目にあってしまいます。」
「大丈夫。困ってる人を助けるのが俺の仕事だからさ」
「ですが.........」
不安を和らげるため手を取り笑いかける。すると少女は少し安心したのか笑顔を返してくれた。
「まあ、まず、名前がないと不便だな。好きに呼んでいいかな?」
「はい、構いません。」
少し考える。すると、少女の目に視線がいく。紅い目と翡翠の目対照的ではあるがお互いを護りあっているように見えた。なぜか懐かしい感じがする。
「よし、じゃあ、こなみでいいかな?」
「こなみ?」
「特に意味はないんだど。ごめんね。嫌だったかな?」
「いいえ、素敵な名前だと思います。........」
少女は泣き出す。
「そうだよ。こなみ、俺は夢夜、久永 夢夜だ。」
俺は頭をそっと撫でた。

しばらくしてから、再び校舎へ向け歩き出す。まずは、教師塔で事件の報告をしなければ。泣き止んだこなみは先ほどから俺の手を握り離れようとはしない。ケータイが揺れる。誰かからのメールらしい。
確認すると、どうやら副委員の霧崎 塔寺からのようだ。内容は、俺の遅刻理由の報告を出せと言うことと、男子生徒がチャリジャックにあったとのメールだった。
「よくよく考えたら、あの事件みたいだな爆弾って。」
昔巻き込まれた事件を少し思い出した。
「夢夜さん」
こなみが呼ぶ。
「どうした?」
「あの、フード被っていいですか?」
もじもじしながら言う。今は周りに人はいないがこれからいくとこでは目立つだろう。
「かまわないよ。」
「ありがとうございます」
 
 

 
後書き
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