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『自分:第1章』

作者:零那
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『ドライクリーニング』

工場。
社長と話してDVD観さされて感想文書かされて...いっぱい色んな話を聞かされて『そんな宗教話えぇけん仕事教えて』って感じやった。

真夏の工場はキツかった。
気温は勿論、油臭い、機会の音が煩くて耳が痛い、大声で喋らな聞こえん...それだけで既に苦手意識強かった。

仕事自体は覚えたら早くできるように頑張るだけ。
Yシャツのプレスは長くて巧い人が担当。

洗う前の仕分けからビニルがけ、配達の人の為に地区分けも。
言われた以上の事をしたかった。
仕上がったモノは、こまめに地区分けに並べた。

老人ホームや保育園と違って、仕事相手は機械とモノ。
人間関係より楽やと思ったけど何か違う...息が詰まる。
大っっ嫌いな夏やから?
逃げようと思えば逃げれる。
急に逃げ出したくなった。
急に...

その日は、施設に帰ってからの日記で本音を書いた気がする。
寮生活、スクーリング、それなりに続いてて日記も毎日書いてる。
やりがいとしては、ずっと施設内で居た頃より遥かにある。


自立に向けて、就職に向けて...どんな職種が合うか、どこなら受け入れてくれるか、倫理法人会も絡んで、難しい大人の都合もあった。


真夏のドライクリーニングが辛いってのは解った。

でも、辛い時こそ踏ん張りどころ。
逃げたり諦めたり、そんな事はいつでも簡単に出来る。
負けず嫌いやから、簡単には諦めん。
負けたくない。
何より自分の弱さに。


仕事も慣れてきた。
夕方になると最終配達を待つ人と話す事が増えた。
自分のことを凄く心配してくれる人が居た。
施設から来てるのは皆が知ってる。
心配してくれてた配達の人に家庭の事情とか聞かれた。
簡単に言った。
泣かれた。
なんか、逆に申し訳ない。
『辛かったね...』
そう言って泣いてた...
不思議と心が凄くスッとした。
初めての感覚。


自身を律する為に過去をシッカリ受け止めるって決めてた。
でも難しい。
蓋を閉めて逃げてきてたから苦しかった。


仕事は覚えたら同じ事の繰り返し。
たまに仕分け中に変化はある。
『コレどんな着方するん?』

『コレ服?スカート?』

オバチャン達にとっては真剣な議論。
1回堪えきれず笑ってしまって怒られた。

昼御飯の時間が1番苦痛。
2階で皆が集まって食べる。
噂や愚痴がエグイ。
ソレが嫌でトイレでかきこんだり、炎天下の中、裏で隠れて食べてた。
それが気に食わんらしく『社長に言われるん私らやけん』ってイヤミ言われて上で食べるのは強制。


思い通りにやか一切ならんのは覚悟してたけどコレはなんか違う。
既にやっとれん。
大人社会の汚さ醜さはやっぱり見たくないし聞きたくもない。

なんだかんだあったけど、問題と言うほどのことは起こさずに終わった。


 
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