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ロックマンX~朱の戦士~

作者:setuna
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第四十四話 Final Weapon

 
前書き
レプリフォースを追って、宇宙に上がったエックス達。 

 
デスフラワーへと向かったエックス達。
そしてハンターベースでは阿鼻叫喚の光景が出来ていた。
第17番精鋭部隊の隊員達が惨殺され、その中心にダブルがいた。

ダブル「さてと…エックス達を追うとするか…早くしねえとあの野郎に奪われかねないからな…」

ハンターベースに待機していたダブルは同僚達の残骸に対して何の感慨も抱かず、転送された。








































デスフラワーに到着したエックス、ルイン、ゼロの3人はそれぞれの武器を抜き放ち、突撃する。
そんなエックス達を待っていたのはジェネラルの近衛兵と思われる精強な将兵達の激しい抵抗であった。

「ジェネラル将軍の元へ行かせはせん!!」

「奴らを何としてでもこの場で食い止めろ!!」

近衛兵達は死力を尽くしてエックス達を迎え撃つが、しかし…フォースアーマーを装備し、Xブレードを持つエックス、オーバードライブを発動させたルイン、Zセイバー、トリプルロッド、Zバスターを臨機応変に使うゼロを前にしては彼らの抵抗など紙に等しい脆さだ。

エックス「喰らえ…プラズマチャージショット!!」

ルイン「真空刃!!」

ゼロ「落鳳波!!」

それぞれが放つ技が近衛兵達を吹き飛ばす。
そうやって圧倒的な力を示しながら、漆黒の宇宙空間に浮かぶ巨大な華の内部を急ぐエックス達。
しかし別れ道がエックス達の足を止めた。
時間が少ないと感じたゼロはそれぞれが別行動をしようと提案した。

ゼロが真正面。

エックスが左斜め。

ルインが右斜めである。

彼等はこれからどうなるのか…。







































エックスが奥の扉を開き、中に入ると腰にまで届く金髪。
そして衣服に似せた紫のアーマー。

エックス「ディザイア…!!」

ディザイア「クックックック…待っていたよー。エーックス。やはり、こういうのは自分でやらないと面白くないからねえ…」

エックス「よくもアイリスの目の前でカーネルを…!!よくもルインを傷つけてくれたな…!!」

ディザイア「カーネル…そうですねえ。彼には感謝しなくてはいけませんねえ…。私のパワーアップに一役買ってくれたのですから…!!」

エックス「何だと!!?」

紫色の光がディザイアを包み込み、光が消えた時にはディザイアの姿はエックスが見知るものではなかった。
白と黒を基調とした騎士を思わせるようなアーマーである。

ディザイア「待たせたな…エックス!!」

エックス「…っ!!」

ディザイアが握り締めているのは彼が愛用していたサーベルではなく、カーネルのサーベルであった。
そして彼から時々、溢れ出るエネルギー。
まさか…。

エックス「お前まさか…カーネルのパーツを!!?」

ディザイア「ええ。私の一部になってもらいましたよ」

エックス「貴様…カーネルを殺しただけではなく死んだ後も…ディザイア…お前はそこまで堕ちたのか!!?」

ディザイア「堕ちた?違いますよエックス。悟ったというのが正しい表現です。この世は力が全てだとね!!」

エックス「そんなこと…認めるかあああああ!!」

咆哮し、Xブレードを抜き放つとディザイアに切り掛かる。
ディザイアはビームサーベルでブレードを受け止める。
Xブレードの出力はシグマのΣブレード、ゼロのZセイバー、ルインのZXセイバーと同等の出力を誇るのだ。
それを易々と受け止めるとは…。

ディザイア「シャッ!!」

サーベルによる突き。
頬に掠るがエックスは構わずXブレードを振るう。
ディザイアもビームサーベルを振るい、応戦する。
エックスの剣術はディザイアから教わった物だ。
互いに同じ剣術を使う以上、勝敗を分けるのは、使い手の実力。

ディザイア「………」

エックス「…く……っ」

少しずつ力で押されていくエックス。




































ディザイア『力が欲しい…』

エックスと剣を交えながらディザイアの脳裏を過ぎるのはかつての力無き自分。

ディザイア『力を手に入れ…レプリフォースを…イレギュラーを…滅ぼし…今度こそ…英雄になってやるんだーーーーーっっっ!!!!!!』


































ディザイア「…オオオオッ!!」

ビームサーベルを力任せに振るい、エックスを弾き飛ばす。
エックスは床に叩きつけられるが、受け身を取ったことでダメージはない。
即座に体勢を立て直し、Xブレードを構える。
エックスに対してディザイアもビームサーベルを構えた。

ディザイア「来いエックス!!見せてやろう…パワーアップし…かつては究極のレプリロイドだったカーネルのパーツを取り込んだことで得た力を!!」

カーネルの内部機関も取り入れたことでカーネルの電撃を操る力を得たのだろう。
ビームサーベルからは凄まじい電撃が纏われている。

ディザイア「降り注げ!!スプラッシュレーザー!!」

天に掲げたビームサーベルから無数の電撃弾が放たれ、エックスに降り注ぐ。

エックス「フロストタワー!!」

それをチャージフロストタワーを繰り出し、複数の氷塊で防御しながらディザイアに接近する。

エックス「はあああああっ!!」

Xブレードを握り締め、一息に切り捨てんとするが、ディザイアの表情はあくまでも冷静であった。

ディザイア「甘いですよ!!」

ディザイアがビームサーベルを振るい、エックスの目の前に大量の黒い靄が発生した。

エックス「目くらましか!!?」

即座にアイカメラのセンサーを使い、熱源を探す。

エックス「そこか!!」

熱源を見つけ、そこにあらかじめチャージしていたブレードで横薙ぎした。
しかしチャージブレードで切り捨てた相手はディザイアではなかった。

エックス「!!?こいつは…」

切り捨てたのはディザイアではなくノットベレーであった。

ディザイア「本物はこっちです!!」

エックス「ぐう!!」

背後からエックスの脇腹を切り裂くディザイア。
エックスが咄嗟に身を捻ったことで致命傷は避けられた。
激痛に耐えながら立ち上がるが、黒い球がエックスに襲い掛かり、直撃する。
エックスに壁に叩きつけられ、Xブレードの光が掻き消えた。

ディザイア「フフフ…これで、チェックメイトだ」

エックス「(前のディザイアとは全く違う…カーネルのパーツを取り込んで、段違いのスピードとパワーだ…それに…)」

ディザイアがエックスにビームサーベルを向けた。

ディザイア「エックス…まずはお前を血祭りに上げてから……レプリフォースを…イレギュラー共を皆殺しにするとしよう!!」

エックスはディザイアの言葉を聞きながらXブレードを見遣るが、いくらブレードにエネルギーを注いでも光は出ない。

エックス「(ブレードだけじゃない…力も入らない……ディザイアの周囲にある球体…あれに力を吸われているのか…)」

ディザイア「どうだエックス…イレギュラーと愚者共のいない世界…優れた者だけが生きる世界…さぞかし平和になると…思わないか!!」

その言葉にエックスは目を閉じて、一瞬だけ黙考するが、エックスの答えは決まっていた。

エックス「思えないな…」

ディザイア「何ぃ…?」

エックス「お前の言う世界なんて…幻だ!!」

ディザイア「くっ…減らず口を!!幻かどうかあの世でじっくりと眺めているがいい!!」

エックスを切り裂こうとサーベルを振るうディザイアだが、その時エックスに異変が起こった。
今まで反応が無かったXブレードから刃が発現し、ビームサーベルをブレードで受け止めた。

ディザイア「何!!?」

エックス「はああああ…!!」

目を見開くディザイアに対してエックスを中心に光の柱が立ち上る。
エックスの傷が即座に癒えていく。

ディザイア「これは…まさか…エックス最大の秘技、レイジングエクスチャージ!!?」

エックス「どのような絶望的な状況でも諦めない心を…勇気を糧とし、強き信念を持つ者のみ扱える技だ。」

出来ることならこの力は使いたくはなかった。
あまりにも強力すぎる力だからだ。
レイジングエクスチャージは傷は癒し、絶大な力を与えてはくれるが莫大な負担がかかる。
故に使えるのはたったの1度だけ。
しかしこの戦いを終わらせるにはまず目の前の敵を倒さねば話にすらならない。
普段のエックスから考えられない凄まじい威圧感を秘めた視線を浴びたディザイアはたじろぐ。
レイジングエクスチャージの神々しい光も相まってその威圧感を助長させている。

エックス「どうしたディザイア?お前の番だ。それともまいったか?」

Xブレードをディザイアに向けながらエックスは言い放つ。

ディザイア「くっ!!甘く見ないでください!!エナジーグランドバースト!!」

歯ぎしりしながらも電撃を纏わせたサーベルを床に向けて投擲すると、床に突き刺さったサーベルから凄まじいオーラと電撃、破片がエックスを襲うが、エックスは凄まじいエネルギーを纏いながらオーラに突っ込んだ。

ディザイア「愚かな!!私の究極の技に自ら突っ込むなど…」

嘲笑するディザイアだが、すぐにそれは驚愕に変わる。

エックス「ノヴァストラーーーイクッ!!!!」

エネルギーを纏った体当たりを繰り出し、オーラをぶちやぶりながらディザイアに直撃させる。
まともに受けたディザイアは床に叩きつけられた。
ギガクラッシュのエネルギーを一点に集中させたノヴァストライクの直撃には流石のディザイアも耐えられなかったようだ。

エックス「…チェックメイトだ」

Xブレードを腰に戻すと倒れ伏しているディザイアに言い放つ。

ディザイア「馬鹿な…有り得ない…」

エックス「…?」

ノヴァストライクの直撃を受けながらまだ生きていることに驚いたが、もうディザイアはまともに動けないだろう。

ディザイア「私は片割れとは言え究極の力を手に入れたはずなんだ…かつての英雄…ロックマンに等しい力を…」

エックス「ロックマン…?」

それは自分の元ともなった自身の兄とも呼べるロボット。
何故そこで兄の名が出て来るのか分からないエックスは疑問符を浮かべた。

ディザイア「ち、力が足りない…もっと力が欲しい…代償が必要ならくれてやる!!私の心も何もかも!!」

エックス「!!?」

ディザイアの身体から異常なエネルギーが迸しる。
凄まじい閃光が部屋に満ちた。

「ギィイイイイャアアアアアアッ!!」

エックス「なっ!!?」

この世のものとは思えない断末魔の叫び声にエックスは発生源を見た。

「モット力ヲォォォォォォ!!」

エックス「ディザイア…なのか…!!?」

元々適合出来ないカーネルのパーツを強引に取り込み、そしてカーネルの力を限界まで引き出した結果、あのような異形な怪物に成り果てたかつての部下にエックスは彼に抱いた憤りは消え、代わりに激しい悲しみを抱いた。
ディザイアは異形となった両手をエックスに向けると凄まじい数と速度のエネルギー弾をぶつける。

エックス「ぐっ…ええい!!」

ノヴァストライクを繰り出したことで疲弊した身体に鞭打ちながらXブレードでエネルギー弾を切り裂いた。
切り裂かれたエネルギーは爆発する。
ルナからショットイレイザーを購入していれば消滅させることは出来たが、無い物ねだりしても仕方ない。
エネルギー弾を切り裂きながらディザイアに肉薄するエックス。

ディザイア「図ニ乗ルナ!!」

突如空間が歪み、ディザイアの姿が掻き消えた。
エックスが振るったブレードは空振りとなる。

エックス「なっ!!?何処へ…」

ディザイア「沈メエエエエ!!」

ディザイアは空間をワープし、エックスの真上にいた。
エックスに向けて放たれる金色の台座のような物がエックスに直撃し、大爆発を起こす。

エックス「ぐっ!!」

爆発をまともに喰らったエックスは床に叩きつけられる。

ディザイア「オ別レデス!!」

羽の端が光り、そこから弾が発射された。
ダメージでまともに動けないエックスは何度も吹き飛ばされる。

エックス「ぐっ…くそ!!な、何とか…何とか反撃を…」

バスターを放つがワープでかわされる。

ディザイア「死ネエエエエ!!」

ディザイアの周りを飛んでいたオプションがエックスに襲い掛かる、エックスは咄嗟にガードしたことで、何とか耐え抜いた。
しかしフォースアーマーは度重なるダメージに耐え切れず、所々に裂傷が入っている。

エックス「くっ…ディザイア……」

ディザイア「ふ…ふふふ…どうですエックス隊長…少しは私の苦しみを理解出来ましたか…?」

エックス「!?」

今までの狂ったような声とは全く違う声にエックスは顔を上げる。
狂気に満ちてはいるものの、幾分か理性のある声。

ディザイア「あなたのせいで私がどれだけ惨めだったと思いますか…?」

エックス「え…?」

ディザイア「私はルインさんを愛していた。それこそ、彼女に私の全てを捧げても構わないくらいに…しかし彼女の目はいつもあなたを追っていた。ルインさんは私ではなくあなたを心底愛しているんですよ…無自覚でしょうが…」

エックス「ルインが…俺を……?」

ディザイア「あなたなんかには分からないでしょうね…ルインさんの愛を一身に受けるあなたには……」

エックス「…………」

エックスは今、初めてディザイアというレプリロイドと相対した気がした。
今までは隊長と部下としての関わりしか持たず、剣術を教わっていた時も事務的な会話しかしなかった。
もっともっと腹を割って話せばよかった。
性格は真逆同然だが、同じ落ちこぼれ扱いを受けた者同士。
少しでも打ち解けようとしていればこんな結果にならずに済んだかもしれない。
エックスはやり切れない思いでXブレードを握り締めた。
力が欲しい…。

エックス「(力が欲しい。彼を倒すための力じゃない。彼を救うための力を!!)」

ライト『…分かった。エックス』

エックス「(ライト博士!?)」

ライト『エックスよ。とうとうこの力を渡す時が来たようじゃな。お前に究極のアーマー…アルティメットアーマーを与えよう』

エックス「(アルティメットアーマー…?)」

ライト『未完成ではあるが、その名の通り究極の戦闘能力を追究したアーマーじゃ。お前の潜在能力、特に戦闘能力を最大限に引き出す能力を持つ。しかし、それ故にお主に掛かる負担も甚大じゃ…』

エックス「(構いません博士。彼を救えるなら、どうか私にその力を!!)」

ライト『分かった。今のお前なら力に振り回されることはないじゃろう。フォースアーマーのリミッターを解除する』

エックスの中で何かが外れた気がした。

--フォースアーマー、セーフティーロック解除。アルティメットアーマー…システムスタンバイ。--

エックス「うおおおおお!!!!」

エックスの身体から凄まじいエネルギーが吹き荒れる。

ディザイア「何!?」

フォースアーマーが光り輝き、形を変えていき、純白だったアーマーが深い紺色に変わっていく。
Xブレードがバスターに組み込まれたことによりバスターからより強力なビームブレードを発現出来るようになった。

エックス「(くっ…何て力だ…心が“力”に飲み込まれそうになる…!!)」

圧倒的なまでの破壊衝動がエックスに襲い掛かるが、エックスはその破壊衝動を強靭な精神力で捩じ伏せた。

エックス「ディザイア…今、助けてやるぞ!!」

バスターブレードをディザイアに向けるエックス。

ディザイア「フフフ…アーマーガ変ワッタ程度デ私ニ勝テルトデモ?」

ディザイアの理性が再び狂気に埋もれてしまったのだろう。
もう声には理性の欠片も無かった。

エックス「すまないルイン…彼を救うにはこれしかない!!」

全身にエネルギーを纏いながら、ディザイアを睨み据える。

ディザイア「サア…残念ナガラコレデオ別レデス……アノ世ニイル、同胞達ノ元ヘ逝キナサイ!!」

巨大な目玉のようなエネルギー弾を放つディザイア。

エックス「はあああ…!!ノヴァストラーーーーイクっ!!!!」

エネルギー弾を粉砕しながらディザイアに突撃するエックス。

ディザイア「愚カナ!!」

ワープでかわすディザイア。
エックスはディザイアの位置を確認すると背部のバーニアで体勢を整えると再びノヴァストライクを繰り出した。

ディザイア「バ、馬鹿ナアアアアア!!?」

エックス「何発でも!!」

ノヴァストライクを連続で繰り出し、ワープさせる隙を与えない。

ディザイア「エ、エックスゥゥウウウウ!!殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺スゥゥゥウウウウウ!!!!」

エネルギー弾を乱射するが、エックスはバスターブレードの刃を巨大化させた。

エックス「終わりだディザイア!!ギガブレード!!!!」

バスターブレードを振るい、巨大な衝撃波を繰り出した。

ディザイア「馬鹿ナ…ギャアアアアアアアアッ!!!!」

衝撃波はディザイアに直撃し、大爆発を起こした。



































『ディザイア…』

ディザイア『…?…ルインさん……?』

爆発に呑まれたディザイアはルインが自分を呼んでいることに気づき、声のした方を向くと、ルインが暖かい笑みをディザイアに向けていた。
ああ…、この笑顔だ。
この笑顔を見る度に自分は勇気づけられ、どのような厳しい戦いでも戦うことが出来た。
しかし周囲が暗転し、次に見たルインは顔を涙に濡らしていた。
ディザイアは何故ルインがこんな辛そうな表情を浮かべているのか分からず、ルインの視線を辿ると傷ついたエックスとゼロ。
パーツとなって四散したカーネル。
泣きじゃくるアイリスの姿があった。
ふと、自分の手を見遣ると手が真っ赤に染まっていた。
この光景を生み出したのは自分。
そして彼女を傷つけたのも…自分…?
それに気づいた瞬間、ディザイアの今までの記憶が駆け抜ける。
シグマからの改造を受けてからしてきたレプリフォースの虐殺。
そして、エックス達にしてきたこと。
凄まじい罪悪感がディザイアを苛んでいく。




































エックス「ディザイア」

ディザイア「………」

目を開くとアルティメットアーマーからフォースアーマーに戻っているエックスが申し訳なさそうに自分を見つめていた。

ディザイア「(何て顔をしているんですか、あなたはイレギュラーを討っただけだと言うのに…)」

ルインを守るためにイレギュラーを倒すと誓っておきながら自分がイレギュラー化してしまうとは何たる皮肉か。
自分の命は残り少ない。
だから伝えたいことを少しでも多く伝えたい。
自分が心底愛した女性が愛した彼に。

ディザイア「ありがとうエックス君…よく私を倒してくれた。君のおかげでようやく正気に戻れたよ…後少しで私はとんでもないことをしてしまうところだった…」

嫉妬、憎しみ…負の感情から解放され、初めてエックスに対して素直になれた。

エックス「…っ!!」

今までのような事務的な物ではない。
彼の素の言葉にエックスは目を見開いた。
ディザイアはそれに苦笑しながら自身の両手を見遣る。

ディザイア「全ては…全ては私の弱い心のせいだ……己の過ちを認めるのは勇気のいること…しかし…これで…これで少しは強くなれただろうか……」

最後の最後に、ディザイアは本当の意味で強くなれたのかもしれない。

ディザイア「ぐっ…!!」

エックス「ディザイア!!」

身体に走る激痛に表情を歪めるディザイアにエックスはサブタンクを取り出した。
近くにあるノットベレーの残骸も回収し、ディザイアの元に向かう。

エックス「大丈夫か?すぐに治療を…」

ディザイア「いいんですエックス君…私はもう…助かりません……」

元々適合出来ないカーネルのパーツを強引に取り込んだ時点で身体に歪みが生じていたディザイア。
ノヴァストライクやギガブレードのダメージもあり、見た目以上に内部はボロボロだった。

エックス「………」

ディザイア「エックス君…このサーベルをアイリスさんに…カーネルのDNAは此処から出て、すぐの部屋にあります…………。私のボディはここに置いていって下さい…私にはもう…ルインさんに合わせる顔がありませんから……もう…これ以上、彼女を苦しませたく…ない…っ!!」

守りたいと思っていたルインを逆に傷つけていたことに気づいたディザイアはルインに対してけじめを通そうとした。

エックス「……分かった。すまないディザイア………彼女は俺が守る。君の分まで」

もうルインに合わせる顔がない。
これ以上彼女を苦しめたくないと訴えるディザイアの意志を尊重し、その願いを叶えてやることにしたエックスは彼に誓いの言葉を立てながら部屋を後にした。

ディザイア「エックス君………世界を………ルインさんを………頼み…ま、す………」

心を取り戻し、自分の守ろうとしたものをエックスに託すと、愛ゆえに狂気へと走った悲しきレプリロイド、ディザイアは静かに機能停止した。 
 

 
後書き
ディザイア撃破。
アルティメットアーマーはフォースアーマーが変化した物と設定しています。

オリジナル技

ギガブレード

ブレードアーマーのギガアタックのアルティメットアーマー版。
ノヴァストライク同様に連発可能。 
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