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家長カナの奇妙な冒険

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梅楽園での攻防 前編

 
前書き
第5話、スタート! 

 
《浮世絵中》

放課後、カナとゆらは屋上にいた。

「ごめんな、家長さん……。」

「?」

「そ、その……。助けてもらって……。」

「ううん、気にしないで。(久しぶりに止めたけど、上手く出来て良かった……。これから、時を止める事が多くなるかもね……。)」

(家長さんに助けられたなんて……陰陽師の恥や。この汚名は必ずそそいでみせる!)

「あっ、こんな所にいた!」

「清継くんが呼んでいるよ。清十字怪奇探偵団の会議だって!」














「全員、集まったようだな。では、ビッグニュースを発表する!」

「ビッグニュースって?」

「なになに?」

「喜ぶがいい!我ら、清十字怪奇探偵団は今週末に……おりゃ?団員が足りないようだな。」

清継の一言に、辺りを見渡す。

「奴良くんは?」

「若?……はっ!朝から一度も若の姿を見ていない!」

『うぅ……寒っ!』














《奴良組・本家》

リクオは、あの出入りの後、風邪をこじらせていた。

カナ達もリクオの見舞いに来ていた。

「すまねぇな。わざわざ、リクオの見舞いに来てくれて……。」

鯉伴が、カナ達を案内している。

「いいですよ、鯉伴さん。ねぇ、皆?」

『うん!』

話していると、リクオの部屋に到着した。

「リクオ。お友達がお見舞いに来てくれたぞ。」

「お邪魔しまぁ~す。」

「情けないぞ、奴良くん。風邪をひくのは、馬鹿の証拠だ!」

「じゃあ、ゆっくりとしていきな。」

「あ、ありがとうございます。奴良くんのお父さん。」

「リクオくんが風邪ひくなんて、何かの前兆なのかな?」

「ひ、ひどいな!カナちゃんは!」

「冗談よ、冗・談♪」ニコッ

「カナちゃんって、時々冗談ですまないからなぁ~。」ボソッ

「何か言った、リクオくん?」ゴゴゴゴ

「な、な、何も言ってないよ!?(どうして、お母さんといい、カナちゃんも地獄耳なんだ!?)」

「さぁ~て、看病はさておき。清十字怪奇探偵団全員が、揃ったところで。改めて、週末の予定を発表する。」

「週末……?」

「そうだ。どうせ、君たちは暇だろう。アクティブな僕と違って。」

(清継くん、今……私達を馬鹿にしている、よね……?)ゴゴゴゴ

「い、家長くん……?どうしたんだぃ?」

カナから発する気迫に、清継は思わず、怖じ気ついた。

「ううん、なんでもないよ?」

「そ、そうかぃ…。では…この週末、僕が以前からコンタクトを取っていた妖怪博士に会いに行く!」

「えっ……?」

「なに、それ?」

「妖怪博士が、素敵な旅館も用意してくれているぞ!……妖怪合宿だ!」

「合宿!?」

「……。(清継くん、何を考えているやら……やれやれ。)」

「どうする?」

「まぁ、暇だから行ってもいいけど。カナは?」

「私…?私は……行ってもいいかな?」

カナを筆頭に、全員が承諾した。

「よぉ~し、決まりだ!場所は、妖怪博士が指定してきた『梅楽園』!そこで、清十字怪奇探偵団第1回妖怪合宿だ!」

(やれやれ……また、私が守ってあげなくちゃ、ね……。)













~数日後~

《梅楽園》

「一体、何回乗り換えさせるのよぉ……。」

「あぁ…腰が痛いぃ~。」

「さぁ皆、見るがいい!ここが目的地だよ。」

清継がそう言うと、皆が見上げる。

楽園……というよりは、山そのものである。

「へぇ……まだ、梅の花が咲いているんだ!」

「キレイ……。」

「って、ここのどこが“園”なの!?“山”じゃん!」

「細かい事は、気にするな。さぁ、行くぞ!妖怪博士との待ち合わせ場所、『梅若丸の祠』へ!」

「祠?」

「どこにあるの?」

「知らない。自力で探せという事だ。この山のどこかにある。」

「えぇ!?この山を探すの!?」

『はぁ~……。』

清継の計画性の無さに溜め息が出る。

(特に妖気は感じひん。せやけど、油断は出来へん。)

ゆらは、先日の恥をかかないよう神経を尖らせている。











山を登り始めて、しばらくたつが、一向に待ち合わせ場所に着かない。

「人なんて、いなそうですけど。」

「馬鹿だねぇ、島くん。人がいないからこそ、妖怪が出るじゃないか。多分ね。」

「多分ですか…。」

「?」

すると、カナはとある祠を見つけた。

「……うん、なんやろあれ?」

「どうした、ゆらくん?」

「小さい祠に、お地蔵様が奉ってあるみたいやけど。」

「どこ?」

「遠くて良く見えへんけど、何か書いてあるみたい。ちょっと見てきます。」

「「『梅若丸』って、書いてあるよ。」」

『えぇ!?』

「「…………。」」

清継達が驚く中、カナとリクオは互いを見つめ合っていた。

2人とも「何で、見えるの…?」と思っているだろう。

因みにカナは、“スタープラチナ”の望遠鏡並みの視力で捕捉していた。

祠に近づくと、“梅若丸”って書いてあった。

「あっ、ホンマや。」

「これが、目的の祠だよ。やったぞ、ゆらくん!」

祠の前で、集まっているとふと足音が聞こえてきた。

ゆらが式神のお札を構え、カナは“スタープラチナ”を出し臨戦体制に入る。

そこに現れたのは、小汚ない格好の男性だった。

「なんだ?あの汚いの?」

「は、馬鹿!作家にして、妖怪研究家の化原(あだしばら)先生だ!」

「よぉ。意外と早く、梅若丸の祠を見つけたな。さすが、清十字怪奇探偵団。」

「あの、この祠の“梅若丸”って、なんですか?」

「そいつは、梅若丸っていうのは、この山の妖怪伝説の主人公(・・・)だよ。」

「妖怪伝説?」

「ついて来るがいい。」

そう言って、歩き出した。

カナ達も後をついて歩き出した。

そして、カナ達は目撃する。

この『梅楽園』という山のもう1つの姿を!!


To be continued→→→
 
 

 
後書き
第5話、いかがでしたか?

牛鬼編は長いので、前編と後編と分けます。

ただ今、アンケートを実施しています。詳細は、前話の後書きをご覧ください。

次回、「梅楽園での攻防 後編」

お楽しみに!

 
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