転生とらぶる
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マクロスF
0697話
シェリルやランカ、アルト達と待避壕に閉じ込められた翌日、俺の姿は街中にあった。こうして見る限りでは、昨日の……というよりも、シェリルのライブの日に行われたバジュラの襲撃で受けた被害はまだ回復しきっているとは言えないな。
……いやまぁ、そりゃそうか。敵の指揮官的なバジュラである赤い奴はいいようにアイランド1の中で暴れていたし、その後には雑魚バジュラもそれなりに侵入してきている。それを思えばしょうがないのかもしれないな。
「クッキーの詰め合わせを適当に頼む」
「はいよ、お客さんも病院にお見舞いかい?」
「ああ、上司がな」
「そうかぁ。店が繁盛するのはいい事だけど、そういう理由で繁盛するってのはあまり嬉しく無いよな」
洋菓子を主に扱っている店で金を払い、洋菓子の詰め合わせを受け取る。
普通、こういう時には果物の詰め合わせを持っていくのがいいんだろうが、ここは移民船団であるフロンティア船団だ。当然、その手のいわゆる本物の食べ物はかなり高額になる。勿論買おうと思えば買えるんだが、この身だけでマクロス世界に転移してきた俺としてはなるべく無駄遣いは避けたいというのが本音だ。
……上官のお見舞いが無駄か、とか。空間倉庫の中に色々と入っている、というのはあるが、それでもこのフロンティア船団で生活する以上はこの中で得た金を使って生活するのがベストだというのは間違い無い。そんな訳でオズマへと見舞いに洋菓子、悪くなりにくいクッキーを中心とした詰め合わせを買った訳だ。
『大統領は先日の件で亡くなられた方の葬儀に関して支援金を……』
洋菓子店の中にあるTVがニュースとしてそんな映像を流している。そして、このフロンティア船団の大統領の映像がTVに映し出され……
そう言えば、グラス大統領。昨日の女はキャサリン・グラス中尉。とか言ってたが……偶然か? まぁ、同じ名字を持つ者くらいそれなりにいて当然だろうが。
そんな風に思った時だった。TVに映し出されたグラス大統領の隣に妙な髪型をした優男の姿が映し出されたのは。言うなれば、キノコカットとでも呼ぶべきか。そんな男がグラス大統領の隣に立っている。
あの立ち位置から考えると、秘書とか側近とか右腕とか、そんな感じの男だとは思うが、こうして見る限りで野心を燻らせている目をしているな。それに自分以外は駒だと思っているかのような、そんな雰囲気を感じさせる。
当然そんな雰囲気を出さないように注意はしているのだろうが、幸か不幸か俺にはしっかりと分かってしまった。この辺、恐らく数多くの悪役なりなんなりと接触してきたから本能的に察知したってのもあるんだろうが。あるいはシェリルの秘書だったグレイスのように直接会えばもっと違うのかもしれないが……
ただ、こうして画面越しに見ている限りではどことなく小物臭を感じるような……まぁ、とにかく。
「さて、妙な騒ぎが起きないといいけどな」
「ん? どうかしたかい?」
洋菓子の詰め合わせを受け取ったままTVに視線を向けている俺に、店主が興味が向いたのかそう尋ねてくる。
「いや、大統領がTVに映ってたみたいなんでな。ちょっとそれを見ていただけだ」
「ああ、グラス大統領か。性格も穏やかで、それなりに有能だとは思うんだけどねぇ。任期中にまさかこんな事になるとは思わなかったよ」
「有能なのか?」
「そりゃそうさ。これまでにも改革派と保守派の間を取り持つ中道派の政治家として活動してきた経歴を持っているし、実際、他の我の強い政治家達を取り纏めてよくやっていると思うよ」
「……へぇ」
意外や意外。小物臭がするキノコを侍らせているのを見る限り無能な操り人形だとばかり思ってたんだが、店主の話を聞く限りでは一応それなりに有能な人物ではあるらしい。
「ん? 何だい、兄ちゃんは知らないのか? 学生だとは言っても政治には興味を持った方がいいぞ。学校の勉強はだな……」
「ああ、いや。俺はつい最近フロンティア船団に来たばかりでな。この船団についてはあまり詳しくないんだよ」
「ほう? じゃあ学生じゃなくて社会人かい? その年齢で随分と立派だな。なら、ついでにこれも教えておこうか。あのグラス大統領の1人娘さんは、大学を首席で卒業後に準ミス・マクロスにも選ばれた別嬪さんでな。今は確か軍人になって大統領を支えているんだとか何とか」
グラス大統領、1人娘、準ミス・マクロス、軍人。これらの事が瞬時に脳裏を過ぎり、すぐにそれが誰を示しているのかを理解する。昨日俺とアルトを救助に来たキャサリン・グラス中尉だろう。
偶然の一致かと思いきや、本当に大統領の1人娘だったとはな。
「そうか、詳しい情報を感謝する。さて俺はそろそろ見舞いに行かなきゃいけないからこれで失礼するよ」
「おう、うちのクッキーを食べれば怪我人でも病人でもすぐに治るからな。安心しろ」
がっはっはと笑う店主に声を掛けられつつ、洋菓子店を出て軍事病院へと向かう。幸い電車の類は既に復興済みであり、特に足に困るというような事も無かった。……まぁ、最悪影のゲートって手段もあるんだが。
ああ、でもフロンティア船団ともなれば防犯カメラとか普通にあるから、その辺に決定的瞬間を映されないように注意しないといけないな。
そんな風に思いつつ、電車を使って軍事病院へと到着。受付で見舞いの手続きをして上層部の階にあるオズマの病室へと入っていく。病室の中では身体中に包帯を巻いたオズマがベッドの上で寝転がりながら雑誌を読んでおり、自分で機体を操縦出来ない程の怪我をしたばかりとは思えない程だ。どうやら傷は予想していたよりも軽いらしい。
「よ、傷の具合はどうだ?」
「ん? アクセルか。そうだな、派手に怪我をしているように見えるが、実際はそれ程重傷じゃないな」
幸か不幸か病室の中にいるのはオズマだけであり、相部屋の人物や俺以外に見舞いに来ている者も存在していない。
「スカル小隊の隊長が入院したっていうのに、見舞い客は無しか? 随分と人望ある隊長だな」
俺のそんな軽口に、口元に笑みを浮かべてからオズマが口を開く。
「へっ、抜かせ。お前が1番遅いんだよ。ミシェルやルカはもう帰ったし、カナリアはやる事があるって言ってここの医者と何やら相談しているしな」
「なるほど、なら前言撤回。随分と慕われているらしいな。ほら、一応見舞いの品だ。もっとも、お前よりは妹の方がこの手の食べ物は好きだろうけどな」
そう告げ、クッキーの詰め合わせを差し出す。
「……菓子か。確かにこういうのは俺よりもランカの方が喜ぶだろうが。どうせなら入院している俺がもっと喜ぶ物を持ってこいよ」
「こんなのとかか?」
空間倉庫から取り出した肉まんを1つオズマへと放り投げる。
「うおっ! あ、熱っ! 熱っ! 熱いぞおい!」
「超包子特製の肉まんだ。熱いうちに食え」
「超包子って何だよ。娘々とかなら知ってるけど」
「俺達の世界と繋がっている世界の1つにある店だよ。いいから食ってみろ。このフロンティア船団じゃ天然物の肉とかは希少価値が高いんだろ?」
「……天然物、なのか?」
「まぁ、飼育している豚だろうから正確には天然物とは呼べないかも知れないけどな。それでもフロンティア船団では滅多に食えない上物だ」
俺の言葉に若干疑わしそうな表情を浮かべつつも、それでもやはり興味が勝ったのだろう。余程に熱いのか、手の中で何度も転がしつつも肉まんへと噛ぶりつく。
「……美味っ! 何だこれ。本当に美味いぞ!?」
「だろう? 超包子があるネギま世界でも1部ではあるが有名な店だからな」
四葉の年齢の関係上、店が出せるのは麻帆良限定なんだよな。……あ、でも高校生になったからもう少し行動範囲が広がるか? ……いや、結局高校も麻帆良なんだからそう変わらないか。
「はふっ、はふっ……確かにこれは有名になるだけはあるな。ランカが時々お土産や出前で娘娘のマグロまんを持ってきてくれるが、残念ながらこっちの方に軍配が上がる」
「ちなみに、その店のオーナーはこの前中学を卒業したばかりだぞ」
「はっ!? じゃあ、ランカと同い年って事か!?」
「そうなのか? まぁ、そのクラスは色々と規格外な存在が揃っていたからな。小国の姫とか……ああ、いやまぁ、それはともかくとしてだ」
っと、危なく吸血鬼や幽霊、忍者、魔法使いがいるとか言ってしまうところだった。
だが、俺が言い淀んだ事で何か言いにくい事情があるとでも判断したのか、オズマはそれ以上その件について話すでもなく、大人しく肉まんを口へと運ぶ。
そのまま食い切ったところで、ポツリと口を開く。
「ミシェルやルカの友達にアルトってのがいただろう? ギリアムのVF-25Fを操縦していた奴」
「ああ、知っている。シェリルのコンサートで一緒にアクロバット飛行をしたし、お前が怪我をした時にお前の妹と一緒に待避壕に閉じ込められていたからな」
「……言っておくが、ランカにちょっかいを出すのは許さんぞ。ランカと付き合いたいなら、せめて今付き合っている複数の女との関係をきちんと精算してからにして貰う」
「別にそんな気は無いから安心しろ」
「お前っ、ランカのどこが不満だってんだ!?」
「落ち着け! お前は俺とランカとくっつけたいのか、くっつけたくないのか、どっちなんだよ」
「勿論くっつけたくないに決まってる。お前みたいなのとくっつけば不幸になるのは目に見えているからな」
「お前、それこそ俺の恋人達に謝れよ……」
オズマの言い分に思わず突っ込む。
「まぁ、それはそれとしてだ。その、アルトって奴に言われたんだよ。バジュラの件やその他諸々の事を隠すなってな。自分なら例え傷ついてでも真実が知りたいって」
「……なるほど。まぁ、アルトなら言いそうだよな」
あの直情径行と言ってもいい性格のアルトだ。確かにどんな隠し事であろうとも、知らないよりは知っている方がいいと言うだろう。一見すると単純馬鹿にしか見えないが、それこそがアルトの長所の1つでもある。
「で、どうするんだ? アルトにバジュラの件を教えるのか?」
それは即ち、アルトをS.M.Sに引き込むという事に他ならない。勿論美星学園でミシェルに次ぐ技量を持っているアルトだ。多少の訓練は必要だろうが、足手纏いになるような事は無いだろう。
と言うか、もしアルトがS.M.Sに入ってくれば俺の後輩になるのか。パシリでもさせてみるかね。
「いや、取りあえず24時間の猶予をやった。1日経って、それでもまだ決意が変わらないようなら引き入れようと思う」
「24時間……ああ、そう言えば明日は」
ギリアムの葬式だったな。そう告げようとして、言葉を途切る。明日行われるのは葬式と呼べる程に立派なものではない。閉じた生態系であるフロンティア船団で有機物として再利用される為の糧となる、といった方が正しいだろう。
だが、最後まで言わずとも俺の言いたいことは分かったのか、オズマは小さく頷く。
「ああ、明日の葬式が終わったら奴の返事を聞く事になるだろうな」
敢えて葬式を言い切った辺り、オズマの……いや、S.M.SのVFパイロットしての矜持なのだろう。
そんな表情を浮かべているオズマに、ふと思いついて口を開く。
「キャサリン・グラス」
ピクリ。
見事にその呟きに反応するオズマ。
「やっぱりお前の昔の女か」
「……どこで会った?」
「昨日救助に来たのがその女だったんだよ。それにシェリルの護衛を統括してるっぽいし」
「そうか、キャシーが……」
俺の言葉に小さく笑みを浮かべるオズマ。微妙に未練があるっぽいのをみると、別れてた理由は訳ありか?
それからは俺がその件を追究し、オズマが誤魔化すという風に話し続け、やがて1時間程経ったところで帰る事にする。
「じゃ、俺はこの辺で帰るぞ」
「ああ、今日は悪かったな」
「何、お前の面白い秘密も色々と聞けたからな。お相子って事にしておいてやるよ」
「……ふんっ、さっさと帰れ」
オズマの照れくさそうな顔に小さく肩を竦め、俺が持ってきたクッキーの詰め合わせから1枚口へと運んで病室を出て行くのだった。
翌日、ギリアムとの葬儀の後でアルトがS.M.Sへと入る意志を示す事になる。
後書き
アクセル・アルマー
LV:41
PP:425
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
???
???
撃墜数:594
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