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【一発ネタ】レイフォンに憑依したオリ主が上から目線で原作をぶっ壊すお話

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前書き
アルシェイラの捏造アンチ表現があるよ。「設定を捏造してまで叩くなよ……」って自分でも思うけど、嫌いなんだから仕方ないね☆(キラッ
あとレギオス8巻ちょろっと読み返したらこのSSのリーリンマジで原作要素皆無になっててワロタwwwwwwwww


リーリンの思春期の話を書きたかったのに何故かクラスメイトのCちゃんが登場してきてこんな中途半端な話になった。
本当はリーリンにエロゲヒロインの台詞を言わせる予定だったのにどうしてこうなった?
次回(があるなら)から本気出す。 

 
 

《なにごともないその日:1》


「――優勝者! レイフォン・アルセイフ!!」


 リングアナウンサーが栄誉者の名を告げると同時に、爆発的な歓声が闘技場を、続いてグレンダンを揺らす。収容人数5万人の闘技場はグレンダン総人口の一割にも満たない観衆しか収めることが出来なかったが、都市のそこここに配置されたテレビジョンはほぼ全ての都市民に等しく歴史の証人となる権利を与えたのである。そうしてこの日のグレンダンは震撼することになったのだ。

 極限への到達者、12人目の天剣、最後の天剣授受者。確かに今日は格別の栄誉の中でも更に大書すべき記念的存在が生まれた日ではあるのだが、しかし、この日の天剣授受者決定戦は極めて盛り上がりに欠ける内容でもあった。

 予想通り。いつも通り。前の試合と同じ展開。その前の試合も、更にもう一つ前の試合と同じ展開。その更にもう一つ前の試合も…………そのような完全なる予定調和、(合法的な・お遊びとしての)賭けが成立しない大会。武芸を見るという意味では最高に、かつてないほどにつまらない大会。

 だがそれでも良かった。闘技場を埋め尽くした観衆は、家を飛び出して街角のパブリック・ビューイングへ足を運んだ観衆は、執務室や教室や果ては病室へラジオやテレビジョンを持ち込んだ聴衆・観衆達は、昨年綺羅星の如く登場したレイフォン・アルセイフという少年のサクセス・ストーリーを楽しみに来ていたのだから。




 ――その一方で、シナリオ通りにイベントが終わってしまったことへの不満を隠さない者も、探してみれば存在しているものである。具体的には、闘技場の貴賓室とかに。その者の……その女の名前はアルシェイラ・アルモニス。グレンダンに君臨する絶対権力者である。


「はーーーー。嫌だ嫌だ、つまらない。結局新人君の手加減を緩めさせることすら出来ない半端者しか出場していなかったとはねぇ……」


 超越的な実力を備えた彼らにとって、そのような結末は最初から予見されたことであろうに、白々しくも口惜しがって見せながら右隣の男を流し見るアルシェイラ。


「彼の鋼糸……見られなくて残念だったね?」


 言葉面は如何にも残念との体裁をとってはいたが、面に浮かべた意地悪げな笑みが全てを台無しにしていた。要は嘲笑って(揶揄って)いるのだ。アルシェイラの強引(物理)な引き止めと些細な好奇心に屈して大会が終わるまで見事に時間を浪費し続けた男――リンテンス・サーヴォレイド・ハーデンのことを。

 そして、彼女の揶揄いの対象はリンテンスだけでない。次いでアルシェイラは、やはりニタニタといやらしい笑みを浮かべながら左隣の女を見やる。

 しかし、同じくアルシェイラの不快な視線を受けることになった女は、リンテンスと同程度に言葉少なで忍耐のある気質というわけではなかった。


「……ウザ。試合で見せた内力系活剄の錬度と早撃ち(クイック・ドロウ)だけで銃使い(ガンナー)としての実力を測るには十分。特別な調整を施した錬金鋼なんて別に見る必要ない。こっち見んな、くそ陛下」


 それ故に女――バーメリン・スワッティス・ノルネは、虫唾ダッシュ顔全開で早口にアルシェイラを罵ることで己の鬱憤を晴らさんとするのである。まるで朝のバスタイムを妨害してくださった敬愛すべきクソ陛下にはそれが相応しい待遇なのだとでも言いた気に。そういう態度をとるから、彼女は事あるごとにアルシェイラのちょっかいを受けるのだと…………そんなことはもちろんバーメリン本人も承知していたが、気に喰わないものは気に喰わないのだからどうしようもなかった。虫が好かない、相性が悪い、犬猿の仲。バーメリンとアルシェイラは(実際のところは別にアルシェイラだけに限った話でもなかったりするが)そんな間柄なのである。

 従って、不敬極まりない臣下の言葉も「いつものこと」として聞き流し、さっさか話を進めるアルシェイラ。傍若無人にして唯我独尊。それがこの女王のデフォルト設定であるからにして。


「あ、そう。それで? バーメリンは新人君の実力をどう見たわけ? やっぱり期待外れだった?」
「天剣の授受はくそ陛下の専権事項。くそ陛下が既にレイフォン・アルセイフを"新人君"呼ばわりしている以上、くそガキが天剣になるのは確定。その状況でガキの実力がどうかなんてくそほどにさえ語る価値もない」


 全く動じて見せないアルシェイラに更なる苛立ちを募らせたのか、結婚適齢期の、結婚適齢期の淑女には不適切な汚い単語を4度も用いた汚い言葉を「話は終わり?はい終わりね」とばかりに吐き捨てて勝手に帰り始めるバーメリン。……と、それを見逃さず便乗するリンテンス。ついでにリンテンスも帰り際に乱暴な言葉を吐き捨ててみせる。バーメリンと比較すれば言葉少なと呼べる男ではあるが、別に寡黙と呼ばれるほどでもない。平素の憮然とした、人嫌いであることを隠さぬ態度からそう誤解されがちなだけである。


「所詮、銃など振り回して粋がっているうちは……芸とも呼べぬ猿真似止まりだろうよ」
「――――ムカ。喧嘩売ってる? お前こそ腐れ○○○を引っ付けたくそマス○き猿のくせに。黙ってくそ家に帰って鏡見ろ。汚いくそ猿面が映ってるから。それからくそ煙草臭いから隣を歩くな」
「それはそっくりそのままこちらの台詞だ。近づくな。香水の付けすぎだ」
「煙草の吸い過ぎでくそ溜め中に建ったくそ家と乙女のたしなみの嗅ぎ分けも出来なくなったのか? お前のくそ家はあっちだ。こっちへ寄って来るなくそもじゃ陰気男」
「老眼が進んですぐそばの壁も見えなくなったようだな。剄で誤魔化している外見年齢を省みてから乙女を名乗ったらどうなんだ? 嫁き遅れ」




 そうしてアルシェイラは一人、貴賓室にとり残される。遠くの方で天剣同士の諍い(物理)が勃発したことをアルシェイラの鋭敏な感覚は捕らえていたが、しかしアルシェイラの思考にはそんなことに囚われている余裕は残されていなかった。

 かつてサヴァリス・ルッケンスが若干14歳で天剣クオルラフィンを手にした時、アルシェイラはこれに近い事態を漠然と予感してはいたのだ。即ち『次の天剣は更に若い』と。しかし、まさか件の少年が10にもならぬ段階で天剣が全て埋まるとは、それほどとは思ってもみなかったのである。

 レイフォン・アルセイフ。わずか9つで天剣ヴォルフシュテインを手にする少年。アルシェイラの予感を裏切る形で天剣になる少年。最年少記録を5年も――この記録はまず破られることがないだろう――塗り替えてみせた少年。


「フフ……」


 ――これは偶然だろうか?
 ――否、偶然であるはずがない。

 ――ならば、ここから始まるのだ――――――――


「フフフフフ…………」


 アルシェイラの周囲で運命がくるくると廻り始めていた。









《愛の挨拶》


「いってらっしゃい、リーリン。今日も勉強頑張って」
「ありがとう。レイフォンも大変だと思うけどお仕事頑張ってね?」


 早朝。グレンダンに存在するとある女子中等学校の正門前に、抱擁を交し合ううら若き男女の姿があった。

 男――少年の名はレイフォン・ヴォルフシュテイン・アルセイフ。槍殻都市グレンダン擁する最高戦力、12名の天剣の一角を担う破格の武芸者。齢12にして天剣最強の呼び声も高い寵児。少女の名はリーリン・マーフェス。天剣ヴォルフシュテイン卿の最愛と目される可憐な乙女。しかし神秘性すら感じさせる儚げな外見からは想像もつかぬほどの活発性を内に秘めており、時にヴォルフシュテイン卿すらもたじたじとさせることがある。

 彼らは中途での一時的別離を余儀無くされると知りながらも、毎朝仲睦まじく通学と通勤を共に行っている。6年前、二人が初等学校へ入学した事に端を発する習慣は、ヴォルフシュテイン卿が武芸者『らしさ』を増すにつれ少しずつ様相を変えながらも、未だ破られずにいた。

 二人の影が一つになってから時を経ることしばし、レイフォンとの別れを刹那でも先送りにするのだと言いたげに、堅くレイフォンの身体を抱き締め続けていたリーリンの腕より力が抜ける。それは別に、レイフォンの逞しい身体の感触と蟲惑的な体臭(リーリン談)に彼女が十分満足させられたから……というわけではない。むしろそれは、レイフォンに対するリーリン流のおねだりなのであった。そしてそんな彼女の仕草をレイフォンは見逃さない。(何しろこんなことを4年も続けているのだ。レイフォンだって4年前よりは成長しているのである。)微笑みを浮かべつつ、彼女の額への優しい口付けという百点満点中九十点の行為(リーリン談)で応えてみせる。

 そんな、およそ4年前のある朝から現在まで、欠かさず送られ続けている愛の挨拶に、リーリンはパッと花のような笑顔を咲かせて喜びの色を表す。既にレイフォンの心はそれだけで十分に満たされているのだが、リーリンは「今度は私の番だよ!」と言わんばかりの如何にも待ちきれぬといったような様子で、勢い良くレイフォンの頬に口付けを返した。

 ここまでの一連の流れが、彼と彼女の現在の『習慣』である。例えば、レイフォンがリーリンの手を引いて初等学校まで導いた最初の一年間。または、二人が肩を並べて家路を辿った最後の――初等学校を卒業した――日。二人を取り巻く環境が変化するに従って微妙にカタチを変えながらも、二人の『習慣』は継続してきたのである。そしてここ数ヶ月の間、彼らの習慣……即ち「二人きりで歩む時間」はここで終わるのが通例だった。彼女、リーリンの級友が登場することによって。


「おっはよーっ リーリン! 今日も朝からあついねぇ~~。このぉ、くのぉ。……っあ、ヴォルなんとか卿も、おはよーございまーす」


 礼儀正しいんだが無礼なんだかよくわからな……いや、ぶっちゃげ無礼なんだが、しかしさしてそうとは感じさせないほどの明朗さと快活さを身に纏い、飛び跳ねる様にして登場した少女。そんな現在進行形でリーリンに絡み付いている彼女を、やんわりと離しながらレイフォンも丁寧に挨拶を返す。


「おはようございます。ミス・カズミ・アサクラ。ミス・アサクラは今日も元気溌剌ですね。大変よろしいことだと思います。それから、いつもリーリンと仲良くしてくれてありがとう」


 天剣の技量を前にしては一般人(自称)のカズミ・アサクラにはなす術も無く。それでも、あるいは抵抗していたのかもわからないが、そんなものは最初から無かったとでもいうかのようにカズミの腕はあっさりと解かれ、リーリンは定位置――レイフォンの隣へ戻る。


「あはは、ヴォルフシュテイン卿は今日も過保護ですねー」


 リーリンにしなだれかかりながら歩いていたと思ったら1.5メートル以上距離を開けさせられて一人で普通に歩いていた――催眠術だとか高速移動だとかのちゃちな代物ではない"神業"を受けたカズミは、微かに頬を引きつらせながらそんな負け惜しみのような言葉を口にする。決して悪気は無いのだが、好奇心のままに行動して無自覚に状況を引っ掻き回す。それが、カズミという少女の『少女らしさ』なのであった。


「申し訳御座いません。ミス・アサクラ。つい、反射的にリーリンを守ってしまいました」


 実際のところ、レイフォンにとってはそのようなカズミの『若さ』は全く問題にならないものであった。しかし、カズミのそれとよく似た言動をとりながら傍若無人正々堂々那智暴虐ゴーイングマイウェイ天上天下唯我独尊KY丸でリーリンを攫いに来る無能系君主に心当たりがありすぎたのが不味かった。最早脊髄反射に等しいレベルでレイフォンはこのような対応をとってしまうのである。

 一方、今日も今日とて相変わらず保護者目線が抜けないレイフォンの言動に微かに唇を尖らせながらも、レイフォンが極々自然に見せた自分を守る騎士の様な動きに頬を赤く染めるリーリン。レイフォンという男は例え相手が同姓であってもリーリンへの過剰なスキンシップは決して許さない。リーリンはこれまでの経験からそれを十分理解していた。そしてそれはまるで、彼の独占欲が表出であるかのようにも思われて――実際はそんなことではないのだとリーリンも既に気付いてはいたのだが、それでも――彼の愛情表現が誇らしくて、嬉しかった。何と言ってもそのような扱いを受けるのは、姉妹達の中でもリーリンだけなのだから……。

 浮き立つ心が命じるままに、リーリンはそっとレイフォンの手を握る。何度も潰れて切られてごつごつと堅くなったその手。過去にレイフォンが負った沢山の傷。その一つすらもリーリンは痛みを知らない。けれど、想像することはできた。この手はレイフォンの優しさの証だった。

 ――――レイフォンは、眩しかった。どうしてレイフォンが武芸者になったのか、わからなかった。でもそこには『自分』が居るような予感がしていた。だから、その理由をレイフォンから教えてもらえることはないと確信していた。故にリーリンは手を握る。「隣に居たい。ずっとレイフォンを見ていたい」言葉に出さず、思いを込めて。

 物心がついた時から、一度としてレイフォンから離されたことは無い手。そこにリーリンの信じる幸福のカタチ()があった。









《なにごともないその日:2》


 レイフォン・ヴォルフシュテイン・アルセイフは、グレンダンに君臨する女王アルシェイラ・アルモニスへの忠誠を誓わない異色の天剣である。否、実際のところを言えば忠誠心の不足した天剣など特に珍しくもないわけだが、一欠片の忠誠心すら持たず、しかも強敵との戦いだって望まずに天剣を受け取った変人と言えば、即ちそれはレイフォン・ヴォルフシュテイン・アルセイフのことである。

 彼は女王から天剣を授けられる際、誓いの言葉に代えて以下のような大胆不敵な告白を行った。「天剣が持つ、専制君主たるアルシェイラ・アルモニスへ謁見し進言する権利。それから孤児院へ入れられる幾ばくかの歳費が欲しかったのです」と。そしてさらに言葉を継いで、「1年前に陛下がこの都市の孤児達を見殺しにした事実を(わたくし)は忘れておりません」とも。ちなみにその際、一定の賢明さを備えるレイフォンは『メイファー・シュタット事件(リーリン・マーフェスの件)』には触れずにおいた。

 彼がアルシェイラに対して挑発的な言辞をとったことにも理由がある。

 1年前にグレンダンで起こった食糧危機。その時レイフォン・アルセイフは、『原作のレイフォン』が地位や権力をといったものを差し置いて金への執着を抱くようになった動機(わけ)を知った。つまり全ての原因が『彼の幼さ』にあったわけではなかったということを。食料危機において『彼』が目撃し、その身に刻み付けられたのは、資本主義(弱肉強食)の酷薄な論理、構造的な暴力の痕跡だったのである。

 その事実を、自身の体験を通じてレイフォンは理解するに至った。

 食料が危機的に決定的に不足したのならば、無から有を生み出す魔法を使わぬ限りは結局、厳正な管理と公平な分配によって乗り切るしかない。これは自然的に導き出される回答であろう。そして、確かにグレンダンでは政府による一元的な食糧の管理と分配が実施された。ただし、それには頭に"不平等な"という余計な言葉が付属していた。政府が安全保障(セクリタス)を建前に武芸者と一般市民の配給量に格差を設けたために……。

 上意下達。哲人皇帝アウレリウスが古代ローマ市民の敬慕の対象とはなっても規範にはならなかったように、物事の常として良き事は中々伝播しないものだが、その逆のことであればいっそ喜劇的と呼べるほどに浸透は早い。政府による社会資本の傾斜配分を『政府による差別の容認』と理解した――それがあながち間違いでもないと言う点にアルシェイラ治世下のグレンダンの悲劇がある――者達は少なからず存在した。

 彼らによる食料の横流し・転売は次第に公然とまかり通るようになり、最終的にはより多くの食料を手にした武芸者と比較的裕福な中間所得層まで巻き込んで大々的に市場(ブラック・マーケット)が形成される。全てのツケを社会的弱者――概してそれは孤児や未亡人をはじめとする低所得者層である――へ押し付ける形で。貧しき社会の宿痾――富める者はますます肥え、貧しき者は痩せ衰える。危機的状況下にあってこそ、人は自己の利益を最大化せしめんとして一層狂乱を加速させるのだから。

 あるいは、かつての世界で日本国憲法が平等や公平を謳った理由もここにあるのだろう。そこに存在したのは「平等や公平は素晴らしいものだから」などという空疎な理由ではなく、単に不平等と不公平が惨禍を招くと言う事実を、戦争の経緯から、文字通り死ぬほど深く理解していたというだけの話だ。ケインズが構築したブレトン・ウッズ体制とそれによってもたらされたパクス・アメリカーナの核心もそこにあった。故に悲劇は繰り返される。戦争を忘れた世代と、知ろうともしない世代が故人の血と涙の結晶を紙束と引き換えに叩き売りすることで。――――これらの一連のプロセスを終わらないワルツに(なぞら)えた者は、全く大した詩人である。

 または、反吐が出るような人種差別を端緒にして事実上無効化された高校無償化問題や、地方自治体(行政)による生活保護者への迫害を思い返してみるのも良いだろう。そこにあったのは財政の危機ではなく、むしろ尊厳の危機だった。見下す側も、見下される側も、胸を張って生きてゆくことなど到底望めない不寛容な社会の貌が、うっすら見え始めていた。直言すればそれは相互理解と相互認知――他者への共感を柱とした民主主義国家の崩壊する音ではなかったか。

 閑話休題。そのようにして一連の事態は進行したのだが、しかし王制を敷くグレンダンにおいては、最終的には弱者保護の精神を持たないアルシェイラの手で犠牲が確定したのである。もっとも、『原作のレイフォン』はそこまで理解を及ばさなかったわけだが。何れせよ「貨幣(という名のケツを拭く紙)を持たない」なんてぇクソ戯けた理由で一方的に家族の死を押し付けられたわけだから、当時の幼い彼が拝金主義の弊に陥ったのも(むべ)なるかなと言うより他にないだろう。レイフォンに言わせれば「彼は徹頭徹尾、無形の暴力に曝され続けた被害者」なのであった。

 そんなわけでレイフォン・ヴォルフシュテイン・アルセイフはアルシェイラへの忠誠を持たない。彼が抱くのはアルシェイラへの疑心と反感であり、半ば必然的に天剣となったその翌日からほとんど日課のレベルでアルシェイラと口論を交わすようになるのである。

 その口論が、しばしば(レイフォンの)流血と(アルシェイラのOHANASHIによる)王宮の損傷を伴った"口論"が、人の口にのぼらぬはずも無く。それを承けて運命が奇妙な転変を行った結果、ミンス・ユートノールを旗頭としてレイフォン・ヴォルフシュテイン・アルセイフも中核メンバーに名を連ねる反アルシェイラ派――後年の歴史家は彼らを影の内閣を呼称する――が結成されることになる。

 しかし、それはもう少し先の話。

 今日という日は天剣が揃った日、円卓に騎士が集っためでたき日。グレンダンに平和が充溢した、なにごともないその日なのである。




 
 

 
後書き
 

<後書き1>
プロットを作ってないから時系列が滅茶苦茶なんだ☆(キラッ
書きたかったことの五割も書けてなくてワロタwwwwwwwwwwww
次回(があるなら)書けなかった要素を書けるようにしたい。
本当はレイフォンが無双するベヒモト戦を書きたいんだが……。
戦闘描写とか無理ゲーの予感しかしねえぞwwwwwwwwwwwwwwwww



<後書き2>
「市場には相変わらず物が溢れている(ように見える)のに自分達には食べるものがなかった」という風に原作レイフォンのトラウマを捏造しますた。
金の奴隷になるには金の力で家族が殺された体験くらいは必要なんじゃないのかなーと。
いあ、それくらいしか原作レイフォンがお金にこだわった理由が思いつかなかったので……個人で稼げる金なんて高が知れてるのに。
それから闇試合の収入って、パイの大きさとレイフォンの立場を考えると荒稼ぎには程遠かったんじゃないかと思っています。



<後書き3>
ネギまのキャラが登場したけどキャラと名前だけのゲスト出演です。クロスはしません。
オリキャラの名前考えるの面ry → クラスメイトのCちゃんってネギまの朝倉に似てね → じゃあもう朝倉でいいじゃん。 みたいな……。
で、朝倉って名前つけた瞬間に出番を寄越せと猛烈に自己アピールを始めるんだから困ったもんです。


 
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