神の子は世界を巡る《緋弾編》
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第Ⅴ章 熾る不死鳥
第026弾 「鴉」
前書き
疲れた(。-_-。)
2013年 4月 13歳
──居鳳町──
自身に与えられたホテルの一室で、今現在保持している情報を整理する。
リサの蘇生に必要な鳳を復活させる為の『欠片』は妖刕達と鴉が保持している。
妖刕達の正確な住所は不明。居鳳校へ行けば狩れるだろうが、教師陣に高位の異能が多数存在すると思われる為、攻めるのは躊躇われる。
対して、鴉の方は居場所も割れていて俺の異能なら楽に対処できる存在だ。
ついでに、44個分の『欠片』を保持している為、妖刕達を釣る良いエサになる。無論、鴉を打倒した場合だが。
「まぁ、決定だな。今日の午前中に狩りに行こ」
今後の方針は決まった、なら今は体を休めよう。
「って、リサを抱きっぱで何を考えてんだ。まずは死体の処置だろ」
自己嫌悪しつつ死体をどうするか考える─────
「んー、冷蔵庫に突っ込むかな......」
□ ■ □
「ふぁ〜。んま、よく寝たかな」
こちら側に来たのが午前一時ごろ、今現在は午前九時。時間的には良い頃合いだ。
眠気を振り払い、目を覚ます。武装を整え、これから自身が行う行為への覚悟を決める。
「大丈夫だよ、リサ。
何を犠牲にしても───絶対に助けるから」
自分への戒めの様に───そう、彼女に誓う。
さぁ、回り道はなしだ。
今日一日。明日を迎える前に、リサを救う────
そう決めた瞬間、自身の異能を用いて『鴉』の存在する成層圏まで連続転移を開始した。
数秒で転移は終了し、成層圏に降り立つ。
──────ギシギシギシ
「───、───!!!」
その瞬間、様々な負荷が同時に襲いかかり、身体が悲鳴をあげる。
───人間がココに短時間でも居れば、確実に命を落とす。なら、人間が行動できる場所まで『鴉』を引き摺り下ろすッッ!!───
判断が迅速なら、行動も迅速だった。
目の前に存在する〝光の繭〟......『鴉』と思われる存在を自身と同時に地上に向けて転移しはじめる。
だが───相手もそう簡単に、ことを運ばせてはくれない。
─────キィィィィンン!!!!!
転移の途中。
宙ではなく空に切り替わった瞬間、大量の緋い粒子が奔流となり自身へと押し寄せる。
「──────ッッ!!!」
触れるな。
触れるな
触れるな。
自身の第六感が、目の前に存在する緋い粒子は触れてはならない物だと警告する。
アレが自身に衝突するまで、大方2秒。それだけ時間があれば、緋い粒子を残らず吹き飛ばす事ぐらいは可能だ。
「消し飛べッッ!!」
手榴弾のピンを抜き、緋い粒子の中心へと転移する。そして同時に、自身の身体を後方20mに転移すした。
──────ゴォォオオオオオ!!!!!
手榴弾が轟音を立て起爆し、緋い粒子を薙ぎ払う。
「────、────!!」
が────詰めが甘かった。
『鴉』の本命はあの緋い粒子ではなく、俺の転移終了後に放った緋色の閃光。
──────グジュリ
俺の右脇腹が緋色の閃光によって貫かれ、血が流れる。だが、幸いな事に戦闘は続行できる程度の傷。
多少は動き辛くなるだろうが、身体機能に影響を及ぼす程のモノでは無──────
「───あっ、ヤバイ」
第六感が先ほどの緋い粒子と、同じような警告を発するが────今回は、少し遅すぎた。
「───精神汚染かよ──!」
緋色の閃光に乗って自身へと侵入した術式が、俺の精神の傷を切開しはじめる。
□ ■ □
────アタマガ───イタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ。
「っ────ぐ、う────!!!」
頭蓋が軋み、脳がかき回される。
最低な記憶が根こそぎ引きづり出され、脳内で再生される。
────助けて───タスケテヨ、ふぉーす。
視界が歪む。
いや、歪むなんてものじゃない。
視界が崩れ去った。
「──────ァ」
それは────今まで、自身が必死に目を背けてきたモノ。
人として見てしまったら、ココまで積み上げてきた〝自己〟が完璧に崩壊してしまう。
昨日まで一緒に笑っていた奴が、次の日には肉塊になっている最低の日常。
そして、それを行った者達を打倒するのではなく、一人だけ楽になる方法で逃げ出した〝最低な自分〟。
...........自己が先端から崩れる。
自身への嫌悪感が抑えきれない。
名も知らぬ友人達が最後に言う言葉は決まって「助けて」、その一言だった。
「死にたくない」生命として悲しすぎる程......尊い願い。皆、俺に向けて信頼しきった目で助けを願い、願われた数だけ、その願いを踏みにじった。
助けられるだけの異能は持っていたのに、俺は絶対に彼らを助ける事をしなかった。
自分可愛さで、大切なモノ以外はどうでも良いと自身に言い聞かせた。
本当は、ただ────怖いだけだったのに。
あぁ、でも───俺の前で死んだ奴の中に最後の言葉が「助けて」ではなく、「一緒に居れて幸せだった」なんて言った大馬鹿が居たな。
──────ギシ、ギシ
────あぁ──そんな大馬鹿を、俺なんかの為に死なせておく訳にはいかないんだ。
自身じゃ全てを助ける事ができないから、範囲を絞って大勢の友人を見殺しにしたのに。
今更、大切なモノすら助けられなかったじゃ、笑い話にもならない。
──────バキンッッ!!!
なら立たないと────トラウマを叩き潰して、今救える〝大切なモノ〟を救いに行こう。
□ ■ □
「ぁあああああああああああああ!!!!!」
無理やり術式による、呪縛を引きちぎる。脳は焼け、思考する度に激痛が襲いかかる。
が───今は邪魔だ、そんな瑣末ごとは気にしていられない。全身に喝を入れて、戦闘行動を再開する。
「っ─────!?」
『鴉』の戸惑いが聞こえる。
今まで、一切喋らなかった『鴉』の動揺の声。
「リサを救う為に───おまえは邪魔だ」
『鴉』を覆い、俺との壁となっている〝光の繭〟その死点に銃弾を放つ。
──────バンッッッ!!!
亜音速で飛ぶ鉛玉が〝光の繭〟に激突し『鴉』と俺との壁を霧散させる。
「見つけた───!!」
鶏卵ほどの『欠片』、それを『鴉』はまるで赤子でも守るかの様に、抱えて居た。
それを自身の異能で奪い取る───
「────、────!!!」
それを化生特有の第六感で感じとったのか、即座に俺を迎撃する為のエネルギー砲を放つ。
「その手の攻撃には耐性がある──!」
向かって来るエネルギー砲を斬り伏せ、『鴉』の懐に転移する─────
「貰うぜ、その『欠片』───!!!!」
『鴉』から『欠片』を奪いとり、ついでとばかりに死線に蹴りを叩き込む。
──────ゴギャァ!!!!
『鴉』の身体から血飛沫が舞い、姿勢を崩して落下して行く。
「─────勝ち......か」
今まで、無視していた痛みが一挙に押し寄せ、視界が歪む、脳が焼ける、脇腹から血が流れる。
だが、終わらない。
俺が転移を止め落下して行く中、遠くでキラリと多くの光が輝いた。
後書き
死神「頑張った俺、超頑張った!!」
怪盗「でも、まだ敵いるっぽいよ?」
死神「これが作者のやることかよぉぉおおおお!!!」
愛「ほら、もっと足掻けよ」
感想、質問、要望、評価、批評等待ってま〜す
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