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絶滅黒髪少女

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第一章

               絶滅黒髪少女
 もういなくなったもの、それはというと。
「黒い髪のロングヘアの娘ってな」
「いなくなったってか」
 友達が僕、泉田真一の言葉に応えた。
「そうしたヘアスタイルの娘が」
「黒髪の娘はいてロングヘアの娘がいてもな」
「それでもか」
「ああ、そうした娘はな」
「そういえばいないな」
 僕の言葉を聞いてだ、友達も頷いて来た。
「そうした娘は」
「いなくなっただろ」
「何ていうかな」
「髪型は色々でな」
 ロングヘア以外にもだった、ショートなりパーマをかけていたりだ。本当に髪型は一つじゃなくなっている。
 それに髪の色もだ、日本人だから黒が殆どの筈なのに。
「茶色だったり金髪だったり」
「赤くしたりな」
「純粋に黒髪の娘って減ったな」
「相当にな」
「絶滅するのかね、黒髪の娘って」
 僕はここでこうも言った。
「やっぱり」
「おいおい、絶滅か」
「そうなるんじゃないのか?」
「野生動物じゃないんだぜ、女の子は」
 僕の言葉にだ、友達は笑って返した。こいつの名前を津野智樹という。
「絶滅するかよ」
「そうしたことはないか」
「確かに減ったけれどな」
 黒髪のロングヘアの娘はだ。
「いなくなったって訳じゃないだろ」
「いや、今後はな」
「色々なヘアスタイルが出て髪の毛の色も色々になってか」
「今以上にな」
 そうなるんじゃないかと思っていた、現実に。
「そうなるんじゃないのか?」
「杞憂だろ」
「そう言ってリョコウバトは絶滅しただろ」
 アメリカに何十億もいた、けれど絶滅した。それこそ空を埋め尽くさんばかりにいたというが一羽もいなくなった。
 その例えを出してだ、僕は智樹に言った。
「だから有り得るとはな」
「考えてか」
「そうしないと駄目だろ」
「黒のロングヘアの女の子か」
「そして大和撫子な」
 黒のロングヘアとなればこうなる、個人的には大正時代の女学生の服になってくれると最高だ。
「いないだろ」
「大和撫子は幻想だろ」
「実際にはいないか」
「ああ、とてもな」
 そうだというのだ。
「いないだろ」
「そうか、いないか」
「ああ、いないよ」
「そっちは最初からいないか」
「少なくとも俺は見たことがないな」
 智樹は僕にはっきりと答えた。
「大和撫子は」
「そうか、それじゃあこっちは置いておいてな」
「ああ、黒のロングヘアの娘ならな」
「絶滅しないか」
「減ってもな」
「じゃあ僕が彼女にしても」
 ここで本題に入った。
「いいか」
「相手が好きって言ってくれたらな」
「実はタイプなんだよ」
「ああ、話してることでわかるよ」
「そうだよな、実際僕な」
 こう智樹に返した。
「そうしたタイプ好きなんだよ」
「黒髪ロングヘアか」
「それが王道だと思うけれどどうだい?」
「それを否定する男もいないだろ」
 これが智樹の返答だった。 
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