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原罪

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第六章

「デービス、朗報だよ」
「まさか」
「そう、そのまさかだよ」
「あいつが目を覚ましたんだな」
「今な」
 笑顔のまま言うホーナーだった、デービスに。
「よかったな」
「ああ、じゃあな」
「昼に行くか」
「見舞いにだね」
「ああ、行くさ」
 絶対にとだ、デービスはホーナーに答えた。
「飯を食ったらな」
「本当によかったな」
「生きてるんだな、あいつ」
「確かにな」
「何よりだ、けれどな」
「けれど?どうしたんだい?」
「倒れた位だからな」
 それだけのダメージを受けたからだというのだ。
「後遺症とかないだろうかな」
「まあそれはな」
「診察でわかることか」
「そうだよ、まあとにかく」
「あいつは目を覚ましたんだな」
「無事な」
「それは何よりだな」
 デービスもほっとした、そしてまずはだった。
 彼は午前中は暗い気持ちから一転して明るくなってトレーニングをした。勿論少し寝てからそうしてであった。
 昼食を食べてからすぐに病院に向かった、勿論ホーナーも一緒だ。
 病室に行くとだ、そこにだった。
 ジョーンズが寝ていた、彼は二人を見ると笑顔でこう言ってきた。
「土産は何だよ」
「ドーナツだよ」
 親友のその言葉にだ、デービスは実際に買って持って来たドーナツを差し出して答えた。
「これな」
「ああ、悪いな」
「そこでそう言うところを見るとな」
「ああ、何ともないさ」
「後遺症もか」
「午前診てもらってな」
 医者にだ、そうしてもらってわかったというのだ。
「後遺症もな」
「ないんだな」
「ああ、ないよ」
 そうだというのだ。
「明日にでも退院出来るさ」
「それは何よりだな」
「幸い入院費も安い病院だったからな」
 アメリカは入院費が高い、それでこのことも言われるのだった。
「だからな」
「それでか」
「ああ、そっちのことでもな」
「よかったっていうんだな」
「そうさ、だからな」
「退院したらか」
「少し休んでな」
 数日だ、そうしてからだというのだ。
「またトレーニングをやってな」
「そしてか」
「今度は俺が勝つからな」
 ベッドから身体を起こした状態でだ、ジョーンズはデービスに顔を向けてあの不敵な笑みを浮かべて宣言した。 
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