関西弁のイタリアン
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第七章
「今度の休みな」
「吉本新喜劇やな」
「何でそこで新喜劇やねん」
「日曜いうたら新喜劇やろ」
当然の様にだ、彼はきつねうどんを食べつつ青海苔をたっぷりとかけたソース焼きそばで御飯を食べる円に言った。彼もうどんで御飯を食べている。
「やっぱり」
「まあ鉄板やけどな」
「それで新喜劇観るんやな」
「グランド花月に行ってな」
「テレビやないんか」
「デートで行くんや」
そうしてだ、行くというのだ。
「ええな、そうして行くからな」
「そうするんかいな、ほな相手は」
「弟とや」
ここでだ、円は言葉を続けた。
ヌッチの目を見てだ、こう彼に言った。
「よかったら来るか?」
「わいに言うてるんかいな」
「うち今お金ないねん」
実にはっきりと言った円だった。
「弟と一緒に電車で難波まで出て新喜劇観て帰って来月のお小遣いの日までオケラや」
「それは難儀やな」
「そやからや」
それでだというのだ。
「あんたに飯代出して欲しいんや」
「めちゃダイレクトなお願いやな」
「そうして欲しいけれどええか?」
「何食うねん、それで」
「カレーや」
それだというのだ。
「それか蓬莱の豚まんか金龍ラーメンか」
「そういうのかいな」
「まあカレーやろな」
「ほな自由軒か」
ヌッチは難波でカレーと聞いてこの店の名前を出した。
「あそこやな」
「まあそやな」
円も自由軒と聞いて頷いた。
「花月に近いしな」
「歩いて行けるやろ」
「ほなそこ一緒に行こ」
「わいの金でやな」
「そや、三人でな」
「ほんまなあ、自分あれやな」
ヌッチは話を決めた円にだ、呆れる声で言った。
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