ドリトル先生と伊予のカワウソ
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第一幕その十
「先生日本が合っているみたいですし」
「いい国だよ、何もかもが」
「日本大好きになられたんですね」
「この国の全てがね」
「それでしたら」
そこまで、です。先生が日本に親しんでいるのならとです。トミーは先生ににこりと笑ってこう言ったのです。
「そうされて下さい」
「そうだね、真剣に考えておくよ」
「僕も」
トミーもです、ここでこう言いました。お漬物を食べながら。
「日本が好きですし」
「日本人になることもだね」
「考えてみようと思います」
「そこはトミーが自分で考えることだね」
「そうですよね」
「うん、僕はここにお家があって仕事もあって皆もいてね」
それにだというのです。
「サラも時々来てくれるから」
「そういえばサラさん結構日本に来られますね」
「そうそう、うちにも来てくれてね」
「あの人も日本お好きみたいですね」
「日本の紅茶に驚いていたよ」
ご主人が経営している会社が扱っているそれにというのです。
「その種類の多さと美味しさにね」
「そういえば日本は紅茶も」
「凄いよね」
「紅茶の他にも一杯お茶があって」
「そのことにも驚いていたよ。それで日本のお茶をイギリスで売ったらね」
「どうなったんですか?」
「凄く売れているらしんだよ」
そうなっているというのです。
「お陰でご主人の会社の業績は鰻登りだよ」
「日本の言葉ですね」
その鰻登りという言葉がです。
「そうなってるんですね」
「そうなんだ、ただ日本の紅茶やお茶をそのまま輸入しているんじゃなくて」
「あれっ、といいますと」
「イギリスのお水に合わせているみたいだよ」
「イギリスのですか」
「ほら、日本のお水とイギリスのお水は違うよね」
日本のお水は柔らかい軟水でイギリスのお水は硬い硬水なのです。お水といってもそのお国や場所で違うのです。
「だからね」
「イギリスのお水に合わせてですか」
「作られたお茶を売っているんだ」
「それを売ってですか」
「業績をあげているんだ」
「そこまで考えているんですね」
「ビジネスは大変だよね」
このことについては先生はあまり詳しくありません。お医者さんなのでビジネスに関わったことはないからです。
「そうしたことも考えないと」
「そうですね、そのことは」
「とにかくね。サラもね」
「時々日本に来られてですね」
「そう、このお家にも来てくれるからね」
「イギリスにいた時と同じく楽しく過ごせるから」
「もう日本に入ろうかなってね」
国籍まで取ってです。
「そう思っているんだ」
「そうですか」
「そうなんだ、そうもね」
こうしたことをです、先生は旅立つ前にトミーにお話しました。一緒に美味しい朝御飯を食べながらです。そうして。
食べ終わった後歯を磨いて顔を洗ってからです、出張の時の着替えや洗面用具等を入れたトランクを持ってです。
動物達と一緒に車に乗り込んで、でした。皆で。
トミーが運転する車に乗って港まで来ました、そして船の前で動物達と一緒にトミーに言いました。
「では今からね」
「はい、松山に」
「行ってくるよ」
「じゃあ留守の間は」
「頼んだよ」
「綺麗にしておきますので」
「トミーなら心配ないわよ」
ガブガブが先生に言います。
「先生と違ってお掃除も得意だから」
「ううん、また僕なんだ」
「まあ先生には私達がいるから」
「安心して、っていうんだね」
「そうよ、じゃあ松山でもね」
「うん、楽しくね」
「楽しんできて下さいね」
トミーもです、先生ににこりと笑ってこう言ってでした。
一時のお別れをしてでした、先生は動物達と一緒に船に乗り込んで、です。そのうえで松山に向かうのでした。
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