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ドリトル先生と伊予のカワウソ

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第一幕その四

「だから松山でもね」
「何か起こるかもね」
「先生はよく何か頼まれたりするから」
「そこから色々起こるからね」
「そうなんだよね、先生ってね」
 これまで先生とずっと一緒にいるから知っています、馬にしても。
「そうした星の下にあるんだよね」
「生粋の冒険家なんだよ、先生は」
「冒険が自分の方から来るんだよ」
 まさにそうした人だというのです。
「だから今回もね」
「何かあるかも知れないね」
「その何かが気になるんだよね」
 馬は考える顔で言いました。
「今回も」
「まあ何があってもね」
「いつも皆が力を合わせて切り抜けているから」
「今回もね」
「不安に思うことはないんじゃないかな」
「それはそうだね。何だかんだでいつも楽しい旅で終わってるから」
 馬も不安以上にです、楽しい思いを何度もしてきたのでそのことを思い出しながらオシツオサレツに答えるのでした。
「何があってもね」
「不安に思わずに」
「楽しいことが起こることを期待していようよ」
 オシツオサレツは二つの口でお話しています。そして二匹がいる厩の上のところにはです。チープサイドとベッキーの一家がいてです。
 そのうえで、です。一家でこんなことをお話していました。
「松山も楽しみだね」
「暖かい場所だっていうし」
「しかも食べものはとても美味しいんだよね」
「一体どんな場所かしら」
「私とても楽しみよ」
「僕もね」
 まずは子供達が言います、そしてです。
 奥さんのベッキーもです、こうチープサイドに言います。
「子供達が迷子になったりしない様に気をつけないといけないけれど」
「それでも旅自体はね」
「ええ、楽しみよね」
「今回のもね」 
 チープサイドも期待しているお顔で家族にお話します。
「楽しみにしていていいね」
「そうよね」
「旅はね」
 それはです、どういったものかといいますと。
「楽しむものだからね」
「そうよね、今度行く松山でもね」
「楽しもう、そうしよう」
「先生達と一緒にね」
「お米だよね」
 ここで子供達のうちの一羽がお父さんに尋ねてきました。
「お米松山にもあるよね」
「お米は日本なら何処にもあるよ」
「そうなの」
「そう、だからね」
 それでだというのです。
「お米は食べられるからね」
「そう、じゃあね」
「うん、皆でお米も食べよう」
「松山でもだね」
「松山でも皆と一緒にいるんだよ」
 チープサイドはこのことをです、ここで皆に念を押しました。
「絶対に家の誰かと一緒にいるんだよ」
「先生かジップか」
「誰かとだね」
「そう、はぐれないでいるんだよ」
「そうすれば安全だからだね」
「そうだよ」
 まさにその通りだというのです。
「だからいいね」
「うん、わかったよ」
 子供達もお父さんの言葉に素直に頷きました。
「誰かと一緒にいるよ」
「松山でもね」
「そのことは絶対に守るんだ」
 こう念押しをしてでした、チープサイドの一家もこれからのことを楽しみにしながら松山に行く準備をしていました。そうしてです。
 松山に出発する前日にです、先生は居間で皆に言われました。 
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