ドリトル先生と伊予のカワウソ
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第一幕その三
「ねえ先生」
「何かな」
「松山ってはじめて行くけれど」
「どうした場所かっていうんだね」
「うん、いい場所なのかな」
「とてもいい場所みたいだよ」
実際にそうだとです、先生は坊ちゃんで読んだことやネットでも調べたことをトートーにも他の動物達にもお話しました。
「あそこはね」
「そうなんだね」
「そう、食べものも美味しいらしいし」
「それなら楽しみだね」
「そうだね、それと」
「それと?」
「愛媛県自体がそうみたいだけれど」
松山市のあるその場所自体がだというのです。
「野球が盛んみたいだね」
「あっ、日本人が好きな」
「イギリスではようやく入ってきたね」
そのスポーツがだというのです。
「松山市には野球がとても強いチームもあるらしいよ」
「ふうん、そうなんだ」
ポリネシアもそのことを聞いてお話に入ってきました。
「愛媛も野球が盛んなんだ」
「プロ野球のチームはないけれどね、八条リーグのチームは別にして」
「そうなんだね」
「気候もいいし温泉もあって」
「蜜柑があって」
ダブダブは自分から楽しそうに言いました。
「美味しいものもあってだね」
「うん、いい場所だからね」
「じゃあ楽しみにしていいね」
「ダブダブもそうしていていいよ」
「わかったよ、じゃあ早く行こう」
ダブダブはもう乗り気です、うきうきとした調子で先生に言います。
「松山までね」
「いやいや、厳密に言うと仕事で行くからね」
「すぐに行く訳じゃないんだ」
「行く日は決まっているんだ、帰る日もね」
「それじゃあまだなんだね」
「まだだよ」
先生はダブダブを慰めるみたいに優しい声でお話します。
「だから少し待ってね」
「わかったよ、それじゃあね」
ダブダブもそれで納得しました。こうしてです。
先生達はまずは出張の準備をはじめました。ですが先生のことですからとてものんびりしています。動物達が殆どしている位です。
ダブダブは持って行くシャツにトランクスの用意をしている時にです、一緒に下着を畳んでくれているホワイティにこんなことを言いました。
「先生は服を畳むことがね」
「上手じゃないわね」
「うん、だからね」
それでだというのです。
「こうしてね」
「私達が畳まないとね」
「そう、だからね」
それでだというのです。
「こうした洗濯ものもね」
「畳んでね」
「それでトランクに入れて」
「そうそう」
「先生って本当にこういうところは駄目だから」
とにかくです、一般生活のことには疎い先生です。このことは日本に入ってからも殆どというか全く変わっていません。
「だからね」
「私達がしてね」
「そう、それでね」
「他のことも用意して」
そうしてだというのです。
「私達も一緒に行って」
「松山でも先生をフォローして」
「楽しくやっていきましょう」
こうお話しながら服を用意していくのでした、下着だけでなく。
馬もです、お庭で一緒にいるオシツオサレツにこんなことを言いました。
「僕達も松山に行くけれど」
「それでもだね」
「l松山でも」
「ただ普通に楽しい旅になるかな」
「どうだろうね、先生と一緒にいるとね」
「よく何かが起こるからね」
オシツオサレツは前後の頭から馬に答えました。
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