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アラガミになった訳だが……どうしよう

作者:アルビス
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アラガミになった訳だが……どうしよう
  2話

あれから一週間経ってオウガテイルとコクーンメイデンという書いて字の通りの蛹と女性が合体したようなアラガミ、ザイゴートという玉子と女性の上半身が合体したようなアラガミばかり喰っている。
はっきり言ってどれも美味くはない、ゲームでも雑魚扱いだったのもあって単純にオラクル細胞の密度が低いため味が薄いのだ。
恐らく強力なアラガミであればある程にオラクル細胞の密度は上がるのだろうが、一人で挑むには今の装備は非常に心もとない装備であるというのもあるが、そんなアラガミがそもそもこの辺りにいないのだ。
それどころか、ゴッドイーターすら見かけないではないか。この世界がそもそもゴッドイーターの世界なのかと怪しんだりもしたが、オウガテイルやらが実際にこうして襲ってくることから、その点に関しては心配しなくてもいいんだろう。
では、なぜこうも私の知るゴッドイーターの世界と違うのか?推測ではあるが時代の問題ではないだろうか?
確かゲームの設定では、第一世代の神機が開発される以前はピストル型の神機でも倒せるアラガミしかいなかったらしい。
そして、オウガテイルレベル以外にいたとしても貧弱なピストル型神機でも倒せる程度の強度しか無かったらしい。
それが徐々に進化した結果ゲーム本編のような強力なアラガミだった筈だ、そう考えるとこの辺りにいるアラガミからしてこの時代は原作より遥か以前で、神機の開発もあまり進んでいないという状態でアラガミも貧弱ということなのだろう。
となると、下手に一箇所のアラガミを狩り続けると原作よりもアラガミの進化が早まりかねんな……仕方ない、ここを拠点として狩場は別にするとしよう。

この一週間で色々と身の回りでの変化があった、まず寝床の事だ。
比較的損傷の少ないビルがあったのでそこを寝床にしているのだが、意外と気に入り始めてきたのだ。
それに色々とアラガミのことも分かってきたお陰で、大分生活も楽になってきた。
どうやらただの鉄骨でも小型アラガミを串刺しにできるようで、死にはしないものの行動不能にすることは簡単だ。死なないお陰でアラガミのオラクル細胞は分解されず、勝手に消えてしまうこともない。
ただ唯一の欠点は徐々に鉄骨がオラクル細胞に分解されていくことなんだがな……大体一日ほどで抜け出されてしまう。
まぁ、保存できるだけ良しとしよう。
次に自分自身の体だ。
体の体積、重量は変化していないのだが、体をある程度自由に変化させることが出来るようになった。ゲームの神機のような整った形ではないが、今まで喰ったアラガミの部位を自由に出現させることができるようになり右手をオウガテイルの牙に、左腕をコクーンメイデンの砲塔になど様々な状況に対応できる。
ただし制限としてあくまで人型を極端に壊さない程度の変化しかできないらしく、ザイゴートにでもなれば空を飛べるのかと考えたがどうにも無理らしい。
少し期待していた分残念だったのだが、そのお陰で甚平の上が布切れに変わってしまったのは大失敗だ。
アラガミになっている段階で上半身が裸であることに恥じらいもあったものではないが、それでも嫌なものは嫌なのだ。急場凌ぎにタオルケットを体に巻きつけて、マントのようにすることで体を隠している。何処かで服でも見つかればいいんだが……
最後に今後の目標ができた事だ。
ゲーム本編には可能な限り傍観者に徹することにした。1、2共に一歩間違えれば地球の生命が根こそぎは終わりかねんのを奇跡でどうにかなった話ため、俺のような部外者が混ざった場合真っ当なエンディングに辿り着けない可能性がある。
そうなってしまうと俺までお陀仏だ、それだけは避けたい。万が一メインキャラクターに発見ないし、何かしらされた場合は………諦めるとしよう。
正直、1の支部局長やら2の博士やらに見つかった場合逃げ出すのは無理だろうし、よしんば逃げ出せても直ぐに捕捉されるのがオチだ。
そうなってしまったら可能な限り原作の知識を使って原作通りに話を誘導する舞台装置にでもなるか…なんだったか、そういうのをデウスエクスマキナと言うんだったか?
まぁいい、その為にも可能な限りアラガミを喰って力をつけなければな、しばらくすれば接触禁止種やら物騒なアラガミがそれこそ虫のように湧いてくるのだからな。
で、手っ取り早くアラガミを喰らう為にもシユウを探さねばならんな、あのアラガミの武器はアラガミを麻痺させる効果があったはずだ。
それさえあれば、喰らうにしろ逃げるにしろ幾らでも手の打ちようはあるだろうし、あの種族なら狩りすぎて進化したところで何の問題もない。
進化た個体も精々耐久力が上がるくらいでさして気にするようなものでもないだろう、攻撃は基本的に分かりやすいものが多いお陰で進化前も進化後もそう脅威ではないのだ。
確か奴らの発生場所はユーラシア大陸中央だったな、武術の発展した場所であんな格闘家のようなアラガミが生まれたのは興味深いと、何処ぞのマッドサイエンティストが言っていたとゲームのデータベースに書いてあったのを覚えている。
しかし、日本から中国まで行くには海を越えねばならんな………体力はアラガミになったお陰で問題ないのだが、日本海を縦断は少々難易度が高すぎる、恐らく途中で迷う羽目になるのは目に見えている。
方法としては北からロシアを通って行く道と魚類のアラガミを喰らうことだが、前者は時間はかかるがあの程度の距離ならば泳ぎ切れるだろうし、迷うこともないだろうがロシアを経由するというのが問題だな。
1の支部長がどのあたりからロシアに手を出し始めたのか全く分からん、そもそも今の具体的な年数が分からんせいであとどの程度で第一世代の神機ができるのかも分からん。
もし、この時期に支部長がノヴァという馬鹿げたサイズのアラガミによる終末捕食で世界をリセットさせて、宇宙に一部の人類を逃がしてリセット後も人類種を残そうとするアーク計画を考えているとしたら、俺がノヴァのコアに選ばれかねん。
それだけは勘弁願いたい、俺はまだ死にたくはないからな。
となるともう片方の道、魚類のアラガミだが俺の知る中だとクボログボロしかいないんだが、この時代にいるのかどうか若干不安があるが……いなければロシアを通るとしよう。
どうせここにいても支部長の手はいずれ伸びかねんし、あと一月程このあたりのアラガミを喰らって体を強化したら北へ向かうとしよう。

さて、街を出て周囲を探し回って道中食べ飽きたアラガミを渋々喰らいながら今現在壊れた空母の上にいるのだが、原作であれば人類の最後の砦と書いてノヴァの巣穴と読むエイジス島は完成間近でここからよく見えたんだが、どうやら今のところ完成は程遠いようだ。
となるとノヴァの成長もまだまだのようだし、少しは安心できるのか?
有益な情報を手に入れたのは構わないんだが……まさかコンゴウに出会うとは思わなかったぞ。
この金ピカのゴリラの背中にパイプを引っ付けたようなアラガミはゲームではよく出てくるアラガミなのだが、オウガテイルやらよりは確実に強い種類だ。
さて、オウガテイル、コクーンメイデン、ザイゴートしか喰らっていない私にどこまで出来るか些か不安はあるものの、決して超えられない相手ではない筈でありどの道この程度のアラガミに手間取るわけにはいかんだろ。
幸い向こうはまだこちらに気付いていないようだし、先手必勝という言葉に倣って行かせてもらう!!
片腕を以前より数段密度の上がったオウガテイルの尻尾に変えて背後から一気に切りつける。
が、寸前で気づかれたようで腕で受け止められた……くそっ、オウガテイルじゃこの程度か?
いや、僅かだが刃はめり込んでいる、一気に斬ることはできんだろうが傷が付いたならそれでいい。
もう片方の腕で反撃される前に刃のめり込んだ腕を蹴って、コンゴウの腕が届かない位置へ下がる。
さて、向こうはやる気になったらしくパイプに空気を集めてこちらに圧縮した空気の塊をぶつける準備をしているようだが、そんな物はゲーム中一体どれだけの回数見たと思っているんだ!!
それは溜めの時間が長く、再びコンゴウとの距離を縮めるには十分な時間があった。
俺はコンゴウのパイプの噴出口の下に身を屈め、腕のオラクル細胞を尻尾から人間の手に戻し、その形を変えることなく密度をあげてコンゴウの仮面のような顔にその腕を手加減なしで振り抜いた。
コンゴウの放った空気の塊は俺の頭上を通過し、オラクル細胞の密度を上げ鈍器となった拳はコンゴウの仮面を叩き割る。
コンゴウは獣そのものの悲鳴を上げながら、後ろにバランスを崩して尻餅をつく。
チャンスだ。
両腕をコクーンメイデンの砲塔に切り替えて、割れたばかりの顔目掛けてオラクル細胞で作り出したレーザーを放つ。レーザーは顔を貫通し後ろの瓦礫をも貫いた、しかしコンゴウは頭を撃ち抜かれても倒れこそすれ死んではおらず苦しげに悲鳴を上げている。
当然だ、アラガミはオラクル細胞の塊で、細胞を支配しているコアさえ無事ならば何度でも蘇る。
だが、死にこそせずとも動けなければ何の問題もない。
後はゆっくりと喰らうだけだ。
コンゴウオウガテイルやらよりオラクル細胞の密度は高いはずだ、ようやくまともな食事にありつけるとなると頬も緩む。

いただきます






 
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