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暇にかまけて

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第五章


第五章

「確か」
「そうだけれど」
「それが今じゃ凄いことじゃないか」
 こう話すのである。
「もうこんなにか」
「こんなにって」
「もうすらすら進んでるだろ。今やってるのは」
「ファイナルファンタジーよ」
 見れば結構古い幹事だ。そのゲームを見てまた話す彼だった。
「確かシナリオはね」
「シナリオ?」
「ファイナルファンタジーって幾つも出てるのよ」
「ああ、そういえばそうか」
 航平も彼女の横でビールをピーナッツと共に飲みながら言った。
「俺が中学の時で幾つまで出ていたかな」
「そうでしょ?」
「だからか」
「ええと。今やってるのはね」
「何なんだ?」
「シックスよ」
 それだと答えながら目は画面である。
「それなのよ」
「そうか、シックスか」
「やっぱりスリーとこれが一番面白いわね」
 ここでは言葉が微笑んだ。
「フォーもいいけれどね」
「そうか。俺はドラクエばっかりだったからそっちは知らないんだけれどな」
「ドラクエはセブンね」
 そちらにも既に手をつけているのであった。
「やっぱりそれが面白かったわ」
「成程、そうなのか」
「どのシナリオも面白いけれどね」
 そのドラクエ通ぶりも疲労していた。
「けれど私はセブンが一番好きよ」
「それでか」
「ええ。それでこのファイナルファンタジーシックスはね」
「随分面白い世界だな」
 航平はその画面を見ながら話す。
「機械の世界にファンタジーか」
「それがこのゲームなのよ」
「アンバランスな様で合ってるな」
 また言う航平だった。
「案外な」
「そうでしょ?だから面白いのよ」
「それでか」
「ええ。さて、と」
 ここでにこりと笑って言う早紀だった。
「後はね」
「後は?」
「このまま列車までシャドウを連れて行けたから」
 ゲームの内容についての話であった。
「順調にいけるわね」
「そうか」
「今日はこれまでね」
 そしてこう言うのであった。
「きりがいいし」
「じゃあ今日はこれで終わるか」
「それじゃあ次は」
 しかしであった。こんなことを言う彼女だった。
 そうしてである。セーブしてディスクを取り出してからである。別のディスクを出してきてそれをプレイステーションの中に入れていくのであった。
 見ればそれは野球ゲームであった。実況パワフルプロ野球である。
 選んだチームはソフトバンクである。彼女の贔屓のチームである。実は航平もそこなのであった。それを見ながら話をするのであった。
「いいよな、やっぱりソフトバンクだよな」
「日本シリーズなのよ」
「相手は?」
「巨人よ」
 ここで早紀の口調が忌々しげなものになった。
「ぶっ潰してやるわよ」
「ああ、どんどんやってやれよ。巨人なんかな」
「一気に四連勝よ」
「杉浦のあれだよな」
「それを再現するわ」
 試合前から高らかに宣言する始末であった。
 
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