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暇にかまけて

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第三章


第三章

「さもないと身体によくない」
「何でも健康あってだからね」
「わかったらそれは注意してくれ」
「ええ」
 夫のその言葉にしっかりとした声と顔で頷く。彼女もそれはわかっていた。
「それはね」
「わかっていたらいい」
 夫も妻のその言葉を聞いて頷く。
「それでな」
「とにかく時間が経つのが早かったわ」
 それは確かだというのである。夕食を食べながら話す。おかずは豆腐と若布の味噌汁にほうれん草のおひたし、それと鱈を焼いたものである。
「もうね。すぐにね」
「気付けばだったよな」
「そうなのよ」
 まさにその通りであった。
「気付いたら終わったわ」
「それはいいことだな」
「ただしね」
 しかしであった。すぐに苦笑いになる妻であった。そうしてまた言うのであった。
「全然わからないのよね」
「わからない?」
「ええ、そうなのよ」
 こう夫に話すのである。
「これがね」
「わからないっていうと何がなんだ?」
「ゲーム自体がよ」
 それがわからないというのである。
「接続の仕方も」
「ただ差し込むだけじゃないのか?」
「それもわからなかったのよ」
 ゲームについて何も知らないことの証だった。そうとしか言い様のないことだった。
「全くね」
「そうか。それでゲームはどうだったんだ?」
「何が何かわからなかったわ」
 そうだったというのである。
「全然ね」
「わからなかったのか」
「気付いたらいつも死んでたわ」
「キャラクターがか」
「ゲームって難しいのね」
「俺もな」
 航平は腕を組んだ。そうしてそのうえで言うのであった。
「それはな」
「それは?」
「今一つわからないんだ」
 そうだというのである。
「俺も最近ゲームしてないんだよ」
「結婚してからよね」
「昔はそれなりにやったけれどな」
 そうだったというのである。
「いやさ、格闘ゲームな」
「格闘ゲーム?」
「キャラクターとキャラクターが闘うゲームだよ」
「それなの」
「御前今そういうゲームやってるのか?」
「そうなるかしら」
 自分が今やっているゲームのジャンルもはっきりと把握できていなかった。
「それじゃあ」
「それじゃあか」
「戦国無双っていうのかしら」
 早紀は首を捻りながら述べた。
「そのゲームって」
「ああ、それ格闘ゲームだよ」
「そうだったの」
「そうさ。昔は結構やったけれどな」
 こう妻に話していく。
 
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