オズのモジャボロ
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第十一幕その十六
「ロシアのケーキよ」
「そうよね、ロシアでは」
「さて、じゃあね」
「ええ、デザートによね」
「皆で食べましょう」
ロシアの紅茶にケーキが、というのです。そして。
そうしてでした、ナターシャはデザートのところにバナナやオレンジを見てでした。この食事の中で一番驚いて言うのでした。
「こうしたデザートがあるのが嬉しいのよ」
「バナナやオレンジがだね」
「ロシアは寒いですから」
今度はモジャボロに答えるのでした。
「こうしたのはないんですよ」
「輸入されないから」
「されますけれど」
それでもというのです。
「基本ロシアにないですから。ですから日本に来て普通にバナナやオレンジがありますから」
「そういえばナターシャちゃんバナナとかオレンジが大好きよね」
「ええ、ロシアにはあまりないものだから」
恵梨香にもお話するナターシャでした。
「好きなだけ食べられるのが嬉しいのよ」
「そうなのね」
「バナナって美味しいわよね」
勿論オレンジもです。
「こんな美味しいものがあるのね」
「それはちょっと大袈裟じゃない?」
「大袈裟じゃないわよ」
そこは違うというのです。
「ロシア人にとっては暖かい場所のものは縁がないからね」
「だからバナナやオレンジがなの」
「赤や青のバナナやオレンジには驚いたけれどね」
このことは少し苦笑いになって言うナターシャでした。
「それでもね」
「大好きなのね」
「ええ、大好きよ」
マンチキンやカドリングのバナナ、オレンジもというのです。
「それじゃあね」
「これからもなのね」
「食べるわ、大好きだから」
こう言って実際に今もバナナやオレンジをとても嬉しそうに食べるナターシャでした。恵梨香達に比べると表情が少ないこの娘ですが。
それでも今は微笑んでいます、そのうえで食べながら言うのでした。
「やっぱり美味しいわ」
「バナナはいい果物よね」
ドロシーもそのバナナを食べつつ言います。
「美味しいし身体にもいいし」
「そうですよね、最高の果物の一つです」
「さあ、オレンジも食べよう」
モジャボロはオレンジをナイフで幾つにも切り分けながら言いました。
「それじゃあ」
「いいですね、それも」
「オレンジもだね」
「最高の果物の一つです」
これもまた、と言うナターシャでした。
「大好きです、あと」
「あと。何かな」
「柿も好きです」
「ああ、あの果物」
「日本に来てはじめて食べました」
その柿をというのです。
「あれは凄い美味しさですね」
「うん、オズの国にも柿はあるけれどね」
「美味しいですよね」
「僕は確かに林檎が一番大好きだけれど」
それでもだとです、モジャボロも言うのでした。
「確かに柿は美味しいね」
「そうですよね、はじめて食べた時にびっくりしました」
日本に来たその時にというのです。
「日本にこんな果物があるのかって」
「そんなに驚いたの?」
その日本人の恵梨香がナターシャに少し驚いた顔になって尋ねました。
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