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生物語

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三話

 
前書き
前回の続きです。 

 
この物語は俺、真実 子風の物語である。
物語、強いて言うなら人生は人に寄っては全く違う結末を迎え始まりを奏でるのだ。
始まりが有るから終わりが存在し終わりが有るから始まりが存在する。
両者は真逆で噛み合う事が出来ないと言われがちだがこの両者が有るから人間と言う生き物が存在するのだ。
始まって終わり新たに始まり、また終わるそれの繰り返しだ。
その繰り返しは何かが存在する限り繰り返させる。
これは人間で無くとも生き物や何かなら必ずループする定め滅んで盛んでまた滅ぶ。

「なぁ、相棒。
コイツ、喰っていいか?」

それは見えない何かからの声だった。
見えないが感じる何かいるのが、そんな微妙な感覚が俺を現実世界に引き戻す。

「駄目に決まってんだろ猫
お前は何時もそればかりだな偶には違う事を言ってみろ」

俺は見えない何かに話しかけた。
これを俺以外の人間が見たら変人?独り言?と見られるだろうがそんな事は慣れている。

「それは相棒が言える事をじゃねぇよ。
俺も言えた口じゃねぇが相棒も言える口じゃねぇんだよ」

「俺がお前みたいに喰いたいとか言ってるのか?」

「いんや、そういう意味じゃねぇよ
相棒は何時も俺の事や人間の事に対して何時も同じ事を言っている」

何時も同じ事を言っている。
猫は俺が何時も見えない所で俺を見て何時も観察しているのだ。
その結果、俺は結構同じ事を言う人間と判断し言ってくる。


「そうか?
俺は特に意識した覚えはないんだが」

「それだそれが問題だ。」

俺は何も言ってないが問題を指摘された。
その問題とやらを俺は理解出来ないし理解しようとは思わなかったが猫は続ける。

「自分の事を考えず意識せず言葉を言うから自分が普段言ってる事を認識出来ていないんだよ相棒は
ま、俺も人間や怪異に言えた口じゃねぇけどよ」

「なら言うな猫」

「いや指摘したんだからいいじゃねえか自分でも気付いていない事を俺は教えてやったんだ。
むしろ感謝して欲しい位だぜ相棒」

感謝、まさか猫にそんな事を言われるとは思いもしたかった。
何時も喰いたいとか眠いとか同じ事を繰り返して言って暇を持て余し結局、暇になる。
そんな奴でもこんな事が言えるのかと俺は猫を評価した。

「分かった感謝してやるよ。
ありがとな猫、お前のお陰で新しい発見に気付く事が出来た」

感謝の念を出さず俺は猫に感謝する事にした。
一応、自分でも知らない事を指摘されたので感謝するのが普通と思い俺は言葉を放ったが猫に言われたと考えると
素直に感謝する事がする気が起きない。
なら感謝の気持ちは出さず言葉として言うのが良いと判断した俺の考えだ。

「礼なんていらねぇよ相棒
でも、そこまで言うならばアイツを喰わしてくれていいんだぜ」

どんだけ腹が減ってんだよ。

「何時も俺の生命エネルギーを喰って生きてんのに腹が減るか普通?」

猫は俺の影、俺の心、俺の命、俺の魂と直結している。
好きで猫と俺は融合した訳ではないのだが色々と事情があって俺は仕方なく融合した。

「腹は減るぜ。
俺の場合は相棒と直結して生気を貰ってるから死にはしねぇが腹は減るし空腹は俺を惑わせる」

「じゃ、空腹に惑わされない様に生きていくんだな」

俺は座っていた椅子を元に戻し立ち上がる。
そしてゆっくりと歩き自分の教室に足を向ける。

「待ってくれよ相棒!」

突然、前に出していた足が止まった。
自身で止めた訳ではなく意図的に止まった。

「なんだよ猫、これから教室に戻ろうと思ったのに」

俺の足を止めている原因、猫に俺は話し掛ける。
突然、止まって急に何かに話し掛ける姿を見た学生はこっちを見てくる。
余り変な目で見られたくないがここは猫の話を聞き状況を打開した方が良さそうだ。
俺はそう判断し俺の足を止めている原因の猫に話を続ける。

「相棒、俺は今、非常に腹が減っている!!」

「それは聞いた、だからなんだよ?」

「何か喰わせてくれ!!」

ここまで猫が言うのは珍しいな。
何時もは腹が減ったやら眠いしか余り言わない猫が今日、現在は腹が減ったと言ってくる。
しかも俺の足を止めてそれを危険状態と示してしるかのように。

「あのな猫よ。
俺はお前にエネルギーを与えてやる事が出来るが何かを喰わせるのは無理だ」

「なら目の前にいる人、人間を喰わせてくれ!!」

「駄目に決まってんだろ。
人間以外にしろ、それなら話を聞いてやる」

ここまで猫が面倒くさい奴とは知らなかったが今日は相当、腹が減っているようだ。
なら何か喰わせて黙らせよう。
今、俺の居る場所は食堂
ここなら食材や飲み物が溢れている。

「じゃ、じゃあ。
あのカロリーメイトってやつを喰わせてくれ!」

「は?」

「だからあのカロリーメイトってやつだよ!」

俺は視線を目を足元で俺の足を止めている猫から右に逸らした。
実際、俺にも猫の姿が見えている訳ではないが意図的に足が止められていたので視線を足から右に有る自販機に俺は向ける。

「カロリーメイトってお前なあれはお前みたいな猫が食うもんじゃねえぞ?」

「それは確かにそうかも知れねぇけどよ、
俺は偶には相棒が喰っていやがるカロリーメイトってやつが物凄く気になるんだよ」

俺が通っている学校にはカロリーメイトの自販機が存在する。
味はチョコレート、フルーツ、チーズ、ノーマルと4つどれも俺の好みだ。
が、俺の半身と言える猫がカロリーメイトを喰いたいといってくるのは中々、愉快だ。

「俺はお前の事だからカツ丼やらトンカツ、唐揚げとか食うと思ったがまさかカロリーメイトとは」

猫は肉食だ。
今、現在は姿を隠し存在を消しているが見た目は猫とは掛け離れている。
肉食にしか見えない生物、化け物、それが俺が初めて猫を見た時の感想、感じた事だ。

「俺は人間の肉は好きだが人間以外の肉は不味くて食えねぇよ」

どうやら人間の肉が好みらしい。
人間は人間の肉を好まないが豚や鳥、牛等の肉を好むが猫の場合は人間の肉、人肉のようだ。

「ま、人間を勝手に襲って喰うよりマシだ。
解った奢ってやるよカロリーメイト」

俺はポケットから小銭を取り出し何円有るか確認する。
百円玉が4つ、十円玉が6つ、一円玉が3つ、五十円玉が1つ
高校2年生にとっては100円でも思い金だがこのまま猫に足を止められるよりましだ。

「マジかよ感謝するぜ相棒」

猫の言葉は以外に元気モリモリだった。
俺的にはありがとよ相棒と言って終わるかと思ったが本気で俺に感謝しているようだ。

「はいはい足をハナシテ俺を自由にしろ」

そう言うと急に足が自由になった。
俺は自由になった足でカロリーメイトを売っている自販機に向かい小銭に用意する。

「猫、お前、何味がいいんだ?」

「そうだなじゃあフルーツ味を頼む」

猫がフルーツ味か。
確かにこの中で一番、猫が食いそうなカロリーメイトの味だ。

「フルーツ味か俺の2番目に好きな奴だな」

「一番目はなんだい相棒?」

俺が一番好きなカロリーメイト味が気になるのか聞いてくる。

「俺が好きなのはメイプル味だ」

俺は甘党だ。
この事実を知る人物は余りいない。
知っているとしたら俺の父親か母親、それか銃器、その他もろもろといった所だろう。

「え、でも相棒がカロリーメイトでそのメイプル味ってのを喰ってる所を俺は見た事ないぜ?」

「理由は色々と有るが1つはこの学校にはカロリーメイトでメイプル味を売っていないのが第一の理由かな」

俺の好きなカロリーメイト、メイプル味はここでは売っていない。
初めてこの学校に来てカロリーメイトを自動販売機で売っている事をした時はテンションが上がったがメイプル味がない事実に絶望しかけた時も合った。

「さて早速、フルーツ味を買うか」

俺はカロリーメイト自動販売機に小銭を入れボタンを押しカロリーメイトを購入した。



 
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