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東方変形葉

作者:月の部屋
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変化と不変の入り乱れ
  東方変形葉24話「待てば月は昇る」

 
前書き
小町「さあ!開催されました!弾幕サバイバルゲーム!」
裕海「・・・小町が司会?」
小町「そうさ!あたいが司会!そして審判はこちらにおられる四季映姫様だ!」
映姫「どうもこんにちは。ルール違反者は拷問後、処刑します。」
裕海「言ってることが怖すぎるな。ところで、博麗神社に全員集合したのはいいけど、今夕方だぞ?なんで日没後にやるんだ?」
レミリア「私たち吸血鬼がいるからよ。」
フラン「そういうことなの!」
裕海「ああ、なるほど。そういうことか。しかし、俺たちは夜には眠くなるけどどうするんだ?」
紫「それなら大丈夫。吸血鬼以外の全員の体内の昼と夜の境界と睡眠と覚醒の境界をいじっておいたから。」
きらちゃん「私たちはどうなの~?紫さん。」
ほたるちゃん「どうなのぉ~?」
紫「確かあなたたちは、あらゆる力を受け付けないように作られているのよね?それでは私の力は通用しない。だから裕海、あなたが覚醒の変化の結界をまだ張っていないのなら、能力が自由に使える今のうちに張っておきなさい。」
裕海「そうか、そうだな。そいっ」
チルノ「あたいがぜったいゆーしょーしてやるんだから!」
メディスン「スズランの花を持ってっと。よし!やるよ!スーさん!」
小町「さあ、各選手の士気が高まってきました!それではルール説明をします。まず・・・」
 

 
開会式の後、各選手はあっちこっちに散らばった。
ちなみに、綺羅星人形と蛍石人形は自立しているが選手ではなく、あくまで俺のオプションパーツだ。なので人形たちが攻撃を受けても人形たちは失格にはならないし、俺にも響かない。
活動範囲は魔法の森、人里の一部、妖怪の山の麓、再思の道、迷いの竹林である。建物内は禁止。
俺は里で買った懐中時計を見る。もうすこしでイベント開始の信号弾が打ちあがる。
そして今、打ちあがった。大きな音を放つ信号弾が打ちあがった。
「さて、さっさと倒してしまうかな。」
「おー!」
「おー!」
人形たちと話していると、声をかけられた。
「あー!裕海じゃん!しょうぶよ!」
氷の妖精、チルノがあらわれた。
「ふふふ、望むところだ。悪いけど手加減はしないよ!『桜吹雪旋風』!」
スキルカードを発動したとたん、チルノの周りに風が吹いた。
「うおっ!?わあああっ!」
風と共に舞い上がる弾幕を喰らうチルノ。まあ、あれは近接系攻撃としてみなされるわけだけど。
「いてて、よくもやったわね!」
敵は少ない方がいいので、悪いがさっさと倒させてもらう。
「これからこれから。『クランベリーマジック』」
紅い弾幕を出し、チルノにぶつける。チルノは何とかかわしているようだが、このスキルカードはホーミング弾なので、かなりよけづらい。
「くっ、ここは撤退よ!」
逃げて行った、まあ得策だろう。全員強引につぶして行こうかと思ったけど面倒だから、ふわふわとんでいこう。きっとどこかで誰かと会うだろう。
「あっ!裕海じゃねーか!よし、まずはお前を落としてやる!」
・・・もう会った、早いな。魔理沙か、かなり厄介な相手だ。わっ!?光線を撃ってきた!すれすれでかわし、らしくないセリフを吐いて、スキルカードを唱える。
「星が瞬くこの夜に幻視におびえるがいい。『恐怖の眼』」
スキマを多数開く。そこからは、大きくて不気味な目玉がぎょろぎょろしているように見えるはずだ。
「うおっ!?なんだこれっ!ぐわっ、光線を撃ってきやがった!?」
スキマから光線が出てきているだけ。しかし、目玉の不気味さに気を取られ、かわしづらくなるスキルカード。
「へん、やってくれるじゃねえか。」
そういって、スペルカードを取り出した。

魔符「スターダストレヴァリエ」

いくつもの星型弾幕に囲まれた。比較的簡単なスペカではあるが、油断は禁物。すぐに叩き落とさせてもらう。

変化「須臾の乱れ」

とても小さな弾幕がゆらゆらと揺れる。その弾幕は星を打ち消し、魔理沙への攻撃を再開できる。このスペカは全く疲れないから助かる。
「へっ、このぐらいで・・・」
「満足、しないよ。君を落とせるまで。きらちゃん、頼む。『綺羅星人形の舞』」
「はーい!」
きらちゃんが星型弾幕を無視して魔理沙のもとへ行き、ハートを描きながら攻撃する。
「さて、もう少しおまけして。『ルナ・イリュージョン』」
少し大きめの弾・・・球を一発だけ打ち込むスキルカード。ただしその球は予測不可能な動きをする。
「くっ!?厄介な。仕方ない」
魔理沙は八角形の形をしたものを取り出した。・・・まずい。でっかい光線を放つ気だ。

恋符 「マスタースパーク」

きらちゃんを吹き飛ばし、弾幕を消し去りながら光線を放ってきた。さすがに今のままでは避けられない、ならば!

結界「速度と停滞の変化 ~spellcard version~」

周りに速度と停滞の変化の結界を張る。能力は制限されるが、スペルカードの効果に使われるのなら例外とされ制限はかからない。俺は紅いベールに包まれ、自分でも驚くほどの勢いで光線から逃れた。
「ちょこまかと!くらえ!」
魔理沙は全然違う方向に光線を放った。しかし、そこにはいつの間にか置かれていた水晶があった。
・・・そうか、光線は“光”だ。本来なら光線が当たった時点で砕けるが、水晶に少し小細工をすれば光線の影響を受けず、光線を跳ね返して向きを曲げられる。
「まだスペカじゃないが、くらえ!恋舞『クラッシュスパーク』!」
光線が水晶に当たったとたん、乱反射をおこし、面倒なことにすごい勢いで細い光線が飛んでくる。見たことがない人もいるかもしれないが、結構前に社会の教科書で見た“鉄の暴風”のようだ。飛び回るだけでは当たってしまう。

天変「ミーティアマジック」

流星魔法。弾幕を展開し、細い光線をはじく。それでも飛んでくるが、その辺は結界を使って防ぐ。全部を結界で防ぐのは無謀だ。どうやら結界は制限されないようだ。
「ちっ、なかなか手強い奴だ。ここで体力が尽きてしまっては意味がないな、この勝負は持ち越しだ!」
箒に乗り、全速力で飛んで行った。速すぎて追いつけない。よかった、今のうちになんとか体力を回復させておこう。その前に、きらちゃんを回収しよう。
「きらちゃん、だいじょうぶ?」
「だいじょうぶ~?」
光線に吹き飛ばされたきらちゃんは、木の陰で座り込んでいた。
「え~ん、いたかったよぉ~!」
泣きながらおもいっきり顔に張り付いてきた。ああ、息ができない。人形だけどちゃんと涙は出るっていう話は今度にして、きらちゃんの両脇をもってだっこする。
「よしよし、よくがんばったね。」
「がんばったね~。」
きらちゃんはやがて泣き止み、笑顔になった。
と、そのときに気配を感じた。じっとして様子をみていると、向こうへ行ったようだ。・・・何気に怖いな、このイベントは。この夜の暗い魔法の森では少し不利なこともある。よし、比較的明るい人里の方へ行こう。ぐっ、スキマが開きづらい。いつもよりかなり力がいる。これが制限か、60パーセントも制限されては結構つらいな。やっと開いたスキマに入り、人里へと向かう。



人里では、多くの見物客がいた。・・・なんか賭け事の準備をしているところもあるな。そんなことを考えていると、紅魔館の門番、紅美鈴が現れた。
「あれ、裕海さん。悪いですけど、ここで倒させてもらいます!」
そういって中国拳法の構えをした。俺は武術に一切触れてないからわからない。美鈴が大きく踏み込み、突きを繰り出した。驚いた俺はとっさにかわす。とそこへ、鋭い突きが入ろうとしている。読んではいたが、それでも対処がしづらい。単純な攻撃の妖夢とは桁違いの攻撃だ。
「ははっ、これをかわされましたか。ではこれなら―――」
「悪いけど、すぐに勝負は決めさせてもらうよ。『幻術~電光石火の鳥~』」
俺の周りを数個の弾幕が回り、そして俺の意思ですごい勢いで飛んでいく。威力こそは弱いが、回避が難しい。
「くっ、ならば!」
どんっと足を地面にたたきつける。すると、少し大地が揺れた。なんて威力だ、衝撃波で弾幕が一瞬だけ止まり、その隙を逃さず素早く回り込んだ。この人、できる。そして突きを繰り出してきた。ならばこちらも負けない。
「『威力の変化~鬼~』」
こちらも拳を出す。そして拳がぶつかり合った。しかし、俺の突きは鬼のように重い。
「・・・!!!」
驚いて飛び上がり、後ずさりして俺と距離を置く。
「さあ、まだ宴は終わらない!」

天変「エクリッスィソラーレ」

赤い弾幕が美鈴を取り囲む。そしてそれを補助するかのように、あるいは敬遠しているように、白い弾幕が放たれる。これも体力をそんなに使わない。
「ま、まだまだ終われません!」

華符「芳華絢爛」

日食もどきの弾幕はどんどん打ち消されていく。と、一瞬の隙を突かれた。

華符「破山砲」

「ぐっ!?」
輝く光とともに上段突きをもらってしまった。痛い。痛すぎる。急いで距離を取り、体勢を立て直す。そして、スペルカードを取り出す。

結界「時間の変化 ~spellcard version~」

時間をちょこちょこ止め、弾幕を時間が止まるたびに配置されていく。
「なっ!?咲夜さんと同じ能力!?」
おっと、この人には俺の能力は伝えてなかったか。伝えたところでどうということはないんだけど。
「ちがうね、俺は“変化”を操るのさ。」
「へ、変化!?そうか、今のは時間の変化いたあっ!」
おや、気を散らしてしまって1発被弾したみたいだな。体勢が崩れた今がチャンス!
「『蛍石人形の舞』!いけ、ほたるちゃん!」
「あいあいさー!」
ほたるちゃんもハートを描きながら相手に攻撃に行く。ただ、きらちゃんとは違うのは色だ。きらちゃんは眩しく輝いた白、そしてほたるちゃんは緑色、つまり蛍色。
「いたっいたっ!?」
よし、喰らってる喰らってる。あとは、スペルカードを唱える。

「人形弾幕大結界」

「いっくよ~!」
「いくよ~!」
そもそも蛍石というのは、日光などに当たると様々な色に輝く鉱物のことだ。人形たちが遠くから美鈴を囲むように飛び回りながら様々な色の弾幕を配置していく。そしてある程度配置したら、一斉に発射される。結構避けづらい。
「わっ!?こんなに!?ああ、優勝したら咲夜さんから一日だけ門番で寝ていてもかまわないとおっしゃってくれたのにっああああああああ!」
見事被弾。多分10発ぐらい。ああ、よかった。



「脱落者、回収します。」
「かいしゅ~」
「かいしゅ~」
大妖精と妖精メイドが飛んできて、倒れた美鈴を運んで行った。・・・タンカーじゃなくってハンモックで運んで行った。人里は結構盛り上がってる。人がいる方に弾幕が飛んで行ったけど、どうやら結界を張っているらしく、その結界によって弾幕は消されたようだ。
「あ~、疲れた。あ、あそこの木陰なら気づかれずに休憩できるな。」
「わ~い!」
「休める~!」
木陰に身を隠し、休憩した。



そのころの霊夢
「うっとおしいわね、これでも喰らいなさい!」

神霊「夢想封印」

「きゃあああっ!?」
今、8つの光る弾に当たって脱落したのは、ミスティア・ローレライ。なんかいきなり出てきて鳥目にしてきたから、夢想封印を御見舞いした。
それにしても、紫はこんな催しをして何を考えているのかしら。まあ、それはいいとして。今、一番警戒しなければいけないのは“変化の現人神”の葉川裕海だ。前にあいつと戦って勝ったが、それはずいぶん前だ。それに、あいつの一番の武器は能力や結界ではなく、読みと適応性。少しでも気を抜かしたら一発入れられてしまう。特に読みの方は、紫でさえも敵うかどうかわからない。できれば、こんな最初っから出会いたくはない。せめて最後だ。それまではあいつと戦うのは避けようかしら。なんとしても、このイベントで優勝して参拝客をふやすんだから!



30分後、休憩が終わった裕海は再び動き出した。
「はあ、ようやく癒せた。ありがと、2人とも。」
「・・・ご主人様の体の癒し方って変わってるね~、うれしかったけど。」
「そ~だね~。わたしもうれしかったよ~」
そうかな?思いっきり人形たち2人の頭を撫でまわしたりくすぐったりしただけだけど。・・・むっ、気配。
「2人とも、誰か来るよ。」
そういうと、2人が警戒態勢に入った。俺たちが警戒していると・・・
「あら、あなたは確か葉川裕海かしら。」
フラワーマスターの風見幽香だった。



続く
 
 

 
後書き
はい!紆余曲折ありましたが4話書きました!
知らない人には言っておきますが、風見幽香は幻想郷トップクラスの力を持つ妖怪です。能力は戦闘向きではありませんが、力でその分をカバーしているのです。
さて、どうなる裕海!
23話のタイトル、月満つれば則ち虧くというのは、「史記」蔡沢伝から持ってきた言葉です。
まんまるな満月も必ず欠けていくように、最も盛った後は衰えていくということ。

※恋舞「クラッシュスパーク」は俺のオリジナルです。 
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