魔法少女リリカルなのは ~優しき仮面をつけし破壊者~
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オリジナルストーリー 目覚める破壊者
オリジナル~StrikerS 日常編
65話:海水浴だよ、全員集合~!(PART1)
前書き
かなり遅くなってしましました。
今回から以前よりちまちまと短めな量で投稿していこうかな、なんて思ってます。
後、先に謝罪を。
あれだけ水着水着言っときながら、水着成分少な目で、ほんとすんません(_ _)
暗がりから飛び出した瞬間、太陽は彼らの目から一瞬色を奪う。
しかしすぐに色は取り戻されていき、窓の外に光景が見えてくる。
そこに映るのは、海の青と砂の色の混じる大パノラマ。
無限に広がる青い水平線、白く波立つ海岸線。
「「「わぁ~!!」」」
その光景を同じ車の窓から見ていたなのは、フェイト、すずかの三人は、その美しさに声を上げた。それを聞いたアリサは、ふふんと胸を張る。
「どう?これが家が持ってるプライベートビーチよ!」
その言葉が耳に入っているのか、三人は只々自らの目に映る光景に茫然とするのみ。
その四人が乗る車の後ろを走る車には、はやてとヴィータ、シグナムが乗っていた。
「わぁ~、すっごい綺麗やな~」
「すっげ~!」
月村家のメイドのノエルが運転する後ろで、キラキラした目で眺めるはやてとヴィータ。その隣に座るシグナムはそんな二人を見て微笑んでいた。
因みにここにいないシャマルとザフィーラは、今日は管理局へ仕事に行っている。
海に行けない事をすごく悔しがっていたシャマルだが、仕事を早く済ませればいいという事に気がついたら、逆にものすごくやる気を出していたという事は、八神家だけの秘密である。
そしてさらにその後ろ。三台目の車に乗るのは………
「ダウトォォォ!それダウトォォォ!!」
「ほい、ハズレ」
「ノオオオォォォォォッ!!?何故だぁぁぁ!?」
車の中だというのに、頑張ってトランプをしている男子が三人。彼らは勿論、士にカオル、そして龍也だ。
「なんで僕ばっかこんなにもらってるの!?可笑しくない、ねぇ!?」
「一々煩いぞバカが。七だ」
「お前分かり易いからな~。もう少し表情とか、カードの選び方とか考えたらどうだ?八っと」
「僕は二人と違って正直者なんだよ!九!」
「だったらちゃんと数字通りに出したらどうだ?十」
「それができたら苦労しないよ!」
「はいはい、十一」
「じゃあ……十二」
「「はいダウト」」
「なんでだぁぁぁぁ!!」
普通なら窓の外の光景に心奪われ、目を輝かせるところを……この三人は見向きもしなかった。
そしてその三人より前のシート、車の助手席に座る黒髪の少年―――クロノは、後ろの騒がしさにため息をついた。
「なんで僕がこいつらと一緒の車なんだ…」
そんな愚痴を聞いたのは、その車の中でただ一人。隣で車を運転するバニングス家の執事、鮫島だけだった。
現在聖祥大付属中学校は夏休み。皆中学に上がって行ける場所や行きたいところが増えたことが嬉しいのか、直前の終業式終了後、はしゃぎまくっていた。
まぁ俺もその一人で、なんて言ったって久しぶりの夏休みだ。早めに宿題を終わらせ、のんびりしようかどこかへ行こうかと考え、まぁどうせ管理局の仕事で大半が潰れるんだろうな~、と半分投げやりに考えていたところ、そこにはやてがやってきて……
『今年は海に行きたい!!』
と申し出てきて、俺はそれを了承した。
考えてみればすぐわかることだ。長い間足が悪く、車イスでの生活を余儀なくされたはやてが、遠くへ行くことは愚か、まともに海で泳いだ事など、あったとしてもそれは随分と昔の話。覚えているのは難しいだろう。
それに体育の時間――特にプールでの水泳の時間なんて、はやてがまともに泳げているところを俺は見たことがない。(見る機会があまりない、ということもあるが)
海に行きたいという願望か、それとも泳げるようにしたいのか。流石に真意を問うことはしなかったが、理由としてはそんなところだろう。それなら断る理由もない。ましてはやてからの直々の『わがまま』だ、ここで行ってやらないと約束を破ることになる。
そんで、場所は海鳴の海ではなく、思い切ってバニングス家所有の海岸―――つまりはプライベートビーチにでも行こう、という事になり、現在に至る。
メンバーは俺を含めたいつもの八人は勿論、八神家からはヴィータとシグナム、高町家からは桃子さんと美由希さん。ドライバーとして鮫島さんとノエルさん、士郎さん。
さらになんと、こんなイベントには不参加がちなお堅い執務官、クロノまでもがアルフ連れで参加して、計十六人(と一匹)となった。
クロノが参加することに驚きを隠せなかった俺は、理由を本人に聞いてみたところ……
『母さんに、偶には義妹と一緒に羽を伸ばして来たらどう? なんて言われたんだ』
とのこと。まぁ何かあれば連絡が来て、シグナムやヴィータを連れてアースラに戻るらしいが、三人はそれまではゆっくり過ごすつもりらしい。
因みに淫獣ことユーノ・スクライアは、今日は無限書庫で仕事と、そして日課になりそうだと言っていた書庫の整理だ。あいつもあいつで、大変そうだということだ。
ヴォルケンズの残りの二人も仕事で、今日は来ていない。そのことを話してくれたはやては、何故か面白そうに笑っていたが……何かあるのだろうか?
恭也さんと忍さんは今回は来なかった。まぁあの二人の事だ、仲好く楽しくやっているのは間違いないだろう。
とまぁ、能書きはこれぐらいにして……
「夏だ!」
「海だっ!」
「「イイィィィッヤァァッホオオォォォォォォォ!!」」
ビーチサンダル片手に、今も日差しにさらされる砂浜を走り抜ける。隣には同じようにビーチサンダルを持ってるカオルが、並んで走ってくる。
そして某髭の濃い配管工のおっさんの如き叫び声を出し、海へ向かってジャンプする。
アツアツになった砂浜を駆け抜けた所為で、火傷しそうな程温まった足を海に突っ込む。
「ひゃあっ!きっもちぃぃ!」
「海なんて久しぶりだなぁ、おい!」
足でバシャバシャと音を立てて、カオルと一緒にはしゃぎ回る。
「はぁ……あの馬鹿どもは…」
「見てるこっちが恥ずかしくなりそうだな…」
その後ろ―――未だ砂浜に立っている龍也とクロノ。腕を組んでこちらを見てくるその様は、明らかに呆れた様子だった。
「んだよてめぇら!海だぞ海っ!楽しまないでどうすんだよ!!」
「そうだそうだ!」
「ガキかお前らは」
「僕はガキじゃないんだ」
かっ!十八だからって羽目も外せないと、大人になれないぞ?
因みに俺が着けているのは、黒ベースの赤いラインが入った海パン。カオルは青ベースの、龍也は俺と同じ黒ベースで、俺とは別の装飾をが施されたものだ。まぁこんな事言っても、誰得だって話だけどな。
しかし、だ……
「なんでお前はスポーツタイプの水着なんだよ…」
「ん……何か可笑しいか?」
いや可笑しすぎだろ、おい。なんで海に来てまで、そんなピッタリ張り付くスポーツ水着着てんだよ。
「僕自身あまり海はいかないし、泳いだのだって訓練校での訓練内だけだからな。こっちで言う水着なんて持ってなくて、昨日急遽買ったんだ。それで店員に聞いてみたら…」
「それが来た、と…」
「見るに哀れだね、これは」
「流石の俺も、これは哀れだとしか言い様がないな」
「年上に向かってなんだその言い草は」
おっとマズいマズい、こめかみに青筋が立ってらぁ。これ以上いじるのはマズいな。
「それにしても…遅いな皆」
「はぁ?クロノっちそれ本気で言ってるの?」
「クロノっち!?」
「女性の着替えは時間がかかる。男にとってこれは常識であり、文句を言ってはいけないという暗黙の了解だぞ?」
カオルと龍也にそう言われ、クロノは顔をしかめる。どうやら二人の言ったことが真実なのか、判断しかねているようだ。
「……士、今のは本当なのか?」
そしてクロノは意を決して、俺へ質問を投げかけてきた。
俺はフッ…と鼻を鳴らし―――
m9(^Д^) と。
その後、クロノにめっさ殴られた。後で訳を聞いたら、『とにかくうざかったから』らしい。
それから数十分後。俺達四人は持ってきていたビーチボールを使って、ビーチバレーを静かに―――
「だぁらっしゃぁあ!」
「とうっ!」
「このっ…!」
「せいっ!」
やっていなかった。だいぶ騒がしいな、これは。意外にもクロノも一緒に熱くなってやってる。
そこへようやく、俺達とは別の人影が。背のちっこいのと、でかいのという凸凹コンビ―――
「誰が背も胸もちっこい子だゴラァアアッ!」
「へぶっつぁ!?」
瞬間、ものすごいスピードで海へ飛び込んでいくカオル。どうやら俺以上に変な事を考えていたらしい。おまけにちっこい方―――つまりはヴィータに一番近かったが為、ぶっ飛ばされてしまったようだ。
騎士の勘って怖いなぁ、危ない危ない。
「ヴィータ、いくらプライベートビーチだからってデバイスの使用は控えた方がいいぞ?」
「あん?そうか?じゃあ仕方ねぇな…」
俺からの忠告を受けて、ヴィータは素直にアイゼンを待機状態にする。しかし…海だっていうのにデバイスはやっぱり持ったままなんだな、流石はベルカの騎士だ。
「それで?他の皆は?」
「桃子さんや美由希さん、ノエルさんは着替え終えてパラソルとか持ってくるって」
「主達はおそらくもう少しかかるだろう。主に主が遅らせているのだが…」
「あ~、なるほど…」
はやてが揉み魔というのは、ヴォルケンズやなのは達から常々聞いている。まぁそうなれば、遅れている原因も自ずと―――
「うむ、実に素晴らしい光景である」
「うぉおっ!カオルお前、いつの間に戻ってきてたんだ…?」
いきなりカオルの声がすると思ったら、奴は既に俺の隣にいた。ついさっきヴィータにぶっ飛ばされて、海の上を二、三回跳ねていたように見えたのだが……気のせいだったか?
「士君、見てごらんよ二人の姿を!」
「あぁ?」
カオルに言われて、素直に二人を見る。近くにいた龍也とクロノも、そのカオルの凄味を感じてか、思わず顔を向ける。
ヴィータはスカートのようなひらひらが付いた、真っ赤なワンピースタイプだ。シグナムはピンクをより白に近づけた色でのビキニの上に、日焼け対策なのか長袖の上着を着ている。
二人共俺達の視線に気づいてか、何か不思議そうな顔をしている。
………いや、
「それで?」
「この光景を見てもそれだけなの!?可笑しいでしょ!?」
そう言ってカオルはズビシィッと二人を指差し、叫ぶ。
「ここまで極端な凸凹の差を僕は見たことがない!これで家族っていうんだから、尚更凄い!これはもう、奇跡と言っても過言ではないことだ!」
その瞬間、周囲の気温が確かに五度程下がった。そんな事にも気づけない程熱弁するカオルの目の前で、憎悪の業火が燃え滾る般若の如き表情をしている二人。
しかしそれに気づかずに、ベラベラと語りだすカオル。あぁ…こいつ滅多打ちにされるな~…(現実逃避)
「ではいっちょ、その胸を我が手に―――」
「(ブチッ)」
「―――うちのバカがほんとすいませんでしたあああぁあぁぁぁ!!」
「ぼぶはっ!?」
しかしこのバカが何か言いそうになった瞬間、俺の本能がカオルの顔を砂浜に突っ込んでいた。
だがこの行動は、決して間違いではなかった。現に俺が行動をする直前に聞こえてきた音は、確かにシグナムから聞こえてきたし、しかもシグナムは首に下げている待機状態のデバイスに手をかけていた。
このままこいつに話させると、このビーチが殺人現場になりかねない。
「お代官様、何卒お許しを!ここは皆が海を楽しむ場所、そんなところで血の海が広がっていては、あなたの主様達も楽しめないかと!」
「………」
「まぁ落ち着けよシグナム。士の言う通りだし、こいつがバカなのがいけないんだ。それに……減るもんじゃないし」
軽く笑いながら言ったヴィータを、シグナムは鬼の形相のまま睨んだ。流石のヴィータもこれにはたじろいだ。流石は将、一睨みで黙らせるとは。
「そうやでシグナム、触られた程度じゃこの胸は減らんやろ!」
「ひゃぁあっ!?」
「「「ぶぅぅっ!?」」」
そこへいきなり声が聞こえ、シグナムの背後から手がニュッと現れシグナムの胸を鷲掴みにする。そしてシグナムがいきなりの事で変な声を上げるのと、その光景を目の当たりにしてしまった俺達が吹くのは、ほぼ同時だった。
「あ、主!こういう事はあまり人前では…!」
「えぇやんか~、減るもんやあらへんし」
「確実に私の精神的な何かが減ってます!」
「なになに?何が起きて―――」
「だがカオル、てめぇはダメだ」
「ぼぶしっ!?」
目の前の光景に目を逸らしていると、地面に埋めたカオルの頭が出てきた。しかし俺はそれをさせまいと、再びカオルの頭を砂浜へ突っ込む。
くっ、今の光景を奴に見せたら、大変な事になりかねない。
「あ~、やっぱシグナムのはえぇな~。このぽよぽよ~って感じとぷにぷに~って感じがたまらんわ~」
「や、止めてください主!そんな風にされては、水着が取れて…!」
なんかうんうん唸っているが、気にしてはダメだ!これ以上この場をカオスにしてはならんのだ!もっと、もっと下に!起き上がれないようにさらに下へ!
遅れてやってきたなのは達四人は、目の前の光景に困惑していた。
「……ヴィータちゃん」
「…なんだ、なのは?」
「これ…どういう状況…?」
「……正直言って、私もわからない」
全員の視界に映るのは、二人の人物とその行動。
片やスタイルのいいシグナムの胸を撫でまわし、揉みまくるはやて。片や誰か―――この場にいるメンバーから考えるにおそらくカオルを頭から砂に埋もれさせ、某犬上家の一族の如き光景を作り出そうとしている、士。
傍から見ても―――カオスとしか言い様がない光景だった。
はやての悪戯(揉み)騒動は、遅れてやってきた皆によって止められ、はやてはシグナムから説教を、俺はカオルから説明の要求をされた。
騎士が主に説教するという光景は珍しく、ヴィータも滅多に見ないと驚いていた。
兎にも角にも、ようやくこのバニングス家プライベートビーチ(仮名)に、今回の旅行者全員が集まった訳だ。
「海なんて久しぶりだね~」
「そうだな。前来た時は丁度アリサ達と関係を持ち始めた頃だったか?」
隣に立って話しかけてくるのは、若干黄緑色の上下が分かれている水着を着たなのはだ。
前に海に行った時は、フェイトやはやて、龍也達がいなかったからな~。それに比べたら、だいぶ賑やかな旅だ。
「誰もいないね。なんか貸切だって実感できるね」
「まぁプライベートビーチなんて持つのは、この中じゃアリサか龍也ぐらいだろうよ」
あはは、そうだね。と軽く笑うフェイト。彼女は白い上着の下に、ブルーのツーピース。ただし上半身の方はシグナムのような露出はまったくないタイプだ。
「そうよ!ここに来れたのも、私がいたからなんだから!」
「はいはい、感謝してますよ」
「結構遠くまで見えるね~」
胸を張って威張るようにいうアリサ。その横で遠くを眺めるすずか。二人はヴィータと同じワンピースタイプの水着で、アリサはスカート付きの赤や黄色、白などの様々な色の横縞。すずかは青一色のものだ。
「ほんま、こういうの見るとアリサちゃんがお嬢様なんだな~、って実感できるわ」
「それ、前に俺行ったことあるかもしんねぇ」
改めて周りを見渡し、この海岸の状況を確認するはやて。彼女の水着はフェイトと同じような露出の少ない水色のツーピース。その上に白と青で配色された袖の短い上着を着ていた。
「こんな広いところで泳ぐの、久しぶりだし……フェイト、あそこの海から出てる岩まで競争よ!よ~い、どんっ!」
「あ、ちょっ、アリサズルいよ!?」
真っ先に入っていったのは、アリサとフェイト。アリサがフライングで競争を仕掛け、フェイトが上着を脱ぎ捨てて、アリサを追う形でレースがスタート。まぁあれぐらいのハンデならフェイトは運動神経いいから、フェイトがギリギリ追いつくか?
俺はフェイトが脱ぎ捨てた上着を拾い、辺りを見渡す。丁度よく桃子さん達がパラソルを立ててシートを敷いていたので、美由希さんに上着を預けた。
「フェイトが来たら、渡しておいてください」
「士君が直接渡した方がいいんじゃないの?」
「別にどっちが渡しても変わらないと思いますよ」
それを聞いた美由希さんは深くため息をついた。え、俺何か間違っていた?
再び海岸の方を見ると、クロノと龍也、なのはとすずかの四人がビーチバレーを。はやてとヴィータは海水をバシャバシャと掛け合い、シグナムは……何処からか持ってきた木刀で、何故か鍛錬を始めていた。
「シグナム、お前だけなんか違う…」
「む、そうか?」
「いやどう見たってそうだろ!皆楽しんでるのに、なんでお前だけ体鍛えてんだ!?」
「いやこう…波に向かって振り下ろして、二つに斬れないか、と…」
波に向かってとかどこぞの必殺シュートの練習だ、と心の中でツッコミを入れる。
う~ん…ちょっと早いかもしれないが、あれをやるか。
「すいません鮫島さん、スイカ持ってきてくれませんか?」
「わかりました。一緒に木の棒も持ってきます」
「あ、お願いします」
桃子さん達が休んでいるパラソルの側に立っていた鮫島さんにそう言うと、恭しく頭を下げ戻っていった。
「スイカをどうするのだ?」
「まぁやってみればわかるさ」
後書き
あぁ、それとつぶやきでも言ったのですが、暁用のTwitterを始めました。
定期での宣伝と、最新話更新のお知らせなどで使う予定です。よかったらフォローと宣伝リツイートお願いします。
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