魔法科高校の有能な劣等生
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囚われの無月
前書き
前回の続きです。
無月家の魔法は異質だ。
魔法の発動を無効化し発動している魔法も無効化される。
そんな魔法を使えるのはこの無月家だけで他の一族ではけして使えない。
「零?」
何故に疑問形?
俺はその声に振り返る。
「ジジ?」
その疑問形の持ち主は俺のよく知る人物の1人ジジだった。
「ジジ、どうかしたのか?」
「いんや、ただ孫が悲しそうな顔で廊下を歩いとったからの」
悲しそうな顔になってたのか俺?
「そんな悲しそうな顔してたのか俺」
「ああ、なっとたぞ」
ジジは笑う。
そんなに変な事を聞いたかな俺?
「ま、話すなら立って話すのも乙じゃが偶には孫と茶を呑みながらゆっくりと話したいの」
「それは俺をお茶会に誘っていると言う事ですか?」
ウムウムと頷く。
偶には孫と話したいと言っていたが俺に何か話せる話題が有るだろうか?
少し頭の中に有るデータベースから記憶を確認しフリーズする。
「解りました。
そのお茶会、参加しましょう」
結局、話題になる種は思いつかなかったが俺はジジのお茶会の誘いに乗る事にした。
理由は幾つかあるが8割方は久しぶりにジジの部屋に行き茶を呑みたくなった。
何とも微妙な結論だが偶にはジジと話すのも良いだろうと俺は思った。
「久しぶりに来たなジジの部屋」
無月家の奥の奥の奥の方に有るジジの部屋
そこはあらゆる魔法を打ち消す札やあらゆる侵入者を駆除する魔法が部屋が掛けられている。
半永久的にその札や魔法は残り続け役割を果たす言うならば要塞
「確かに久しぶりじゃの零が此処に来るのわ」
「最後に来たのは確か俺が4歳位だったかな?」
「ああ、そうじゃよ
昔はよく此処に来て遊んどった」
改めて周りを確認するが見れば見る程懐かしい。
小さい時はよく此処に来てはしゃいでた事を今でも覚えている。
で、毎回、母さんに怒られてたよな。
「それにしても零やお前は立派になったのー」
でた、おじいちゃん特有の語尾を伸ばす方式
どうやらそれは俺の祖父にも適応しているらしい。
「立派ってジジ、俺はまだ11なんだが?」
最近、色んな人が俺を立派に成ったと言ってくる。
お世辞の様な物とは理解しているのだが俺はそれを気にしている。
「いんやちっこい時の比べれば逞しくなったよお前は」
それはそうだ。
あれから何年経っていると思ってるんだ?
「それは確かにあの時に比べればマシに成ったとは思うけど」
あの時、俺が小さい時はやんちゃだった。
そこらを走り回りイタズラをし色んな事をやらかした。
それを今から思い出すと死にたくなる程、は、恥ずかしい。
「魔法も無月の若い奴等より上手いと来た、お前はわしの誇りじゃよ」
誇り、か別に上手くなりたくて俺は魔法を練習している訳では無い。
やれと言われているからやっているのだ、やりたくてやっている訳では無い。
「別に俺は魔法なんて上手く無い。
ジジや父上に比べれば比較にもならない落ちこぼれだ」
そうだ俺は落ちこぼれだ。
無月の名がなければ大した能力もなく目立つ所も無い。
それは自分がよく解っている。
「零やお前は若い。
まだまだ時間は有るいくらでも自分の道を切り開く事が出来る」
「それはジジの勘違いだ。
俺は人の造ったレールの上でしか生きては行けないクズなんだ!」
そうだ、俺はクズだ。
自分の力では前を見る事も進む事も出来ない人間
人の造ったレール上ならやっと生きて行ける程度の人間なんだ。
「自分の事は自分でしか決められない。」
「?」
「確かに今のお前は人の造ったレールの上でしか生きては行けないかも知れん。
が、それは今のお前じゃ。
これからのやりようで何とでも成る何にでも成れる」
「何にでも成れる?」
俺が何にでも成れる?
「そうじゃお前は変われる」
「こんな俺でも変われるのか?」
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