万華鏡
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第七十八話 バレンタインデーその七
「よく覚えておいてね」
「わかったわ、じゃあ今から」
「ええ、それじゃあね」
こう母と話してだ、そうしてだった。
琴乃はチョコレートを全て自分の鞄の中に入れてそうしてだった。家を出て学校に向かう。まずは部活に出てだった。
そしてだ、そのうえで。
クラスに行くとだ、早速だった。
自分の机の上にチョコレートを出す、それからクラスにいる男子達に言った。
「私のチョコはここにあるから」
「あっ、手作りか」
「あんたのはそれか」
「ええ、一人一個ずつあるからね」
こういささか事務的に言うのだった。
「持って行ってね」
「うん、じゃあね」
「一人一個だね」
「それじゃあ貰っていくな」
「今から」
「ええ、皆持って行ってね」
本当に事務的に話すのだった。
「私のは」
「チョコレート貰えるのはいいとして」
「それでもなあ」
「何か琴乃ちゃんも事務的だよな」
「どうにも」
男子連中はここでこうも言うのだった。
「義理チョコにしてもな」
「それでも皆相当に事務的だよな」
「あからさまに義理ってわかる感じで」
「それ以上でもそれ以外でもない」
「まさに、だよな」
「義理だよな」
「だって本当に義理だから」
琴乃は彼等に自分の席に座ったうえで述べた。
「だからね」
「それでなんだ」
「今もそうして事務的なんだ」
「義理チョコそのものだから」
「手作りでも」
「ホワイトデーも何でもいいから」
お礼も事務的に、と言う琴乃だった。
「待ってるわよ」
「というかな」
「何かもう義理前提だな」
「お互いにな」
「ホワイトデーも含めて」
「本命とかね」
ここでだ、こうも言う琴乃だった。
「そういう相手だとどうかしらね」
「そんなの決まってるだろ」
「もう徹底的にやるさ」
「マシュマロとか手作りでな」
「僕達だってやるよ」
お返しに本腰を入れるというのだ。
「そうした相手がいたら」
「義理でもな」
貰ったチョコレートがそれでもだというのだ。
「本命のを返すよ」
「マシュマロなりキャンデーなり」
「クッキーでも」
「そうよね、まあお互いクラスメイトってことでね」
あくまでその関係でのことだ、それならだった。
お互いにこれで終わるのだった、琴乃は全員にチョコレートが行き渡るとこれでよしとした、それは他のクラスの女子達も同じだった。
その朝にそれぞれチョコを配ってからだ、琴乃達は集まって話をした。
「じゃあ後はね」
「ホワイトデーね」
「その時に何を返してくれるか」
「それだけね」
「マシュマロかキャンデーか」
そうしたものを貰って、というのだ。
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