ロックマンX~朱の戦士~
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第十一話 New-type Airport
前書き
エックスとルインがゼロと再会し、それぞれが独自に行動する。
ハンターベースでは、エックスがペンギーゴとナウマンダーを倒したことで話題となっていた。
B級が特A級ハンターを下したという事実が持ち切りの話題となるのは至極当然。
しかし、唯一それに動じていない存在がいる。
特A級ハンターゼロ。
エックスの潜在能力に気づいていた数少ないハンターである。
ゼロからしてみれば、これは当然の結果である。
迷いを捨てた今のエックスは強い…。
ルイン「ゼロ」
ゼロ「ルイン、それにエックス」
ゼロが声のした方を見遣るとルインとパワーアップパーツを装備しているエックス。
話題になっているエックスと現時点でのイレギュラーハンタートップクラスの実力者であるゼロとルインの組み合わせは目立つ。
ルイン「ゼロ、デスログマーが見つかったの?」
ゼロ「ああ、あいつはエアポートにいる。」
エックス「なら俺達も一緒に…」
ゼロ「駄目だ。あいつは俺が止めなければならない。」
かつての友として、イレギュラーとなった彼は自分が止めなければならない。
エックスに対して悪いとは思ったがこれだけは譲れない。
ルイン「エックス、ここはゼロに任せよう。私はカメリーオの所に行くよ。エックスはマンドリラーを」
エックス「俺が…あのマンドリラーと?」
豪速拳の雷王…スパーク・マンドリラー。
元第17部隊所属。
隊長であったシグマに従う形で反乱に参加し、その圧倒的な戦闘力で巨大発電所を占拠。
拠点制圧は部下に任せ自分はごろ寝を決め込んで好物の電気を貪り食っていると聞いている。
ルイン「大丈夫、自信を持って。今の君なら大丈夫だからさ」
エックス「ああ」
ゼロ「エックス、ルイン。気をつけろよ」
エックス「ありがとう」
ルイン「ゼロこそ気をつけてね」
ゼロ「ああ、分かってる」
ゼロはハンターベースを後にし、イーグリードがいるエアポートに向かう。
エアポートに着いたゼロは右腕をバスターに変形させ、迫って来るイレギュラーを見据える。
ゼロ「邪魔だ…!!」
イレギュラーに向けてフルチャージショットを放つゼロ。
エックスの蒼いフルチャージショットとは違い紅い色をした砲撃。
威力もエックスのフルチャージショットとは桁違いでメカニロイドは砲撃に飲み込まれていく。
リフトに乗り込み、更に奥へと進んでいく。
天空の貴公子…ストーム・イーグリード
第7空挺部隊の隊長を務めていた。
人望と正義感に厚く、当初は反乱を起こしたシグマとも対立していたが、直接対決で敗れ、その軍門に下ってしまう。
その後、第7部隊旗艦であり彼の乗艦であるデスログマーは反乱軍の空中要塞となり、空路を遮断するため空港を制圧している。
ゼロ「(止めてやるさ…)」
メカニロイドの群れを単体で灰燼に帰していく。
ゼロには不明な点が多い。
制作者が不明。
エックス、ルイン同様、解析出来ないブラックボックスが多すぎるという、極めて例外的なレプリロイドである。
その不明な点に恐らくゼロの正体があるのだろうが。
ゼロにとってメカニロイドは大した敵ではない。
ただ面倒な障害物でしかないのだ。
いくら破壊しても沸いて来るメカニロイドに辟易してきたゼロはバスターを元に戻すと拳を握り締めた。
全力を込めて地面を殴りつける。
ゼロ「アーーースクラッシュ!!!!」
一瞬のうちに地面には亀裂が走り、砕けた岩片がメカニロイドを巻き込んで宙へと舞った。
その直後の衝撃波で機体はバラバラに裂け、小さな鉄片となり地へ振り注いだ。
ゼロ「…………」
ゼロは辺りを見回すが、もうメカニロイドは残ってはいないようだ。
先へ進もうとしたらある物が視界に入った。
ゼロ「あれは…」
ゼロはカプセルのようなものを発見し、カプセルに歩み寄る。
近付くと起動し、白衣の老人のホログラムが映し出された。
ゼロ「…っ」
優しげな老人だった。
懐かしい…どこかで会ったことのあるような…そんな気持ちを抱かせる男だった。
老人はゼロの姿を認め、笑いかけた。
ライト『君は…ゼロだったかな?』
ゼロ「あなたは一体…?」
このホログラムは生きているのか…?
驚愕しているゼロに老人は優しく話し掛ける。
ライト『いつもエックスのことを…感謝している…これからもあの子を助けてやってほしいのだ』
ゼロ「何故あなたがエックスを知っているのですか…?」
ライト『…すまないが、それを言うことは出来ない……許してほしい…このカプセルにはボディパーツを遺した。エックスがこれを装着すれば、エックスの防御力を飛躍的に高めることが出来る…代わりに受けとってエックスに渡してほしい…後はこれをルインに』
ゼロ「それは…?」
ライト『彼女のアーマー解除プログラムじゃ…これを彼女に使えば彼女の封印されたアーマーを解除することが出来る…私は残念ながらルインと同じように君の仕組みが分からない…故に君のパワーアップパーツが造れないのじゃ…申し訳ない』
ゼロ「気にしないで欲しい。エックスにパワーアップパーツを…ルインには解除プログラムを渡しておく」
ライト『すまない…しかし、君のためのパワーアップパーツは造れないが…秘められた力を解放することは出来そうじゃ……』
ゼロ「何だって…?」
ライト『このカプセルで力を解放するかどうかは君の自由だ。カプセルに入ればバスターの性能を引き上げ、アーマーの強度も格段に上がるはず…君ならこの力を正しい方向に…戦うべき敵に使ってくれると信じているよ…後は力を使う君次第じゃ…ゼロ』
ホログラムが消えていく。
ゼロ「…………」
ゼロはしばらくカプセルを見つめると中に入る。
エックス、ルイン…。
自分にとって掛け替えのない親友達。
ルインはエックスと比べれば付き合いは浅い。
しかしゼロにとっては大切な友だ。
今の自分ではシグマには勝てないのは分かっている。
ならば力を求めよう。
ゼロ「あいつらは…俺が守る……」
カプセルの中で力が漲っていくのを感じる。
紅いアーマーは漆黒へと変わり、金色の髪は見事な銀髪へ変わった。
次にエックスのアーマーパーツとルインのアーマー解除プログラムを入手。
それらを簡易転送装置でハンターベースへ転送すると、ゼロは銀髪を靡かせながら友の元へ向かう。
最奥へ進み、デスログマーの甲板にはイレギュラーとなった友がいた。
イーグリード「ゼロ…なのか……?」
外見が変わった友にイーグリードは戸惑いを隠せなかった。
紅いアーマーは漆黒になり、豪奢な金髪も銀髪に変わっていたからだ。
ゼロ「…ああ、久しぶりだなイーグリード」
イーグリード「しばらく見ないうちに随分と変わったものだな」
ゼロ「ある人に力を引き出してもらった。今の俺にどこまでの力があるのかは俺にも分からない」
パワーアップしたのは確かなのだが、どこまでのパワーアップなのかは分からない。
メカニロイドを全て潰したのは失敗だったかもしれない。
イーグリード「力を…引き出しただと…?」
一体どうやってだ?
ゼロは未解析な部分が多くパワーアップパーツを造ることすら困難だというのに。
ゼロ「イーグリード、お前を止めに来た。ハンターとして…友としてな」
イーグリード「…ならばこちらも全力で相手しよう…我が友よ」
イーグリードのバスターから突風が放たれた。
ゼロは強化された脚力を活かし、大きく跳躍する。
ゼロはバスターを構え通常弾を連射する。
通常弾も攻撃力が増加し、弾速も上がり、連射数も3発から5発に増えている。
イーグリード「チッ!!」
舌打ちし、イーグリードは即座に飛翔する。
以前とは性能が桁外れだ。
しかし空中戦ならこちらに利がある。
イーグリードの強み。
それは360度を自在に駆け巡る戦闘能力。
それは地上戦に特化したレプリロイドよりも多彩の行動を可能とし、敵を為す術なく粉砕する。
かつてのゼロなら苦戦は免れなかったろう。
しかし今なら…。
イーグリードの突進を見切り、カウンターの突きを繰り出した。
イーグリード「ぐあっ…!!」
ゼロの拳が顔面に突き刺さり、突進の勢いもプラスされていたために、イーグリードは一瞬気が遠くなった。
ゼロ「はああああ!!焔降脚!!!」
吹き飛ばされたイーグリードに向けて炎を纏った飛び蹴りを喰らわせる直撃を受けたイーグリードは何度もバウンドして甲板の床に叩き付けられた。
イーグリード「ぐっ…負けるわけにはいかん…!!」
ふらつく身体を叱咤し、再び起き上がる。
再び飛翔すると複数のオプションメカを放つ。
ゼロは連射力が向上したバスターで撃ち落とす。
煙が辺りを覆う。
後ろに気配。
ゼロは右方向に裏拳を繰り出すが、それはオプションメカ。
イーグリード「おおおおおお!!」
ゼロ「っ!!」
背後からのイーグリードの突進。
直撃を受けたゼロはダメージこそは大したことはないが吹き飛ばされる。
次にイーグリードが繰り出すのは羽ばたき。
ゼロの真上からイーグリードの羽が落ちてくる。
威力は大したことはないが全てを受けるわけにはいかない。
ゼロ「爆裂炎!!」
ゼロは拳を甲板の床に叩きつけ、火柱を発生させる。
イーグリードの羽を尽く焼き尽くす。
大きく跳躍し、イーグリードに接近する。
零距離でフルチャージショットを繰り出そうとする。
ゼロのバスターのチャージの時間も大幅に短縮されている。
かつての時よりも速く、強烈な紅い砲撃が放たれた。
イーグリードは身体を捻り、直撃はかわすが片翼と右腕を奪われた。
イーグリード「ぐああああっ!!」
片翼と右腕を奪われたイーグリードは即座に身体の痛覚を切る。
ごまかしでしかないがこのままでは満足に動けない。
イーグリードの翼は姿勢の制御、浮力、速度の制御などを計算されて造られている。
電子頭脳と最も関わりのある部位のために痛みは想像を絶するだろう。
イーグリード「くっ……」
戦闘の要となる翼を失ったイーグリードは表情を歪める。
翼を失った自分にはもう勝機はない。
ゼロ「イーグリード…降参しろ。その状態では満足に戦えないだろう」
イーグリード「何だと…?」
降参を呼び掛けるゼロにイーグリードは目を見開いた。
ゼロはイレギュラーには一切容赦しない。
それは電子頭脳の異常でイレギュラーとなったイレギュラーハンターも例外ではなかった。
その中には同期のハンターもいたのだから。
イーグリード「変わったなゼロ…昔のお前なら容赦はしなかっただろうに……」
ゼロ「エックスとルインの甘ったるい考えが移っただけだ…少しだけな…」
イーグリード「断る。俺にイレギュラーの情報を吐かせようとしても、そうはいかんぞ。イレギュラーとなったが、敵に情報を売り渡すほど堕ちたつもりはない。」
イーグリードは非常用の装備である対装甲ナイフを取り出した。
普通なら牽制目的か緊急用の武装にしか成り得ない対装甲ナイフは使わないだろうが、主兵装であるバスターと片翼を失い、オプションメカも使い切ったイーグリードにはこれしかない。
しかし対装甲ナイフと言えどもこれは超振動モーターによって刃身を高周波振動させることで重装甲のレプリロイドのアーマーさえもたやすく切断するほどの威力を誇る。
それを見たゼロも覚悟を決める。
ゼロ「そうか…ならこの一撃で終わらせよう」
拳にエネルギーが収束していく。
ゼロの最強の必殺技、アースクラッシュ。
地面に拳を叩きつけて衝撃波で攻撃すると思われがちだが、直接エネルギーを纏った拳で攻撃することも出来る。
まともに受ければ並のレプリロイドでは粉微塵になってしまう。
上空は強い風が吹く。
当然、この戦場も強風が吹いている。
その風が、一瞬止まった。
彼らは駆け出す。
一瞬ですれ違い、拳とナイフが互いを撃つ。
背を向け合った2人の動きは、完全に止まっていた。
振り返ったイーグリードは笑った。
がっくりと膝が崩れ、直後ドサリと倒れ伏す。
イーグリードの胸に風穴が空いていた。
彼は穏やかに、心から笑いながら息絶えていた。
ゼロ「イーグリード…」
イーグリードの死に呼応するかのように、デスログマーが大きく揺れた。
ゼロは簡易転送装置を使い、機能停止したイーグリードと共にハンターベースへ戻るのだった。
後書き
ブラックゼロ 1st版
皆さんお馴染みブラックゼロの1st版。
この時点のゼロはゼットセイバーを所持していないのでバスター中心の強化になります。
ハイジャンプ(ジャンプ力上昇)
ハイパーダッシュ(ダッシュ速度上昇)
バスタープラス(ノーマルショットの威力上昇)
スピードショット(バスターの弾速上昇)
ショックアブソーバー(防御力2倍)
ラピッド5(連射力上昇)
ハイパーチャージ(チャージ時間短縮)
これくらいの強化がされました。
少し強化しすぎたかな…。
いや、特殊武器がないからいいかもしれない。
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