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妖精の義兄妹の絆

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希望のギルド

「ジェラール!!!!」
エルザはそう叫びジェラールに駆け寄る。
ジェラールは自らの体にも自律崩壊魔法陣を組み込み命を落とそうとしたのだ。

ダッダッダッダッダッ

そして、エルザは倒れているジェラールの胸ぐらを掴んだ。
ジェラールの体、ニルヴァーナに組み込まれた自律崩壊魔法陣は確実に広がっている。
(「魔法陣の解除コードを墓場に持って行く気かよ!?」)
「許さんっ!!!!このまま死ぬことは私が許さん!!!!おまえには罪がある!!!!」
エルザは涙を流しながら続けた。
「思い出せ!!!!何も知らぬまま楽になれると思うな!!!!それでおまえがキズつけた者たちに償えると思うな!!!!











生きてあがけっ!!!!!ジェラーール!!!!」
「エルザ…。なぜ…君が涙を…。」
エルザは自分の瞳から流れる涙に今気づいた。それを見たジェラールはかすかに笑う。
「やさしいんだな…。」
「ジェラール!!!!しっかりしないかっ!!!!」

ザッ

「これは一体何事か…?」
「!!」
そこへ樹海の最奥部にやって来たのは六魔将軍の司令塔ブレインだった。
「自律崩壊魔法陣…。」
「ブレイン。」
エルザは涙を拭いながらブレインに視線を移す。
「ジェラールが組み込みやがった!!!まずいぜ!!!このままじゃせっかくのニルヴァーナが消滅しちまう!!!」
焦るコブラと違い、小さな笑みを見せたブレインは言った。
「案ずるな、コブラよ。私がなぜ脳“ブレイン”というコードネームで呼ばれているか知っておろう?
私はかつて魔法開発局にいた。」
ブレインは徐々にニルヴァーナへと近づいてきている。エルザは攻撃を加えるわけでもなく、ただブレインを睨む。
「その間に我が知識をもって造り出した魔法は数百にものぼる。その一つがこの自律崩壊魔法陣。」
ブレインはエルザに視線をむけながら喋り、すぐにそらす。
「私がうぬに教えたのだ。忘れたか?ジェラール。」
そして、ニルヴァーナに組み込まれた自律崩壊魔法陣の目の前で足を止めた。
「解除コードなど無くとも…









魔法陣そのものを無効化にできるのだよ、私は。」

パリィン パキィ パリィンパリィン パリィンパキィン

ブレインが手を振り上げたのと同時に自律崩壊魔法陣は粉々に消滅していった。
「そんな…。」
「おおっ!!!!」
コブラは消滅していく魔法陣を見て安堵した。ブレインはジェラールを見て何かに気づいた。
「自らの体にも自律崩壊魔法陣だと?解除コードと共に死ぬ気だったというのか?」
そこにコブラが補足を加える。
「エーテルナノの影響で記憶が不安定らしい。どうやら自分が悪党だった事も知らねぇみてぇだ。」
「なんと、滑稽な…。ふははははっ!!!!哀れだな、ジェラール!!!!ニルヴァーナは私が頂いたァ!!!!」
「させるかァ!!!!」

ダッダッダッ

エルザがブレインに斬りかかっていった。だが、
「目覚めよ!!ニルヴァーナ!!!」

ドッ ゴアアアア

「!!!ぐぁっ。」
「エルザ!!!!」
ブレインの掛け声と同時に大地が崩れ始め、エルザが巻き込まれた。

ゴゴゴゴゴ

「姿を現せェ!!!!」
「おぉぉぉっ!!!!聴こえるぞっ!!!!オレたちの未来が!!!!光の崩れる音がァ!!!!」

ズゴゴゴゴ

大地は激しい光に包まれていく。
「ジェラール!!!」
「エルザ!!!」
二人は大地が崩れたことにより宙に浮いていた。このままでは二人の身が危ないだろう。
だが、そんな事を考えている余裕などあるはずがない。

ゴッ

ワース樹海の中心が激しい光により崩れていった。
その光景は樹海にいる者だけでなく、数十キロ離れた者でも肉眼でも見えるだろう。
それだけ激しく、巨大な光なのだ。

ボゴォ ゴゴッ ボゴゴゴッ

光が出ている大地からなにやら脚のようなものが次々出てくる。

ゴゴゴ

「何だーっ!!?」
「そこら中の地面から…。」
あちこちで大地が隆起しているため、安全な所などどこにもない。

ガゴォ ドガッ ガガガ

「ひえーっ。」

ズガガガッ

「うわ。」
「きゃあ。」
「ぐあ。」
ナツたちの足元からも脚のようなものが出てきた。

ゴガァ ズガァ ゴガァドゴゴ

空を飛んでいたウェンディとシャルルは空から見た光景に驚愕した。

オオオオオ

そして、光が次第に消えてニルヴァーナが姿を現した。それはまるで国が丸々一つ移動しているようだ。
「ついに…!!!ついに手に入れたぞォ!!!!光を崩す最終兵器、超反転魔法ニルヴァーナ!!!!!
正規ギルド最大の武器である結束や信頼は今…この時をもって無力となる!!!!」
ブレインはそう叫びニルヴァーナを操縦しだした。









「く…うぅ…。」
エルザはジェラールを掴み、かろうじて崖に手をかけている。それは予断を許さない状況だ。
「エルザ…。」
「自分の体にかけた自律崩壊魔法陣を解け。おまえには生きる義務がある。
たとえ、醜くても…弱くても…必死に生き抜いてみせろ…。」
「オレは…。」
ジェラールは口を濁す。記憶がなくとも過去の過ちが消えることは決してない。
「ニルヴァーナを止められなかった。」
ニルヴァーナの破壊することも出来なかった、ジェラールには生きる道が見えなかった。
「もう…終わりなんだ……。」
エルザがジェラールを崖から上げながらそう言ったのだ。
「何が終わるものか…見てみろ。」
エルザが向けている視線の先をジェラールは見る。
巨大な脚の上に何がいて、それは徐々に脚を登っていっている。












「うおおおお。」
その正体ははナツとグレイ、ルーシィだった。
「行け…妖精の尻尾。おまえたちになら止められる。」
地上ではシェリーを抱えるリオンがナツたちを見送る。
「シャルル!!!私たちもあそこに行こう!!!」
ウェンディとシャルルもニルヴァーナに向かって飛行した。
「つかまってくださいデス!!!」
「ウム!!!」
ホットアイとジュラも別の脚にしがみついてニルヴァーナに向かっていた。
「私たちは決してあきらめない。











希望は常に繋がっている。」
「これをつたって本体に殴り込みだー。」
「てか、おまえら何でペアルック?」
「知らないわよ!!!」
離れた所ではこんな話をしていたのだった。
「生きてこの先の未来を確かめろ。ジェラール。」











一方その時、タクヤとエマもニルヴァーナが完全に起動したことを知る。
「な、なんだよ。あのでかいのは!!!」
「すごい…。」
タクヤとエマはニルヴァーナの大きさにただ驚くことしか出来なかった。
「ニルヴァーナが完全に起動したようだな。おまえら光のギルドは今この時をもって消滅するのだ!!!」
虚ろな聖域のリーダーは笑いながらタクヤに言った。
「多分、みんなはニルヴァーナに向かっているはずです!!私たちも早く行かないと!!!」
「わかってる!!!いつまでもこいつらの相手をするつもりはねぇ。一気に沈めてやる!!!!」
タクヤは再び構える。しかし、相手もただでは通してはくれないハズだ。
「この人数を相手にどうやって沈めるんだァ?」
虚ろな聖域のリーダーを始め、構成員も身構える。
「うおぉらぁぁぁぁ!!!!」
タクヤが目の前の敵に向かって走った。
「水竜の柔拳!!!」
拳に水を纏い、敵を次々と薙ぎ倒していく。だが、それでもまだ半分以上も残っていた。
「サークルマジック“デザートホール”!!!!」

ザァァァァ

リーダーが魔法を唱えるとタクヤの足場が砂になり、タクヤの自由を奪った。
リーダーはにっと笑って見せたが、タクヤは冷静に対応した。
「水の魔導士に砂だって?全然意味ねぇよっ!!!」
タクヤは自分の足場に水を加え砂を固くした。これにより水分を吸った砂は脆くなり簡単に脱出した。
だが、それは相手にとって予想の範囲内、むしろ好都合な事だった。
「かかったな。」
「!!」
タクヤは脱出するため高く飛んでいた。それを計算に入れていたリーダーは木の上に構成員を配備していたのだ。
リーダーは手を振り上げ、合図を出した。
「今だ!!!全方位魔導弾発射!!!!」
「「了解!!!!」」
「なっ!!!?」

ダダダダダダダ

無数の魔導弾がタクヤに集中砲火された。咄嗟の出来事だったため水を逆噴射させて避ける事ができない。

ドゴォォン

タクヤは爆煙の中に消えた。
「タクヤーー!!!!」
エマがそう叫んでタクヤを呼ぶが、応答はない。
「フッ、あれだけの魔導弾を喰らってはさすがに魔導士といえど生きてはいないな。
仮に生きていても致命傷にはかわりない。ふははははっ!!!!」
リーダーは高々と声をあげて笑った。ほかの構成員も笑い出す。
「そんな…。」
「さて、そこの猫を始末して我らもニルヴァーナに乗り込むぞ。」
リーダーが構成員を集結させようとしたその時、














「ちょっと待てよ。」
「!!!」
リーダーは咄嗟に爆煙の方に目をやった。そこには爆煙以外ないと思った瞬間、

バシャァァァァァ

突然爆煙から水の刃が現れ木の上にいた構成員たちに襲いかかった。
「ぐわっ。」
「がっ。」
「うぎゃ。」
「がはっ。」
次々木の上から構成員が呻き声を上げながら落ちてきた。
「勝手に殺すんじゃねぇよ、ばかやろーが。」
「な、なんだ、と…!!!?」
爆煙から姿を現したのはほぼ無傷のタクヤだった。
「こんなもんでオレが殺れるなんて思われたくねぇなァ!!!」
「あれだけの魔導弾を喰らってその程度のダメージだとっ!!?
ありえん…。あれは普通の魔導弾の10倍の威力があるんだぞ!!!化け物か…!!!」
「なんか知んねーけど、10倍だろーが100倍だろーがオレは殺れねぇよ。」
「こ、こんな奴相手にどう戦えばいいんだ…。」
あの攻撃が最大の威力を誇っていたのだろう、リーダーは体を震わせ後ずさりする。
「もう呑気にしてる場合じゃねーんだ。」
「!!!」
タクヤは水平維持のために水を逆噴射させていたが、それをやめ、頭から地上のリーダーに向かった。
「く、来るなァ!!!!」
リーダーは隠し持っていた魔導散弾銃をタクヤに向け発射する。

ダダダダダダダ

だが、その攻撃は一発も当たらない。往生際が悪い奴は何をしても成功などしない。
この光景を見ればそれが鮮明に理解できるだろう。それほどリーダーは取り乱していたのだ。
「終わりだ!!!!











水竜の翼撃!!!!」

ザバァァァン

「「ぐわぁぁぁぁぁっ。」」
リーダーを始め、そのほかの虚ろな聖域の構成員全員を一撃で撃退したのだった。

バタン

空から地面に叩きつけられたリーダーは薄れていく意識の中、必死にこの言葉を絞り出した。
「く、くそ…が…。ガクッ」
リーダーはそう言うと気絶してしまった。
「ったく、手間取らせやがって。」
「タクヤーー!!!!」
振り向くとエマが涙を流しながらタクヤの胸へ飛び込んできた。
「わっ、どうしたんだよ!!?」
「うぅ、ホントに死んじゃったんじゃないかって…私…。」
「あんなのにやられるオレじゃないことぐらい知ってんだろ?」
「でもぉ…。グズ」
それでもエマは涙が止まらなかった。
「ほら、泣いてる場合じゃないだろ?早くニルヴァーナに向かわないと…。ウェンディとシャルル、みんなも心配だ。」
「グズは、はい!!!そうですね!!!大分魔力も回復しました!!!」
「よし!!じゃあ行こう、仲間たちのもとへ!!!!」
「はい!!!」
そう言ってタクヤとエマはニルヴァーナへと飛んでいったのだった。















各地で連合軍はニルヴァーナへと向かっていた。
「メェン?」
一夜はニルヴァーナに到着しているものの手足が縛られている上、高い所になった木の枝にぶら下がっていた。
「こ、ここはどこなんだ!?オイオイ、ナマイキな小僧どもはどこに行った!?
どうなっているんだぁぁぁ!!!!メェーン。」
一夜はただ叫ぶことしかできずにいた。
すべての脚を地中から出したニルヴァーナはやがて歩き出した。

ズシィ ズシィン ズシィン ズシィ

「うぷ。」
「何してんだ、ナツー。」
「ちょっと!しっかりしなさいよー!!」
ナツは登るのを止めてその場に停まった。
「こ、これ…乗り物じゃねぇか…?」
「動いてるけど乗り物じゃねぇ!!!そう思い込め!!!」
グレイはナツにむちゃくちゃな事を言っている。
「キ、キモチ悪りぃ…。」
「こ、これタコの足だから!!!あんた生き物の上なら平気でしょ!!」
「タコは森にいねぇし。」
「妙なトコこだわらない。」
ルーシィがナツにつっこむがナツにとっては冗談ではないらしい。
次第にナツの手から力が抜け、どんどん脚から落ちていっている。
「!!」
「ナツ!!!」
「バカ!!!力抜くんじゃねぇ。」
ルーシィとグレイはずり落ちていっているナツを掴もうとするが遅かった。

ピューー

「お。」
「きゃあぁぁっ。」
「ナツーー!!!」
ナツは脚から落ちていった。このままでは地面に落ちて体が粉々になってしまう。
「わあぁぁぁぁぁあぁぁ。」
そこに、

キィィィン

何かがナツに向かって飛んでくる。

ギュウウウウン がし

それはハッピーだった。間一髪の所でナツの救出に成功した。
「ハッピー!!」
「はぁ。」
ルーシィとグレイもひとまず安心した。
「かっこよすぎる、ぜ…。ヒーロー。」
「どう?ナツ。オイラと風になるのは気持ちいいでしょ?」

ビューン ヒュルン キィィィン

ハッピーはそのまましばらくナツを抱えて空を自由に飛び回った。
「あぁ、最高だ。」
ナツの乗り物酔いもスッカリ無くなったようだ。
「おまえらそのまま上に行け、オレたちはそこにある穴から中に入ってみる。」
グレイがナツとハッピーにそう伝えた。
「おう!!!」
「あいさ!!!」

ドシュ

ナツとハッピーはそのまま飛行し、ニルヴァーナに乗り込んでいった。












ここはニルヴァーナ、王の間
そこではニルヴァーナを手に入れた六魔将軍のブレインとコブラが歓喜に包まれていた。
「ついにやったな!!!ブレイン!!!ニルヴァーナを手に入れたぞ!!!すげぇ!!!これが古代人の遺産…、
キュベリオス、すげぇぞこりゃ。」
コブラは相棒であるキュベリオスに話しかける。
「見よ、コブラ。眼下に広がるこの世界を。」
コブラはブレインに言われるままに眼下に広がる光景を見る。
そこに古代人の都市が広がっていた。
「古代人の都市、それこそがニルヴァーナの正体。この王の間において我が意思により思いのままに動く都市だ。」
「動く…って、どっかに向かってんのか?コイツは。」
「ここからは狙えんからな、あのギルドは。」
「最初の標的か。」
「光崩しの始まりの地とでも言っておこうか。」

ばっ

そう言ってブレインは杖を振りかざし目の前に魔法陣を出現させる。

カッカッカッカッカッ キュルルルルル キュイイン

「進め!!!!古代都市よ!!!!










我が闇を光へと変えて!!!!!」
その時だった。二人の目の前を何かが下から飛んでいったのをとらえた。
そして、それは次第に空から降りてきた。









「オレが止めてやるァアァアァァッ!!!!!」

ボゴォォォォ

ナツは口から大量の炎を王の間一帯に撒き散らしながら現れた。
「う、うぬは…!!?」
突然のナツの登場にブレインは一瞬判断が遅れた。ナツはブレインを睨みながら体を回し王の間に炎を吐く。

ズゴォォッ ドガドガ ドガガドガガ

「ぐおっ。」

ドッ ドゴ バキバキ

王の間がナツの炎により徐々に破壊されていく。
「コブラ!!!ここで暴れさせるな!!!」
王の間がこれ以上のダメージを受ける前にブレインはコブラに命令した。
「おう!!!キュベリオス!!!」

シャアアッ バチィ

「がっ。」
「うわっ。」
キュベリオスがナツの場所まで伸びてき、ナツたちに体当たりをかました。
「んたなもの、全部オレが燃やして…。」
その時だった。コブラがキュベリオスの背中を踏み台にしてさらにナツたちにダメージ与えた。
「!!」

ガリ

吹き飛ばされたナツはハッピーのおかげで遠くまで飛ばされずになんとか踏ん張ったのだ。
「サンキュー、ハッピー。」
「あい。」
「!」
ナツは目の前にいるコブラを見て驚く。

ばさっ シャアア

なんとキュベリオスが羽を広げ宙に浮いてその背中にコブラが乗っていた。
「ぬあ!!!」
「ヘビが飛んでるよ!!!」
「てめぇ、オレの聞いた話じゃ乗り物に弱いと言わられてなかったか?」
「ハッピーは乗り物じゃねぇ!!!」
「そうだー!!!」
コブラはそれを聞いて納得した。
「なるほど…。だから常に飛んでいると言う話か。乗り物“ニルヴァーナ”に立つことはできないから。」
「どけよ!!!オレはこのデカブツ止めるんだ!!!」
「やれるモンならやってみやがれ、ブレインには近づかせねぇ。」
コブラはブレインを守る盾としてナツの前に立ちふさがる。
「あいつが動かしてんのか。」
「来いよ、滅竜魔導士。」
「おっしゃ……と見せかけて狙いはアイツだ!!!」
ナツはコブラの意表をつきブレインに攻撃を仕掛けようとするが、

バチィ

「んが。」
それをキュベリオスが尻尾を振るい阻止する。

きゅるるる ピタッ

「軌道を読まれた…。」
「え?」
ハッピーの言葉にナツが驚く。
「聴こえてんだョ、てめぇの動き。」
ナツはじっとコブラを睨む。
「そうだ、それでいい。遊ぼうぜ。」
ここにナツとコブラの戦いの火蓋は切って落とされた。













「うっ。」
「大丈夫ですか?やはり先程の戦いで…。」
ここはニルヴァーナの上空
タクヤとエマは先程までの戦いに終止符を打ち、ニルヴァーナの本体へと到着した。
だが、タクヤは先の魔導散弾銃による攻撃によりダメージを受けていたのだ。
「これくらいなんともねぇ…。それより早くウェンディたちと合流しねぇと敵に出会したらやべぇ。」
「タクヤ…。」
タクヤは怪我を負った箇所を押さえながら言った。
「あれ…、ウェンディとシャルルじゃねぇか?」
「あっ!本当ですね…。よかった、敵には遭遇してないみたいです!!」










「はぁはぁ…はぁはぁ…。」
「ごめんねシャルル。無理させちゃって。」
シャルルは長時間空を飛んでいたため魔力と体力が無くなり息を切らしている。
「私の事はいいの。それよりアンタ、こんなトコまで来てどうするつもりなの。」
シャルルの問いかけにウェンディは顔を伏せてしまった。
「まだ、ジェラールってのを追って…、」
「違っ!!!あ、えと…それもちょっとはあるけど…。
私…なんとかしてこれを止めなきゃって!!私にも何かやれる事があるかもでしょ!?」
「そうね。」
「…お兄ちゃんたち、大丈夫かな…。」
ウェンディがタクヤたちの心配をしていたその時、
「おーい。」
ウェンディとシャルルは声がする方へ顔を向けた。
「おーい。」
「無事でしたかー。」
そこにはエマとボロボロになっていたタクヤがいた。タクヤとエマはニルヴァーナに着地した。
「お兄ちゃん!!!どうしたの!!その怪我…!!!」
「いや、たいしたことな、」

ボフッ

タクヤが喋り終わる前にウェンディはタクヤを強く抱き締めた。
「…心配だったんだから。」
「ウェンディ…。」
「お兄ちゃん…。」
「…もうだめ…。」
タクヤはウェンディを押し倒す形でその場に倒れた。
「お、お兄ちゃん!!?え、えっ!?」
ウェンディは顔を真っ赤にしてただ慌てることしかできなかった。
「トロイア…かけ、て…。」
「え?」
タクヤの顔を見るととても苦しそうにしていた。
「もしかして、乗り物酔いですか?」
「ったく、だらしないわね。」
「ま、待ってて!すぐにかけるから!!」
そう言ってタクヤを仰向けにしてウェンディはトロイアをかけた。
トロイアとはウェンディが使う天空魔法でバランス感覚を養う効果がある。

パァ

ウェンディの手から青白い光が出る。すると、タクヤの顔色が良くなってきた。
次第にタクヤにかけられていた青白い光が消え始める。
「おぉ!!もう大丈夫だ!!!ありがとな、ウェンディ!!!」
「ううん。それより怪我の方は回復しないでいいの?」
「いや、これくらいなら大丈夫だ。それにお前の魔力も温存しとかないとな。」
「…わかった。でも、無理しちゃダメだからね。」
「あぁ、分かった。」
タクヤの言葉を聞いてウェンディは安心した。
「!」
シャルルが何かに気づいた。
「!?」
「どうしたんですか、シャルル。」
シャルルは体を震わせながら言った。
「ま、まさか…偶然よね!?そんな事あるハズ…。」

ズシン ズシン

依然、ニルヴァーナはその巨体を地鳴りとともに歩いていた。
「だから、どうしたんだよ。」
「この方角…このまままっすぐ進めば…









化猫の宿“わたしたちのギルド”があるわ。」
「「え。」」
シャルルの一言に三人は耳を疑った。


























 
 

 
後書き
16話完了ー!最近は課題、バイトに追われる毎日…。早く来い!!夏休み!!!海行って、花火して、満喫したいぞー!!!!
…はい。ということで僕の理想の夏休みを言ってみただけです。どうせ現実は課題、バイトでおわってしまうので(笑)
では、感想待ってまーす! 
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