ソードアート・オンライン ~白の剣士~
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破壊
「「第2ラウンドといきましょうか!」」
須郷はその言葉に俯く、その表情はシオンたちからは見ることは出来ない。しかし、その表情はすぐに分かった。
「フ、フフフッ、フハハッ。フハハハハハハハッ!!!!!!」
「・・・・・」
「フハハッ・・・。やってくれな、クソガキッ!!」
その顔は、狂っていた。
それは先ほどよりも遥かに歪み、危険な感じだった。
「殺す、殺してやる!!」
『こりゃ、相当狂ったな・・・』
それがシオンがオベイロンの顔を見たときの感想だった。そして、それと同時に思ったのは。
『そして、追い込まれ過ぎた状態。こりゃ、何しでかすか分からねーぞ・・・』
シオンは冷静な顔で言う。
「ここじゃあ場所が悪い、舞台を変えるとしよう。システムコマンド!“エリアチェンジ”!!」
「何ッ!?」
シオンがそう言うとフィールドはたちまち変わり、一瞬にして白い空間へと変わった。
「貴様!何故システムコマンドを使える!?」
「だから言っただろ、イレギュラーだって。んなことより、さっさと始めるぞ!最終決戦!」
オベイロンとシオンたちの間にカードが出現した。その数は9枚。
「この9枚から好きなのを選べ。安心しろ、細工はしていない。お前が選んだカードに描かれていたものが最終決戦の場だ」
「・・・・・」
オベイロンは警戒しながらもカードを引く。
はじめは何もかれていなかったカードに何かが浮き上がってきた。
そこに描かれていたのは、鉱山の絵と“NOME”という文字だった。
「フィールドはノーム!では行こうか!」
シオンがそう言うと、フィールドは鉱山へと変わった。
「こ、これは!?」
「すごい、こんな・・・!」
「では、戦いの説明する」
上空にはスクリーンが映し出され、そこには簡易的な映像が載っていた。
「今回、決戦の勝敗を決めるのは“チョイス・バトル”だ」
「チョイス・・・バトル?」
アスナは首を捻るとキリトが説明する。
「チョイス・バトルは、文字通り“選択”のゲームで、フィールド、プレイヤーの数、基地の位置、かける報酬等を決めて、それを獲得するために競いあう旧世代のいわば戦争ゲームだ」
「戦争ゲーム・・・」
「無駄にシンプルでいいだろ?」
「確かに、無駄に考えるよりは力比べの方が分かりやすい」
「その通り。で、肝心のルールだが、フィールドの広さは直径10km、プレイヤーの数は・・・」
シオンは少し考えたあとに答えを出した。
「無制限ってのはどうだ?」
「む、無制限!?」
「それってつまり・・・」
「何人できても構わないということでいいんだな?」
オベイロンはそう言うと、シオンは笑みを浮かべ、
「構わないぜ、百人だろうが、千人だろうが、なんだったら一万でもいいぜ?それくらい、管理者権限でなんとかなるだろ?」
「ふん、面白い。いいだろう、後悔するなよ?」
「ただし、その人数の配置ができるのは最初のみだ」
「つまり・・・」
つまり、最初に千人プレイヤーを配置したとする。これらを減らすことはできても、増やすことは出来ないということである。
当然のことながらロストした人数分の増援、復活も出来ない。
「最終的に敵の代表、即ち王を討ち取った側、もしくはプレイヤーを全員戦闘不能した側が勝利とする。これで異論はないな?」
「ああ、いいだろう」
「何か質問はあるか?」
「何を作っても構わないのだな?」
「ああ、荷電粒子砲でも、高機動兵器でも作れる範囲なら何でも構わん」
そして最後にシオンが提示したのは、
「最後に報酬だが・・・俺たちの全てだ!」
「なッ!!」
「ちょっと、シオン君!?」
「敗けた場合はどうなる?」
「俺たちを実験材料にでも、奴隷にでも勝手にしろ。で、アンタが敗けた場合だけど、警察につき出すからそのつもりで♪」
シオンは笑みを浮かべながら続けた。
「このフィールドは“ノーム”の特性を活かしたものになっている。ノームの特性は“耐久力”と“採掘”。つまりこのフィールドは通常の強度よりかなり高い設定になっている」
「ち、因みにその強度は?」
アスナが恐る恐る聞いてみる。その問いにシオンはこう答えた。
「通常のフィールドの約100倍」
「ひゃ、100倍!?」
「そして、採掘はこのフィールドのいたるところに様々な結晶が散らばっている。それはバトル中でも使用可能だ」
「つまりは回復結晶とかがその辺に転がってると思っていいのか?」
「ああ、それじゃあ人数を提示しようか。そっちの軍の数は?」
「・・・千だ」
その数にシオンは驚きの表情を浮かべる。
「随分とまぁ・・・」
直後、シオンの言葉に皆がどよめく。
「少ないな」
「なッ!!」
「エッ!?」
「少ない、だと!?」
「俺ならそんな数、五分もかからずに終わらせるぜ?」
「減らず口を・・・」
「だったら試してみな、今なら増やせるぜ?」
シオンは不敵な笑みを浮かべながら言う。その顔に対してオベイロンは怪訝な表情を浮かべる。
「五千・・・」
「足りないな・・・」
「ッ!!」
『シオン、コイツ一体何を考えているんだ・・・?』
キリトはシオンの考えていることが分からなかった。シオンは表情を崩さない。そしてオベイロンは更に人数を増やした。
「七千だ!」
「う~ん、もう少しいたほうが張り合えるかな?」
「貴様、なめてくれる!!」
「別になめてないさ。只、そのくらい必要だと思っただけさ♪」
「・・・万だ」
「ん?」
「一万だ!!」
オベイロンの告げた数を聞いて、シオンは再び笑みを浮かべた。
「上等だ・・・!」
「お、おい!いいのかよ!?」
「構わんさ、どうせ俺たちが勝つんだからな♪」
「では、お前たちの数は?」
オベイロンはシオンたちに尋ねる。
「そうだな・・・。じゃあ、お前たちの1/10で♪」
「千人!?」
「ほう、正気か貴様?」
オベイロンは笑みを浮かべ言う。
しかし、シオンはそれでも表情を崩さない。
「ああ、正気だよ。ちなみにメンバーはここにいるのと、この人たちだ」
シオンは指をならすと、後ろに複数のプレイヤーが出現した。
「アレ!?キリトくん!?」
「リーファ!?何でここに!?」
「あたしはそこの人にサクヤたちを集めてほしいって言われて・・・って、まさか雪羅くん!?」
リーファはシオンを見て驚く。シオンはヒラヒラと手を振って答える。
「よっ、直葉ちゃん。おっと、こっちではリーファだったか?メンバーは揃ったか?」
「う、うん。この通り・・・」
リーファが後ろを見るとそこにはサクヤが率いるシルフ、アリシャのケットシー、ユージーンを初めとするサラマンダー、その他にもウンディーネ、ノーム、スプリガンといった全種族が集合していた。
「おーおー、まさかこの短期間で全種族を揃えてくるとは・・・苦労をかけましたねサクヤさん」
「気にするな、アリシャやユージーン将軍の力があってこそだ」
「二人にも迷惑をかけました、お疲れさまです」
シオンはユージーンとアリシャに頭を下げる、その態度にアリシャは。
「ノンノン♪謝る必要はないヨ♪」
「ああ。それで状況は?」
ユージーンはシオンに尋ねる。
「まあ、相手が一万。こっちが千といったとこかな」
「ほう、随分と大きく出たな」
「まぁ、それだけ追い込んだからね~♪」
「で、作戦ハ?」
「それに関しては後程詳しく、さて・・・」
シオンはオベイロンに確認をするため近づいた。
「飛行はOKだから安心しな、そして王はこれを付けろ」
「これは何だ?」
「簡単に言えば王の存在を確認するものだ」
「これで討ち取られたかを判断するのか?」
「そういうこと♪」
「・・・いいだろう」
オベイロンは胸に先ほどのブローチを付けるするとブローチの宝石部分が点滅しだした。
シオンも付けるの同じようになった。
「よし、異常はないな。開始は到着してから10分後。では、始めようか♪」
シオンは手を差し出す。
「神と妖精の戦争を!」
「ふん・・・」
オベイロンはシオンと手は会わせずに去っていく。そして去り際に言った一言はたった一つだった。
「殺してやる・・・!」
シオンは振り返り歩きながら答えた。
「殺れるもんなら殺ってみな・・・!!」
移動をしながらシオンは全員にすべてを話した。エリーシャのこと、オベイロンの企み、そしてこの決戦のことを。それに対してアリシャは呆れながら言った。
「君も随分と無茶したネ・・・」
「そうでもしないとエリーシャを取り戻せませんでしたから」
「まあでも、オベイロンが悪であることに変わりはない、討ち取るだけさ」
「サクヤさんの言う通り、俺たちは只、オベイロンの首を獲ればいい」
スタート地点に到着すると、シオンはマップを広げた。
「今俺たちがいるのはここ中心から南西に3km地点、恐らくオベイロン勢は10kmギリギリの所にスタート地点を置くだろう、それも山の頂上辺りに」
「何故そう思う?」
「飛行距離を稼ぐのと、見晴らしの良いところの選択、そして何より精神的な問題だろうな」
「というと?」
「かなり追い込んじゃったから♪」
「君は本当に無茶苦茶だな・・・一万対千など、正気の沙汰じゃない」
「いや、むしろこのほうがいい。それにこの数は俺が誘導したやつだからな」
「誘導?」
サクヤとアリシャは首を傾げる中、シオンは更に続ける。
「で、作戦なんだが、まずサラマンダーとシルフの前衛部隊が正面で撃ち合う。それでケットシーはドラゴンで援護、ウンディーネ、レプラコーン、プーカは後方で支援、ノームは防御に回れ。そして、スプリガンとインプは回り込んで奇襲をかけるといった感じだ」
「成る程な、確かにそれが賢明だろう・・・」
「うん、これが今考えられる策だよね・・・」
キリトもアスナもこの作戦に納得いっていた。
しかし───、
「だが・・・」
「?」
「これは相手も予想してるだろうな」
「なッ!!」
「こんなもんでいけば、相手は多少の犠牲を払ってでも攻めに数をおいて攻めてくる。そうなれば終わりだ。普通だったらな」
「なら、どうすれば・・・」
ユージーンの言葉にシオンは答える。
「言ったろ、普通だったらとっくに終わってるって。だったらやることは一つだ」
シオンはテーブルを勢いよく叩いた。
「教科書通りの戦いを捨てる」
「教科書通りの戦いを捨てる?」
「そう、セオリーを捨てた戦いをする。それで向こうを倒す」
「それで本当に」
「殺れる、このメンバーがいれば99%倒せる」
「100%ではなく?」
「向こうはまがりなりにもゲームマスターだ、油断は出来ない。それで作戦内容だが・・・」
シオンは本当の作戦内容を伝える、するとその作戦内容に皆驚愕する。
「おいおい、本気かシオン?」
「これが俺の考える最高のプランだ」
「それにしてもまあ・・・」
「無茶苦茶だネ・・・」
「だが、ある意味利にかなっている」
「そうだけど・・・」
皆が苦笑する中、開始一分前のベルが鳴った。
「さて、んじゃ始めますか♪相手の出鼻、挫きにいくぞ」
シオンは遥か彼方を見据える。皆が配置につくと、シオンは言った。
「いいか皆、この戦いは俺たちの、明日を、未来を決める戦いだ!かといって気負う必要はない、いつも通り戦え!市民が王を下す景色を、見に行こうじゃねーか!!」
「「「「オオオオオオッ!!!!!!」」」」
「さあ・・・」
そして、開始の鐘が鳴る───。
「狂った神の首を獲りに行こーか!!」
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
~中心から北東4.5km地点~
鐘が鳴った直後、軍の半数がスタート地点から飛び立っていく中、オベイロンはスタート地点で只腰を据えていた。
「フフフ、さあ後悔するがいい白の剣士。この軍勢にどう足掻く?」
オベイロンは不敵な笑みを浮かべ飛び立つ軍勢を眺めていた。
先頭が飛び立ってから約数分、先頭集団はスタート地点から3kmの地点に来ていた。まもなく中心に近づこうとしていた。ここまで相手の軍勢を視界に捉えていない。
「こちら、先頭集団。敵の姿がありません」
『そのまま進行しろ、敵を根絶やしにするんだ』
「了解」
通信を切り、再び飛行する。そして、中心を過ぎてから少し経った時だった。
向こう側から接近するものがあった。
「敵発見!戦闘を開始す・・・」
敵アバターが発見した直後、それは一瞬にして消失へと変わった。
飛んできたのは、プレイヤーでも、モンスターですらなかった。
「さ、作戦参謀に告ぐ!接近してきたのはプレイヤーではありません!!せ、接近してきたのは・・・」
彼らに飛んできたもの、それは───。
「ビ、ビーム砲です!!」
『な、何!?』
オベイロンは思わず立ち上がる。その表情は信じられないものを見ているようだった。
そして、そのビーム砲を飛ばした張本人は中心から約3.5km地点にいた。
「ん~、数にして5000、減らしたのは2400といったところか。・・・1/4近く削れたから良しとするか」
紅蓮を纏ったシオンは表示されたモニターでその数を確認した。
「そっちはどうだ?」
『こちらサラマンダー、いつでも行ける』
『こちらケットシー、いつでもいいヨ♪』
『こちらシルフ、いつでも構わない』
「了解。キリト、エリー、アスナ行けるか?」
『ああ、問題ない』
『大丈夫!』
『いつでもどうぞ!』
「よし、これより掃討作戦を開始する!後ろはこちらに任せろ!!」
シオンは大きく息を吸い、叫んだ。
「作戦開始!!」
こうして、神と妖精による全面戦争が始まった───。
後書き
はい!最終決戦が遂に始まりました!
これからの展開は完全オリジナル(になるはず)です!!
チョイスゲームに関してリボーンでググって見てくださいw
コメント待ってます!
ではでは~三( ゜∀゜)ノシ
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