僕は友達が少ない!〜ヨルノタカ〜(更新凍結中)
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第二話 始まりの放課後
前書き
やっと二話目です。ISの方は、なんだかおかしくなってきたので、一回消しました。いつか復活するかもしれません。それでは、ヨルノタカ二話目です。張り切ってどうぞ!
家族を憎んだり、恨んだりしたことは生まれてから一度もない。
小鷹がまだ、小さい頃に死んでしまったけれど優しくてあったかいお母さん。
自分と妹の小鳩をいつも比較して、小鳩ばかりを可愛がったお父さん。当時こそ嫌だったけれど、今では自分と妹を同じくらい愛してくれるようになった。
少し変わっているけれど、自分のことを誰よりも理解しそばにいてくれる、妹の小鳩。
みんな大好きだ。憎んだり、恨んだりするなんて、あるはずがない。
家族に対して負の感情を持ったことは一度もない小鷹だが、自分に対して。そして、このくそったれな運命に対してなら、ずっと抱いていた。何故、自分は小鳩のように可愛くないのだろう?何故自分にはこんな化け物じみた、怪力があるのだろう?どうして自分は生まれてきたのだろう?
そんなことをずっと考えていた、そんな時だ。あの日がやってくる。
*********
その日、ボクは体育着を忘れた。下校時刻ギリギリまで、学校の図書室で読書をした後、そろそろ小鳩が帰ってくる時間だと、確認し自分も帰ろうとした時だ。ふと、朝と何かが足りないことに気づいた。
「な〜んか、軽いと思ったら、そうだ。体育着がないんだ。」
別に明日でもいいか、とは思ったよ。でもね、今日の体育ではそれなりに汗かいたから、持って帰って洗濯しないと、後日えらいことになってしまう。
めんどくさいとは思いつつも、ボクは階段を登って教室に向かう。
廊下を歩いているとさっきまで楽しそうにおしゃべりして歩いていた二人組の女子がボクの顔を見るなりそそくさと逃げていった。
ーそう言えば、さっきも図書室で、あからさまになんでいるのみたいな目で見られたなあ…
慣れっこだが、平気というわけではない。別にいいじゃないか。図書室にいたって。本を読むのが好きなんだ。
転校してから、もう一ヶ月がたった。あの、扉を蹴り破って登場してから、聖クロニカ学園にきて、「ぼっちの不良」の称号を手に入れてから。わかっていることだ。あんな登場の仕方をしたら友達はおろか、自分に近づこうとする生徒は一人もいないことぐらい。
「は〜ぁ、なんでボクはこんなに非リア充なんだろ…」
今までにいく度となく自問自答してきた事だが、やはりそれにはボクの怪力が一番の理由だと思う。いや、隠そうとは思いましたよ。それにあの時は不可抗力と言うか…
「……っはは!からかうなよ。」
後ろ向きな思考に入っていると、教室の中から、誰かの話し声が聞こえてきた。
ドアを少しあけて、中を覗く。そこには、男子生徒が話していた。
“一人”で…
ーえ?なにあれ…まさか…幽霊とか見える人?
ボクは別にイタイ子じゃない。ボクっ娘ではあるが、自分が魔法使いだとか、思ってるわけでもない。
だが、目の前に一人で、まるでそこに誰かがいるかのように話している人がいたら、少しそんなイタい考えをしてしまっても、仕方ないんじゃないか?
しかも、その人の顔を見てみると、同じクラスなのは、当たり前なのだが、その人物に内心驚いた。長い黒髪の中性的な顔。他のみんなはブレザーなのに彼だけは学ランだったので良く覚えている。確か名前は……三日月夜空といったはずだ。クラスの女子からも男子からも英雄王と呼ばれて慕われていている、いわゆる“リア充”だ。ボクの憧れに当たる人だ。なのにその憧れの人が…まさか…
ー悩んでいても、仕方ないか…
ボクはドアを一気に開ける。平気だ。きっと彼だってボクのことなんか相手にしないはずだ。話しかけてくることなんて…
「ああ?なに見てんだよ?」
ありました。いやいや、なに見てんだよ?って、どこのヤンキーですか?
「あの…別にボクは貴方を見てたわけでは…」
「じゃあ、なんでドアの隙間から覗いてたんだ?」
気づいてたのね…えーっと…ダメだ。うまい言い訳がない。
「すいません。覗いてました。そして、一人でおしゃべりしてる貴方を見ておりました。」
一矢報いてやろうと、皮肉まじりに答えた。すると彼はそれに対してバツが悪そうな顔をしながら、今まで座ってた机から降りた。
「ああ、そーかいそーかい。なら、みてたってことだよなぁ?ぼっちのボクっ娘ヤンキーさんよ?」
「前半は間違ってないから何も言えないけど、ボクはヤンキーじゃない‼︎」
小鷹はたまらず突っ込んだ。今までいく度となく勘違いされてきたが、それを解こうとしなかったわけではない。今のように解ける時には解こうとしている。
「その髪でか?説得力ねえぞ。」
「うるさいよ。そんな時代錯誤のザ不良の格好してる人に言われたくないよ。」
ボクは冷静に突っ込んだ。それもなるべく平坦な口調で。
彼は怒りもせず、ふてくされもせず、ただ苦笑いしていた。どうやら自覚はあったようだ。
「それで?キミはなにしてるのさ?」
「ああん?なにって、友達と話してたんだよ。」
友達…だと…?あっれれ〜?おっかしいぞ〜?彼は今一人だ。電話してたならまだしも、ケータイなんて出してないし…
「ひょっとしてエア友達とか?」
……………………………。
あ、黙った黙っちゃった。図星だったんだ。
彼はフッと笑って胸を張った
「ああ、そうだよ!それが何か⁈」
「いっそ清々しいな、キミは‼︎」
ここまでハッキリ言ってもらえると、なんかこっちも悪い気しないな…
「でも、英雄王とまで呼ばれてるキミがなんで、エア友達なんて作ってるのさ。」
「その呼び方やめてくれ。誰がつけたか知らないけど、結構恥ずいんだ。」
それもそうか…確かに英雄王なんてマンガに出てくる、金ピカの弓兵じゃあるまいし…
彼は近くの机に寄っかかるとおもむろに話し始めた
「英雄王とか呼ばれてるけど俺が名乗ったわけじゃないし、それにエア友達と話してたのも、友達がいないからだし…」
「はぁ?嘘つけ。キミはいつも女の子に囲まれてチヤホヤされてるじゃないか。」
ボクは思わず反論する。だってボクが欲しくて仕方が無い友達をたくさん持ってるのに友達がいないなんて、贅沢じゃないか?
「あのなぁ、あんなの鬱陶しく付きまとってくるだけだよ。」
「じゃあ、キミにとっての友達ってなにさ。」
彼にそう聞くと、少し寂しそうな顔をされた。ボクなんか悪いこと聞いたかな?
「俺にとっての友達は……絶対に裏切らない相手かな…」
…………それは同感かな。友達は裏切らない。それは、当たり前のことだ。それだけは妥協したらいけないとボクだって思う。
「だったら、そんな友達を作ればいいんじゃない?」
そう言うと、彼はさっきとは違って拗ねたような顔をした。
「そんなの、できたら苦労しない…」
……ごもっともで。
「うーん、なら部活に入るとかは?」
「いや、小鷹はいいにしても俺にいたっては、もう入学して一年。今更友達欲しさに入部した所で、部員の反感かうだけだ。」
「それもそっか……って、いまキミ、ボクの事名前で呼んだ?」
確かに彼はいま小鷹と言った。
「ん?別にいいだろ?小鷹も俺のこと夜空って呼んでいいぜ?」
ーなんて、馴れ馴れしいんだこの男…
いつものボクなら不快に思って踵を返しているところだろう。だが、何故か今は彼と話すのが楽しかった。いや、彼と、と言うのは語弊があるかもしれない。正確には他人と、家族以外で話すのが久しぶりで楽しい。それが正しいだろう。
だがしかし、ボクだって年頃の女の子だ。クラスの。しかもみんなから大人気の異性を名前で呼ぶなんて、恥ずかしいというか、こそばゆい。なので…
「じゃあ、英雄王で。」
「俺、さっきやめろって言ったばっかだよな‼︎」
「いやぁ、始めて話す男の子を名前で呼ぶなんて恥ずかしいじゃないですか?」
「だからって、人の傷口抉って楽しいかよ…」
「ごめん。ボクドSなんだ(笑)」
やっぱり楽しいなぁ。誰かと話すのって。
「ったく、そんなだからボッチなんだろうが。」
む…今のは少し聞き捨てならないなぁ。
「ボクだって、できるもんなら友達欲しいさ。でも…」
その先は言えなかった。何故かはわからない。いや、わかっていたはずだ。きっと、先を話して言ってしまってたら彼もボクから離れていってしまうと思ったからだ。
「…………訳ありか?」
一行に話し続けないボクを不審に思ったのか、英雄王は怪訝にきいてきた。
「えっと…ごめん…」
「……ま、いいや。で?小鷹は脱ボッチしたいわけだな?」
英雄王が急に話題を変える。
「え?…ま、まぁ、そうだけど…」
「ふ〜ん、そっか…わかった。」
英雄王は机にかけていた鞄を取るとボクの隣を通る。そして振り返りキレイな笑顔でボクを指差す。
「決めたぜ、小鷹。俺はお前をリア充にする。また明日な。」
と、おかしな発言をして、早足で去って行く。
「へ?え、えええええええええええええ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」
三日月夜空と羽瀬川小鷹。孤独なタカと暗闇の夜空。二人が出会う時。十年前に止まっていた時間が動き出す……
後書き
どでしたか?更新は不定期になるので、おひまな時にみてください。ここで、アンケートです。人間関係をいじるに当たって、キャラの立ち位置を少し変えたいと思います。何かご意見ご要望のある方はぜひぜひお願いします!感想も待ってます!
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