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久遠の神話

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第百六話 決戦の前にその二

「そして勝つ」
「永遠の戦いを手に入れる為に」
「死ぬまで戦うのなら」
 それなら、というのだった。
「最高だ」
「貴方はそれが望みですね」
「そうだ、綺麗にすることとな」
「何故そうなのでしょうか」
「俺が闘いと清潔を好むことか」
「それはどうしてでしょうか」
「清潔を好むことはだ」
 このことから話す加藤だった。
「親からよく言われていたからな」
「常に清潔にしていろと」
「そう教えられてきてな、俺自身もな」
「綺麗なことがですね」
「清潔なことがな」
 そうした意味で『綺麗』なことが好きだというのだ。彼はそうした意味での綺麗が好きな人間であるのだ。
「好きだからな」
「それで、ですね」
「子供の頃から掃除が好きだった」
「そして今も」
「表の仕事にしている」
「そうだったのですか」
「そうだ、そしてだ」
 清潔を愛する理由を話してからだ、次はこのことについてだった。
「戦いはだ」
「どうしてお好きなのでしょうか」
「子供の頃に空手道場に通っていた」
「空手、ですか」
「そこでの組み打ちが妙に楽しかった」
「そのことからですか」
「自然と戦いが好きになった」
 空手道場で空手を学んだ結果だというのだ。
「今でもその空手道場には通っているがな」
「では空手は」
「好きだ」
 実際に、というのだ。
「今もな。そして戦い自体もな」
「お好きで」
「今も戦っている」
「あらゆる戦いをですね」
「空手だけではなくなった」
 まさにだ、戦い自体をというのだ。
「武器を持っていても持っていなくてもな」
「戦いをですね」
「俺の生きがいになっている、俺は戦えればいい」
 そう考えているというのだ。
「掃除と戦いさえあればな」
「だから剣士の戦いもですね」
「残れば願う」
「永遠の戦いを」
「怪物でも剣士でも戦う相手は誰でもいい」
 鋭くそして熱く燃えている獣の目での言葉だった。
「そう願っている」
「では」
「最後の戦いも楽しませてもらう」
 こう言うのだった、ここで。
「存分にな」
「左様ですか、わかりました」
「まだ何か聞きたいことはあるか」
「いえ」
 声はその言葉で首を横に振って答えた。
「これで終わりです」
「そうか、ではな」
「貴方という方がよくわかりました」
「俺がか」
「決して邪悪な方ではありませんね」
 このことがよくわかったというのだ。 
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