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万華鏡

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第七十七話 迫るバレンタインその八

「手作りでいくわよ」
「うわ、手作りですか」
「本格的ですね」
 一年生達は部長が手作りすると聞いて少し驚いた。これは部長のキャラクターのことを踏まえてである。
「部長さんがそうされるって」
「ちょっと意外です」
「お料理されるってイメージないですから」
「あまり」
「あっ、この娘料理上手だから」
 ここでだ、こう言ったのは副部長だった。
「実はね」
「えっ、部長さんお料理出来たんですか」
「しかも得意って」
「それもはかなり」
「意外ですけれど」
「私も最初は驚いたわ」
 副部長は驚愕の顔になる一年生達に自分のことも話した。
「こうした娘だからね」
「ですよね、部長さんってあまり」
「お料理しない風に思えますから」
「それが料理上手って」
「得意料理は鍋料理よ」
 それだというのだ。
「鮟鱇鍋が好きなの、この娘」
「鮟鱇はいいわよ」
 部長は笑顔で鮟鱇のよさを言った。
「骨まで食べられるしね」
「鮟鱇って確かに美味しいですね」
「あのお魚は」
「お鍋にすると確かに美味しいですね」
「唐揚げにしてもいけます」
「不細工なお魚は美味しいのよ」
 こうも言うのだった。
「オコゼや河豚もそうでしょ」
「はい、確かに」
「どっちもかなり美味しいです」
「オニオコゼも相当美味しいですよね」
「毒もありますけれど」
「オコゼの毒には注意してね」
 その鰭に猛毒があるのだ、間違って刺されると暫く激痛に苦しむことになる。かなり危険な魚だがそれでもなのだ。
「目茶苦茶美味しいけれどね」
「ですよね、オコゼは」
「不細工で毒もありますけれど」
「確かに美味しいですね」
「どんなお料理にしても」
「何かそんなことお話してたら鮟鱇食べたくなったわ」
 好物のそれをというのだ。
「冬だし丁度いいわね」
「ううん、何かお話が」
「結構色々変わりますね」
「そうね、けれどバレンタインも頑張るのよ」
 このことは確かに言う部長だった。
「皆の武運長久を祈るわ」
「総員健闘を期待するわ」
 書記もこう部員達に告げる、こうした話を部活でしてだった。
 琴乃達はその部活の帰りにだった、実際に業務用の店に行った。すると実際にチョコレートがかなりの安さで売っていた。 
 琴乃はその値段を見てだ、四人に目を丸くさせてこう行った。
「この値段だとね」
「かなり買えるよな、チョコも」
 美優がその琴乃に答えた。
「普通のお店で買うより安いよ」
「そうよね」
「これだとな」
 どうかとだ、美優も言うのだった。 
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