万華鏡
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第七十七話 迫るバレンタインその七
「それしようかしら」
「何か大掛かりですね」
「相当なものになりそうですね」
「大掛かりだと思うとね」
それならとだ、部長は次第に笑顔になってこんなことも言った。
「やりがいがあるわ」
「部長さんそういうの好きですからね」
「派手なことが」
「だからですね」
「卒業ライブも」
「ええ、やるわ」
是非にと言うのだった、前向きに。
「思いきり派手にやって先輩達を送るわよ」
「三年生の人達には本当にお世話になったわよね」
「いい意味でね」
宇野先輩と高見先輩もこう話す。
「ずっとね」
「そうしてもらってから」
「それならね」
「お礼に」
「私も何も知らなかったけれど」
部長は過去を思い出す顔で言った。
「その私に全部教えてくれたから」
「そのお礼にね」
「派手にしましょう」
「全学科の軽音楽部が集まってのライブよ」
部長は意を決した顔で言った。
「さあ、やるわよ」
「ええ、じゃあね」
「今からね」
こう話してだ、そしてだった。
軽音楽部の次のイベントも決まった、しかしそれはまだ先だ。それで部長は部員達にこうも言ったのだった。
「あとバレンタインだけれど」
「はい、それですね」
「そのイベントですね」
「そっちも気合入れていくのよ」
笑顔でだ、部長は部員達にハッパをかけた。
「いいわね」
「はい、それじゃあ」
「そちらも」
「ライブもやるけれどね」
その前にというのだ。
「バレンタインは各自頑張るのよ」
「相手の男の子にですね」
「チョコレートをプレゼントですね」
「そうよ、ただね」
それでもだとだ、ここでこうも言った部長だった。
「チョコレートは女の子に渡してもいいからね」
「あっ、女の子にもですか」
「プレゼントしてもいいんですか」
「そうよ、同性愛の間でもあるのよ」
チョコレートのプレゼントは、というのだ。
「ちゃんとね」
「じゃあ好きな女の子にですか」
「女の子がチョコレートをプレゼントするんですか」
「そうしたこともですか」
「あるんですね」
「そうよ、だからね」
それでだというのだ。
「好きな女の子がいたらね、あんた達に」
「チョコレートをプレゼントですか」
「そうしてもいいんですね」
「そうよ、誰にプレゼントするにも頑張ってね」
「ううん、私男の子にあげるつもりですけれど」
「私も」
一年の部員達は部長に首を傾げさせてこう返した。
「女の子にはちょっと」
「考えてなかったです」
「私もよ、それはね」
部長自身もだとだ、笑って両手を自分の腰の横にやって言い切る。
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