VenusBlood-d×d-
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特訓と準備と策略
・・・兵藤一誠・・・
若手悪魔の会合から翌日。俺達は部長の実家の広い庭の一角に集まった。
先生に呼ばれて今後のソーナ会長とリーネさんとの三つ巴のレーティングゲームに備えた訓練をするらしい。
「先に言っておく。今から俺が言うものは将来的な物を見据えてのミーティングメニューだ。直ぐに効果が出る者もいるが、長期的に見なければならないものもいる。ただ、お前らは成長中の若手だ。方向性を見誤らなければいい成長をするだろう。さて、まずはリアス。おまえだ」
そう言って先生は部長に何かが書かれた紙らしき物を渡した。
「お前は最初から才能、身体能力、魔力全てが高スペックの悪魔だ。このまま普通に暮らしていてもそれらは高まり、大人になる頃には最上級悪魔の候補と成っているだろう。だが、将来よりも今強くなりたい、それがお前の望みだな?」
「ええ。もう二度と負けたくないもの」
「なら、この紙に記してあるトレーニングどおり、決戦日直前までこなせ」
言って渡された紙を見て、部長は首を傾げる。
「・・・・・これって、特別凄いトレーニング方法とは思えないのだけれど?」
「そりゃあそうだ。基本的なトレーニング方法だからな。おまえはそれでいいんだ。すべてが総合的にまとまっている。だからこそ、基本的な練習だけで力が高められる。問題は王としての資質だ。王は時によって、力よりも頭も求められる。魔力が得意じゃなくても、頭の良さ機転の良さで上まで上り詰めた悪魔だっているのは知っているだろう?ましてやお前のすぐそばにその両方を兼ね揃えていた見本となる女が居たんだから、とりあえず期限までお前はレーティングゲームを知れ。ゲームの記録映像、記録データ、それらすべて頭にたたき込め。王に必要なのは、どんな状況でも打破できる思考と機転、そして判断力だ。眷属の下僕悪魔が最大限に力を発揮できるようにするのがお前の仕事なんだよ。ただ、これも覚えておけ、実際のゲームでは何が起こるのか解らない。戦場と同じだ」
「そうね、わかったわ」
部長が表情を引き締めてそう答える。
「次に朱乃」
「・・・はい」
何か朱乃さんが不機嫌だ、先生何かしたのかな?
「お前は自分の中に流れる血を受け入れろ」
「っ!?」
朱乃さんの中に流れる堕天使としての血の事か。
「フェニックス家との一戦、記録映像で見せてもらったぜ。なんだありゃ。本来のお前の
スペックなら、敵の女王を苦もなく打倒できたハズだ。なぜ、堕天使の力をふるわなかった?雷だけでは限界がある。光を雷に乗せ、雷光にしなければおまえの本当の力は発揮できない」
「私は、あのような力に頼らなくても」
「否定するな。自分の力を認めないでどうする?最後に頼れるのは己の力だぞ?否定がお前を弱くしている。辛くとも苦しくとも自分を受け入れろ。お前の弱さは今のお前自身だ。決勝日までにそれを乗り越えてみせろ。じゃなければ、お前は今後の戦闘で邪魔となる。雷の巫女から雷光の巫女になってみせろでなきゃエネルゲイヤには絶対に勝てない」
「・・・・」
朱乃さんは複雑そうな顔をして黙り込む。
「次は木場だ」
「はい」
「まずは禁手を解放している状態で一日保たせてみせろ。それに慣れたら、実験形式の中で保たせる。それを続けていき状態維持を一日でも長く保たせるのがお前への課題だ。後はリアスのように基本的なトレーニングをしていけば強くなるだろう。剣系神器の扱い方は後で教えてやる。そんで剣術の方だが師匠に徹底的に鍛えてもらえ神器無しで戦う事も想像できるからな」
「はい、一から指導してもらいます」
へぇ〜、木場の奴、師匠がいたのか。やっぱ強いのか?
「次、ゼノヴィア。お前にはデュランダルの他にもう一本の聖剣に慣れてもらう」
「もう一本の聖剣?」
「ああ、ちょっとした特別な剣だ。あと少し考えて戦う事を覚えろ、エネルゲイヤは魔装という武器を生産している、デュランダルクラスの魔剣や聖剣も恐らく持っているだろうからな、力押しだけじゃ勝てない」
ゼノヴィアは二刀流の聖剣使いになんのか?
「次にギャスパー」
「は、はいぃぃぃぃぃぃいっ!」
いきなり超ビビってるな。大丈夫なのか?
「そうビビルな。お前が克服しなきゃなららいのはその恐怖心だ。お前には専用の引きこもり脱出計画を組んでおいた。人前に出て、緊張しない程度にはなってもらう。完全に克服したらお前は化けるからな」
「分かりました、頑張ってみます」
何時にもなくギャスパーもやる気だな。
「同じく僧侶のアーシア」
「は、はい!」
「お前も基本的なトレーニングで、身体と魔力の向上。そしてメインは神器の強化だ。まあ、強化って言っても回復範囲を広げるだけだけどな」
それって結構ためになる修行じゃねぇか。アーシアの回復能力はずば抜けてるからな。回復範囲が広がるのはありがたい。
「だが、俺の考えではそれは止めといた方がいい」
アザゼルがそう言う。え?何で?
皆の疑問を読み取ったのか、アザゼルは答えた。
「アーシアの神器、聖母の微笑は自身が回復したい者を回復する。だがそれは逆に仇となることもある。何故なら、アーシアにはやさしさというものが他の者よりあるからな。それ故、回復範囲を広げたところで、アーシアは敵も回復したいと思うだろう」
確かにアーシアだからな考えられなくもない。
「だからもう一つの可能性を見出したのさ。それは――回復のオーラを飛ばすことだ」
「そ、それはちょっと離れたところにいる人へ、私の回復の力を送るということですか?」
「ああ、直接飛ばす感じだな。イッセーが戦闘中に怪我をした時、お前が回復のオーラを飛ばすのさ。回復の飛び道具ってところか?」
おおそれはすごい、アーシアが大活躍するのか。
「お前はチームの要にもなりうるからな。後は、アーシアの体力勝負。基礎訓練、ちゃんとしておけよ?」
「はい!頑張ります!」
アーシア、張り切ってるな。頑張れよ、アーシア。
「次は小猫」
「はい」
何か気合いが入ってるな、ここ最近元気がなかったから心配だったんだが。
「お前は申し分ないほど、オフェンスとディフェンスを兼ね備えている。身体能力も悪くない。だが、リアスの眷属にはお前よりもオフェンスの奴が多い」
「・・・・分かっています」
小猫ちゃん、もしかしてそれを気にしてたのか?
「リアスの眷属でトップのオフェンスは現在イッセー、木場にゼノヴィアだ。禁手の赤龍帝の篭手と聖魔剣、聖剣デュランダル、凶悪な兵器を有してやがるからな小猫お前も他の連中同様基礎の向上をしておけ。それと朱乃同様、自分を曝けだし自身を受け入れろ」
小猫ちゃんはアザゼルにそう言われ暗い表情をしてしまった。小猫ちゃんも朱乃さん同様に過去に何かあったのか?何か言ってやりたいが今は何を言っても逆効果だろうな。今はそっとしておこう。
「さて、最後はイッセーだ、お前はちょっと待ってろ。そろそろ何だが」
そう言って先生が空を見上げる、一体何が?そう思って見上げると何かがこっちに猛スピードで向かって来て。
ドオオオオオオオオオン!!
地響きと土煙が起こり、それが収まると目前に現れたのはドラゴンだった。
「ドラゴン!!」
「そうだイッセー、こいつはドラゴンだ」
でもどうして此処にドラゴンが?
「アザゼル、よくもまあ悪魔の領土に堂々と入れたものだな」
「はっ、ちゃんと魔王様直々に許可を貰って堂々と入国したぜ?文句でもあるのか、タンニ―ン」
タンニ―ン、それがこのドラゴンの名前か。
「ふん、まあいい。サーゼクスの頼みだと言うから特別に来てやったんだ、その辺を忘れるなよ、堕天使の総督殿」
「へいへい。てなわけでイッセー、コイツがお前の先制だ」
「・・・・えええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
俺の先生がドラゴン!?何じゃそりゃ何で俺だけ殺す気か!!
「ちょっと待ちなさい!!もしもイッセーが死んじゃったらどうするの」
部長が先生に抗議してくれた。
「リアス、あの山で修行をさせてもらうぞ」
「お願いだからイッセーを殺さないでよ?」
先生は部長の言葉を無視して進め、部長も諦めてしまった。
そしてバサッと羽を羽ばたかせると俺を掴んで飛行し始める。
「部長ォォォォォォォォォォッ!」
俺の悲鳴が冥界の空に響いた。
・・・ソーナ・シトリ・・・
「では匙、貴方は赤龍帝の相手をしてください」
「はい」
リアスとリーネさまとの三つ巴のレーティングゲーム、私達は準備を始めた。
基礎力向上のトレーニング、眷属達の神器の強化、ゲームに備えての戦略を考えるやる事は沢山ある、私の夢の為にこの戦い負ける訳にはいかない。
でも幸い対戦者の1人のリアスの手の内は全て分かっている、今までの活躍のおかげで簡単に分かった、前もって対策を立てて戦えば十分に勝機はある。しかしリーネ・エネルゲイヤ率いるエネルゲイヤの手の内は何も分かって無い、情報収集の為に彼女がまだ悪魔勢力に属していた時の出場した公式のレーティングゲームの記録も存在せず彼女達に私達は何の対策も立てられていない。
「会長」
「・・・・・」
「会長!!」
「っ!?」
驚いて声の方を向くと椿や匙などの眷属の皆が私を心配そうな顔で見つめている。
ダメね王が不安そうにすれば皆はもっと不安になってしまう、こんな事では王失格ね。
「大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫よ椿、皆も心配させたわね」
私は皆の王なのだから、しっかりしないと。
「大丈夫ですよ、会長の立ててくれた作戦通りやればグレモリーもエネルゲイヤにも勝てますよ」
「そうね、でもそれは貴方達が居てくれるからこそよ」
そうよ私には彼等が居る、彼等がいれば乗り越えられない壁なんてない。
・・・リーネ・エネルゲイヤ・・・
リアスとソーナちゃんとの三つ巴のレーティングゲーム、政務室でペンを走らせ書類を片付けながら出場する子達を考えている。今の候補はフリードとヴェズとキルトとテオのレーティングゲームを経験した事の無い若手の子達にしようと思っている、ヘルやヨルムが是非とも出たいと言っていたけど今回は我慢してもらった、あとはノーラ率いる死人近衛兵から出してその際にノーラの補佐をやるメニアとフェーナの姉妹にも出てもらいましょう、机に置かれているベルを鳴らす。
「お呼びでしょうか」
「レーティングゲームに出るメンバーを決めたわ、ノーラ貴方には近衛兵を率いてもらうわよ」
「分かりました、人数はいかがいたしましょう?」
「6人で、私と貴女を含めた14人で出るわ」
二手に分けて7人ずつ、リアスにはノーラがソーナちゃんには私が当たる、しかしこの試合貴族の大半はリアスが勝つと思っている、まあリアスには赤龍帝に聖魔剣、デュランダル使いが居るから仕方ないのだけれども、それでも私達が今のリアス達程度に本気で負けると思っているのかしら?時代錯誤も良い所ねドラゴンが力の象徴であったのも、悪魔が至高の種族だったのも、聖剣が活躍したのも昔の話だと言うのに。
ならその考えを真っ向から否定してあげる、ノーラ率いる死人は元々は人間、人間に敗れる悪魔、ドラゴン、聖剣を見て彼等は否応無しに理解する事になる人の力とエネルゲイヤの力を。
後は手紙を書いときましょう、彼女ならきっと受け取ってくれる。自分の無力を知ればおのずと私達に就いてくれるはず。
とりあえず私達相手にどこまで足掻けるか試させてもらうわよ2人とも。
後書き
今回はレーティングゲーム前の準備期間の話でした、そして暗躍するエネルゲイヤ。
此処から物語がオリジナルにしていく心算です。
今回も思いついたアイデアを乗せようと思います、今回もネタは任天堂です。
神々の住まう土地と呼ばれたハイラル王国。
かつてこの国は神の力を欲する悪しき者によって支配され暗雲に閉ざされた、だが突如現れた新緑の衣をまとった若者によって悪しき者は討たれ、王国に光を取り戻した。若者は時の勇者と呼ばれ、若者の事は、言の葉で紡がれていった。
だが悪しき者はよみがえり、再び王国は暗雲に包まれた、人々は再び時の勇者が現れる事を祈りました、しかし時の勇者が現れる事はありませんでした、人々は神に縋りました、そしてハイラルは一夜にして消え去り全ての記録からその姿を消しました。
「生まれ変わっても、力のトライフォースは我が手にか、再びワシに世界を盗れとでも言うのか」
天使・悪魔・堕天使が存在する世界に、かつて大魔王と呼ばれ恐れられた男が産まれた。
男の名は荒木 宗助、かつてガノンドロフと呼ばれた男。
「ワシは盗賊だ、欲しい物は奪い取る」
「臣下をまとめるのも、王の務めか」
「何故、爪はじき者ばかりばかりが集まる?」
「行くぞ黒歌、此処はワシ達の国だ」
はぐれ者達を従え、三大勢力と渡り合う砂漠の覇者
草一本生えない不毛の砂漠に存在する木々が生い茂るオアシス、トライフォースは持つ者の心を写す、心清き者が持てば豊かな世界に、心悪しき者が持てば大地は腐り暗雲が立ち込める、男は悪しき者だが清き心も持っている、はぐれ者にとって男は救世主だったから。
大魔王と呼ばれ、神の力を宿す男はこの世界に何を成すのか?
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