明日の日記
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
welcome to my world
前書き
はっじまるよー
「 何で止まらないんですか! 」
「 はぁ? なんすか? 」
「 横断歩道の手前は一時停止なのを知らないんですか? 」
「 いや、止まったし・・・ 」
「 じゃあなんで僕が待たなきゃいけなかったんですかね?
あなたが一時停止せずに突っ込んできたからですよね? 」
「 あーはいはい、ごめんねー くそがっ・・・ 」
・・・状況を説明しよう
大学に歩いて向かう僕
横断歩道の手前で、右・左・右を確認
交差点でこちらに左折しようとする車が一台
基本的に歩行者優先なので、かまわず道路を横断しようとする
車が突っ込んでくる
危うく轢かれそうになる
ちょっと待てやー ってなって、今に至る・・・
世の中間違ってることが多すぎて、修正するのがめんどくさい
それならいっそあきらめて、目を背けるのが懸命だ
と、これまで考えてきたが
どうやらこれからもそうなりそうだ・・・
さっき決意したことだが、もう既にどうでもよくなってきている
決意なんて、今まで長続きしたことないんです はい。
もっと即物的な話をしよう・・・
お腹が減ったら、値段を気にせずに好きなものを食べるとか
眠くなったら寝るとか
面倒くさい人には言おう、面倒くさいと。
・・・言えるかなぁ
なんだかんだで、気づけば研究室の前
誰も来ていない、事はわかっていた
靴も無いし部屋にはカギがかかっていた
カギを開け、中に入る
いつかの女神様が、ものめずらしそうに資料を眺めながら僕のイスに座っていた
「 ・・・・・ 」
・・・!
こっちに気づいた女神様は、イスから立ち上がり微笑みかけてくるではないか
ついに、お迎えがきたか・・・まだやり残したことが・・・
でも女神が来るのか、死神じゃなくてよかったよ
嗚呼、すばらしきかな人生・・・
「 あのー 」
女神様はにこやかな表情を崩さずこう言い放った
「 彼らが死んだことを、無かったことにしませんか? 」
-----------
「 はぁ・・・ 」
いきなり何言ってんだこの人は
いやいやいかんな、このお方は女神様だったな。訂正せねば
いきなり何をおっしゃってるのかしら、この結論先行型女神様は
うん、これでよし。
「 はぁ、じゃないですよー 」
「 はぁ、すいません 」
「 ちょ、ちょっと待ってください
なんだか今、デジャヴを感じているのですが・・・ 」
「 そーですねー ぼくもそうおもいますー 」
「 なっ 何でそんなに棒読みなんですか! 」
「 そういえば、タクシーには乗れました? 」
「 ?・・ええ、なんとか 」
「 そうですかー よかったですねー 」
「 だから何で棒読みなんですか? 気持ち悪いですよ 」
「 実は今、機嫌が悪いんですよ 」
「 そうなんですか? 昨日あんなに楽しそうにしてたのに 」
ははん、この女神様は僕の「昨日」をしっかり見ていなかったらしい
というか、監視してたのかよ。 そんなに見られたら興奮するじゃないか
夕方から散々な一日だったんだぞ
いやいや、それは置いておこう
だって今は機嫌が悪いのだ。 理由はちゃんとある
神様なら、人間の命なんてその程度の認識なのだろうか
人道的に許せない、許してはいけないことだと直感的に感じた
「 何で機嫌が悪いか分かりますか? 」
「 好きな娘に振られたのですか? 」
「 違います 彼女たちは提督LOVEなのでそれはありません 」
「 ? じゃあ、寝不足で頭が痛いとかですか? 」
「 近いですがそれも違います 」
「 なんなんですか? 」
「 友達がいなくなったのを無かったことにするなんて言う女神様がいるもんですから
なんだか命を軽く考えてるのかなーって 思いまして 」
「 人間の命なんて、そんなものでしょう? 」
・・・そう言われると、そんな気がしてきた
この人たちはあれか、永遠の命ってやつなのかなぁ
だったら長くて100年の命なんてそんなもんなのかな
「 薄情な神様ですね 」
思ってもないが、とりあえずあいづち程度に答える
「 あなただってそうでしょう? 」
「 いえいえ、僕は出来の悪い人間ですから あなたとは違いますよ 」
と言いつつ、女神と自分の価値観が似ている事は否定しない
僕も神様だったりするのかも
考え方が、神です。 ・・・的な?ww
「 あなたの種族は「神」になってたと思うのですが・・・ 」
「 そうなんですかー シリマセンデシター 」
「 さっきよりひどくなってますね・・・
それより、ほら! あなたのプレートです。見てください 」
女神様は胸元からスマホくらいの大きさの板を取り出した
材質は鉄? とにかく金属光沢が確認できた
それをこっちに見せてくる
「 ほらここ、「神」って書いてあるでしょ? 」
確かに、そこには僕の名前が書かれていた
その他にもいろいろ細かい字が書いてあったが、女神はスッと胸元に収めた
神様も日本語使ってるのか 知らなかった
「 読めました? 」
「 名前くらいは・・・日本語でしたし 」
「 あれは神聖語ですが・・・ 読めたというのが何よりの証拠ですね
あなたが神であるというね 」
あら? あらあら? いつのまにか神様になってたのかー すげー
・・・だれか冗談だと言ってくださーい
とは言ってみたが、神って・・なんか・・・いいね
----------
いやー なんかそんな気がしてたんだよなー
過去に戻ったり未来に行ったり、なんでもできるからなー
自分は特別だと思っていたけど、実は神様でしたなんて・・・
さすが、僕。
学食までの道を歩きながらそんなことを考えている
12時まで少し時間があるが、例によって早めの昼食をとる予定だ
建設が再開されている講堂は外壁が出来上がり、後は内装を仕立てるだけらしい
重機の騒音は聞こえなくなり、内装工事の音がわずかに耳に届いている。
そろそろ完成するのだろうか
さっきまで一緒にいた女神様は
「 お腹が減ったから帰りますね~ 」
と言って帰っていった
前回の事もあり、歩いて帰るのだろうと思っていたが
彼女が研究室のドアを開けると、そこにあるはずの廊下ではなく
何も無い真っ暗な空間が見えた時はさすがに焦った
・・・いや、テンション上がった
やっと神様らしいとこを見ることが出来た僕は、内心ほっとした
少し早めとはいえ、お昼が近いので学食に向かって歩く学生が何人も目に入る
そのほとんどが、友達を連れている
今までの僕なら、そんなものいらないとつっぱねている所だが
ついさっき女神が言ってた事が本当なら、僕にそんな事言う資格はない
「 あなたがあの2人をどう思っていたのかは察しかねますが
偶然か故意か、あの2人のうちどちらかがあなたを庇ったみたいです
・・・馬鹿な人間ですね
そんのことしなくても、私があなたを死なせるわけがないのに 」
「 そうですか・・・ 」
「 まさか、申し訳ないと思っていますか? 」
「 いえ、そんなことは・・・ 」
「 まあ、100歩譲ってその人間のおかげで生き延びているとして
あなたは気にしないでしょう? 」
「 その質問に『 はい 』と答えたら僕は人でなしですかね・・・ 」
「 ? そもそも人じゃないんですけどね 」
「 そうですね 」
「 そんなこと気にしするんですか? 人間なんて無価値な存在に
情けや同情は不要ですし、無意味ですよ
あなたはこっち側の存在
今までの人間としての生活はもう出来ないでしょうね
かといって、生活が劇的に変わるのではありません
変わるのはあなた自身、その価値観です 」
なんだそれ、なんだよそれ
「 あなたが必要なんです お願いします 」
・・・僕が、必要?
「 人間なんて捨ててしまいましょう 」
何故だろう
女神の言葉なのに、悪魔のささやきに聞こえるのは
何故だろう
その言葉を肯定したいと思うのは
何故だろう
もう自分が人間だったと思うのも嫌悪してしまうのは
僕は答えた
「 ・・・はい 」
僕の今までの世界が崩れ、新しい世界が広がっていく予感がした
女神は僕の手を両手で握り締め、目を輝かせていた
「 ようこそ、私の世界へ! 」
後書き
?
ページ上へ戻る