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ソードアート・オンライン~狩人と黒の剣士~

作者:村雲恭夜
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帰り道

 
前書き
SAO編スタートです!! 

 
ドスジャギィとの単独戦闘を終え、帰り道を辿りながら十分程歩いた俺は、キリトの待つ出口にたどり着いた。
「よ、お疲れ」
「キリト……」
陽気そうに言うキリトにほっとし、俺達は小道を歩き始めた。
「ライト、そっちはどうだった?」
「別に何も変わり無いよ。特に強力な奴は出なかったし」
「そっか」
キリトがそう答えたと同時に聞き覚えの無い獣の声が微かに聞こえた。キリトを静止させ、慎重に音源を探すと、モンスターの姿が視界に浮き上がる。
「キリト……あれは……」
「<ラグーラビット>か……」
<ラグーラビット>、超が付くレアモンスターであり、コイツを倒すとS級のレア食材が手に入る。ただ……すばしっこい。
「キリト……投剣ある?」
「ああ。だが、スキル練度は低いぞ?」
「なら良い。俺が殺る」
そう言うと、俺は、ウインドウを操作し、手早く操作すると、背に新たな武器が現れる。俺は、弓を展開し矢をつがえると<ホーミングアロー>のモーションを起こす。
そして矢は一瞬で弓から放たれ、寸分狂わずラグーラビットを貫いた。それを確認した俺は、すぐにアイテムウインドウを開くと、一番上の方に<ラグーラビットの肉>と言う文字が目に入った。
「どうだ、ライト?」
キリトが期待を込めた目で俺を見る。それをOKサインで返した。
「だがどうする。食べるのか?それとも売るか?」
「そうだなぁ……ライトはどうしたい?」
「スキルを取ってれば食いたいと思ったが、売りだろうな。知り合いに頼むのも何だし」
「そんじゃ、エギルん所行こうぜ」
とキリトが転移結晶を手に取ったのでそれにならう。
「「転移、アルゲード」」


















~アルゲード~
「いつ来ても騒がしいな……」
と耳を塞ぎながら俺は言う。
「そっか?俺は好きだが」
キリトがそう言うとエギルの店に着いた。早速中に入ると、先程まで商談をしていたらしい。
「うっす。相変わらず阿漕な商売してるな」
「よう、壁。元気そうで何よりだ」
「よお、キリトとライトか。安く仕入れて安く提供するのがウチのモットーでね」
相変わらず悪びれもせず言えたものだ。
「んな事は良いから買取頼む」
「キリトとライトはお得意様だからな、悪どい真似はしませんよっ、と……」
言いながら、エギルは俺の出したトレードウインドウを覗きこんだ。
「おいおい、S級のレアアイテムじゃねえか。<ラグーラビットの肉>か、俺も現物を見るのは初めてだぜ…。キリト、ライト、おめぇら別に金に困ってねぇだろ?自分で食おうと思わんのか?」
「あいにくスキルを取ってない」
「同じくだ。ただ、こんなアイテムを扱える程料理スキル上げてる奴なんてそうそう…」
その時、誰かが肩を叩いてきた。
「キリト君、ライト君」
「ライト」
すると、キリトが左肩に触れたままの手を握り、振り向き様「シェフ捕獲」と言った。
俺は呆れながら手を上げ、
「よう、<閃光>、<戦姫>。久しぶり」
と、挨拶すると何故か後ろの護衛に睨まれたが気にしない。
「ライトも元気そうで何より。<滅殺者>の噂を聞かないから死んだのかと」
「……それはご挨拶だな我が友ミザールよ」
アスナの隣にいる女性に文句を言う。まぁ、心配してくれたのは有り難いが。
「所でシェフがどうこうとは何か説明を求める」
「あ、それ私も聞きたい」
「その前に聞くがお前ら今料理スキルどの辺?」
「聞いて驚きなさい、先週に<完全習得>したわ」
「私も」
「「なぬっ!?」」
俺達は同時に驚く。多分キリトは同じ事を思ってるだろうな。
「その腕見込んで頼みがある」
そう言うと二人に見えるように可視モードにし、示した。
「「うわっ!!こ…これS級食材!?」
はい、ナイスリアクション頂きました。
「取引だ。料理したら一口食わす」
「は・ん・ぶ・ん!!」
「いや、キリトとミザールも居るからな?」
「なら四分の一ね。……良い?」
「OK、それで良い」
俺は引っ張られた服(と言ってもジャギィ装備だが)を整え、エギルに向き直り、
「悪い、取引中止だ」
と、言う。
「いや、それは良いけどよ……。なぁ、俺達ダチだよな?な?俺にも味見位……」
「感想文を八百字以内で書いてきてやるよ」
「食わすつもりは無い」
と、俺達が言うと机に伏した。
「でも、何処でやるの?」
とアスナ。
「んー?ミザールん家は?」
「駄目、散らかってる」
見事なまでに即答された。勿論、キリトの家と俺の家も論外なので消去法でアスナの家と言う事になるが……
「……別に良いわよ。食材に免じて、だからね」
快く応じてくれた。流石KoB副団長、太っ腹過ぎるぜ、なんて思っていると、
「ア…アスナ様、ミザール様!こんなスラムに足をお運びになるだけに留まらず、素性の知れない奴をご自宅に伴うなど……」
やはりつっかかってきたか護衛A。
「一応だけど、私はライトの素性知ってるから。とにかく、今日はここから直接転移するから帰って」
徐々にミザールが切れ掛かってるのが良く分かる。それでも引こうとしない護衛Aもといクラディール。無理矢理二人の手を取ろうとすると、瞬間的に俺は剣を抜いていた。
「いい加減にしろよ髪長オッサン。そろそろぶった切るぞ」
俺の迫力に圧されたのか、二人の手を放すと同時に俺達はエギルの店を後にした。……出るときに殺気を感じたのは気のせいではあるまい。 
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