普通だった少年の憑依&転移転生物語
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ゼロ魔編
002 〝原作〟に備えて
SIDE 升田 真人
「ん……ここは?」
顔に照らされた陽光で眠りから目を醒ます。
「……どこだ、ここ──がっ! 頭…がっ!」
俺が自分の居る場所を自問する前に、頭を絶え間無く何かでかち割られるような頭痛に堪らず、頭を抱える様に押さえる。
(痛い! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い! イタイ! イタイ! イタイ! イタイ! イタイ! イタイ! イタイ! イタイ! イタイ! いたい! いたい! いたい! いたい! いたい! いたい! いたい! いたい!)
頭を抱えるも、頭痛は止んでくれない。俺の思考を頭痛特有の痛みが支配する。
〝しゃいと?〟
―違うわ才人、貴方の名前はさいとよ。さ・い・と―
〝さ・い・と?〟
―そうよ、やれば出来るじゃない! 流石ママとパパの息子ね―
〝えへへ~〟
(何だ……この記憶? ……頭痛が)
頭痛と共にフラッシュバックする〝知っているのに知らない〟と云う矛盾した記憶に戸惑っていると、いつの間にか頭痛はすっかりと止んでいた。
「思い…出した。俺は才人。平賀 才人」
どうやら無事に転生後の記憶の共有は終わったようで、〝今までの平賀 才人〟と云う人格を犠牲として、〝升田 真人と云う人物の記憶が有る平賀 才人〟が誕生した。
「風呂、入らないとな」
パジャマの変わりに来ていたジャージが、先程の頭痛を起こしていた時に出ていた脂汗を吸ったのかビショビショになっていて凄く不快なので、シャワーを浴びる事にした。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
シャワーから上がった俺は〝平賀 才人〟であった時の記憶から、現在自分が置かれている状況を整理する。
「まず、名前は平賀 才人。年齢は10歳になって1ヶ月と云ったところ。両親は現在、仕事で留守。今は朝だが、今日は休日で小学校は休みなので、ゆっくり出来る。……大体こんなところか」
「……次は特典だな」
神様謹製の特典のお陰なのか、ミネルヴァさんの言っていた通り、“有言実行”をどうやって使えばいいのか、手に取る様に判る。
「んー、こんなモンか? ……〝俺は“腑罪証明”が使えるし、使い方も判る〟」
物は試しにと、“有言実行”を行使しながら言うと、次第に“腑罪証明”の使い方が頭に流れ込んでくる。
「後は試しだな。……“腑罪証明”」
試運転に我が家のキッチンをイメージしながら“腑罪証明”俺の居場所が寝室からキッチンに変わるを察して、俺は確信する。
「よし、成功。とりあえず部屋に戻るか。……“腑罪証明”」
――~~♪ ~~♪ ~~♪
部屋に戻ると升田 真人が生前使っていたケータイが鳴っていた。……鳴っていたのは良い。ただ疑問が有るとすれば……
(このケータイが有るのはミネルヴァさんのお陰だとして、何で着信音が【B○rn t○ be wild】なんだよ)
着信音に設定した覚えの無い音楽に戸惑いながらも、ケータイを取るとメールが来ていた様だ。……すぐにそのメールを開く。
――――――――――――――
升田 真人改め、平賀 才人へ
このメールを開いていると云う事は、無事に転生出来たようじゃな。
授乳プレイを受けてもらうのは忍びなかったので、憑依という形を取らせてもらった。……まぁ、授乳プレイをしたかったのなら謝罪しよう。
その世界は【ゼロの使い魔】と云う世界で軽くネタバレすると、お主は数年後に〝ハルケギニア〟と呼ばれる異世界に召喚される。……あ、巻き込まれるのはほぼ確定だから頑張ってくれ。
最後に、もう一度だけ言わせてくれ。……お主の人生に幸多からんことを。
ミネルヴァより
PS.このメールはお主のケータイと共に消滅するので悪しからず。
――――――――――――――
「色々と突っ込みたいところは多分にあるけど、とりあえずは有難い」
授乳プレイなんて恥辱、思い浮かべただけでも憂鬱になるので、そこら辺を慮ってくれたミネルヴァさんには、ただただ感謝の言葉が出るだけだった。
消えるケータイをを見送った俺は、自分の魔改造を続ける。
「〝俺はFF系統の魔法を使えるし、使い方も判るし、使いこなせる〟」
……こんな調子で“有言実行”で【めだかボックス】の“完成”【Fate】シリーズの“王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)”、【金色のガッシュ】の“答えを出す者(アンサー・トーカー)”、DQ系統の魔法を会得した。
SIDE END
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
SIDE 平賀 才人
「長かった。漸く次の段階に進める」
升田 真人としての意識を取り戻した日から数日。俺は“完成”でただひたすらに【めだかボックス】に出てきたスキルを〝完成〟させた。
「問題は“王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)”なんだよなぁ。……何で宝具の射出が出来ないかな?」
升田 真人であった時に使っていたものばかりが出てくるので、不審に思いそこで初めて“答えを出す者(アンサー・トーカー)”で確認する。
「何々? ……〝中身は所有者の財の量に準ずるので、使用者の財があればあるほど強力な宝具になるのは言うまでもなないが、逆に財を持たない者がこれを使ってもあまり意味がない〟……と云う事は、この“王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)”はただのデカイ倉庫になっただけ、だと。……まぁ良いか」
【Fate】についてあまり識らかった俺は軽く落ち込むが、物を収納出来る倉庫が出来たので、これはこれで善しとした。
「……それにしても、〝神器(セイクリッド・ギア)〟か。……欲しいな──あ」
〝倉庫〟に入っていた【ハイスクールD×D】を飛ばし読みしながら呟くと、俺の頭の中でナニかが弾ける音がした。
「欲しいなら取りに行けば良いじゃないか。〝あのジジイ〟の能力なら〝神器(セイクリッド・ギア)〟も抜けるだろうし」
俺は辟易しながらも“有言実行”を行使する。
「〝俺は【烈火の炎】の幻獣朗の能力が使えるし、使い方も判る〟……後の問題は〝誰〟から、そして〝何〟を抜くかだな」
思い浮かぶのは【ハイスクールD×D】の主人公である兵藤 一誠の“赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)”を始めとした“魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)”に“絶霧(ディメンション・ロスト)”……どれか1つに絞りたいところだが──
「まぁ、とりあえず欲しい物は集めるか〝力〟は有りすぎてもあまり困りはしない」
……尤も、俺自身に自分の〝力〟を使いこなせれば──との注釈は付くが
「往く場所は〝リアス・グレモリーにも、ソーナ・シトリーにも──いや、他のどんな悪魔にも救われない堕天使レイナーレに殺されてしまった、“赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)”を持つ兵藤 一誠の元〟……こんな感じでいいか」
場所を正確にイメージした俺はスキルを使う。
「“腑罪証明”」
“腑罪証明”は〝好きな時〝に、〝好きな場所〟にいることが出来るスキル──それはつまり、【ハイスクールD×D】の平行世界に往くことが出来る訳で……
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「往けたよ」
俺の眼前では兵藤 一誠が──だったモノが腹部から血を流しながら、横たわっている。
「さてと、急がないと」
早くしないと、死体から〝神器(セイクリッド・ギア)〟が離れてしまうので、俺は幻獣朗の心霊医術を用いながら兵藤 一誠の身体に手を埋め込む。
「……うっぷ」
(我慢我慢。……あった、これか)
死体をまさぐっていると云う何とも言えない気分と吐き気を堪えながら兵藤 一誠の身体の中をまさぐっていると、力強いオーラを感じた。……十中八九、これが“赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)”だろう。
「ふんっ!」
一気に兵藤 一誠から手を引っこ抜くと、そこに有ったのは赤い光を発する球体。……俺はそれを壊れ物を扱うよう丁寧に自らの身体へて埋め込む。
「第一目標、クリアー。あとは事後処理か。……“大嘘憑き(オールフィクション)”」
俺は兵藤 一誠の遺体の側に近寄り、“大嘘憑き(オールフィクション)”で〝死亡〟と、死亡の要因である〝傷〟、レイナーレ──天野 夕麻の〝記憶〟を〝無かった〟事にした。
「……平和な──悪友達とバカ騒ぎ出来る日常に戻ると良い」
こうして俺は同じ要領で、“魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)”に“絶霧(ディメンション・ロスト)”を手に入れた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「これが……“ゴロゴロの実”」
【ONE PIECE】の何処かの海、何処かの島。〝誰の手にも渡っていない“ゴロゴロの実”の目の前〟“腑罪証明”で転移してきて、手に入れた“ゴロゴロの実”を眺める。
「……っ!!? 不味っ!!」
一口サイズにして口に入れると、〝それ〟は名状し難い冒涜的な味で俺の口の中をその風味が余すところ無く蹂躙した。
――バチッ
名状し難い冒涜的な味に百面相をしていると、俺の身体から静電気程度ではあるが、電気が迸る。
「〝神器(セイクリッド・ギア)〟に続いて、〝これ〟も修行しないとな」
この時俺は、〝神器(セイクリッド・ギア)〟の練習を先にやれば良いことに気がつかなかった。
SIDE END
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