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久遠の神話

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第百三話 幻術の終わりその九

「味だけでなく」
「栄養的にもですね」
「いいですね」
「カレーは優れた料理です」
 朝食としてもだというのだ。
「それも非常に」
「そうですね、カレーは」
「確かに素晴らしい料理です」
 使用人達も主の言葉に応えて言うのだった。
「ただ味がいいだけでなく」
「エネルギー補給にも最高です」
「ですから」
 朝にカレーを食べることはというのだ。
「頂きたいです」
「それでなのですが」
 シェフがここで彼にこう言ってきた。
「今朝のカレーですが」
「我が国のものでなく」
「はい、日本のです」
「チキンカレーです」
「それですね」
「日本のカレーではポピュラーなものです」
 そのチキンカレーはというのだ、マガバーンもヒンズー教徒なので牛肉は駄目だ。それでチキンカレーなのだ。
「それを作ってみました」
「これまでも食べたものですが」
「はい、このチキンカレーはです」
「また違いますね」
「お召し上がりになって下さい」
 それは食べてからというのだ。
「これより」
「わかりました、それでは」
 マガバーンもシェフの言葉を受けてだ、そのうえで。
 実際に日本の洋食のしきたりで今は指ではなくスプーンでそれを食べた。そうして一口食べてからこう言った。
「鶏肉はヨーグルトで柔らかくしていますね」
「はい、軍鶏の肉を」
 そうしたとだ、シェフも答える。
「そうしたものです」
「そして人参や玉葱、馬鈴薯も」
「全て日本のものです」
「そしてですね」
「カレーのスパイスもです」
 それもだというのだ。
「一から作りましたが」
「それも全てですね」
「日本のものです」
「つまり全てですね」
「米もです」
 カレールーをかけているそれもだというのだ。
「日本のコシヒカリです」
「あの有名な米ですね」
「それにしました」
「カレーはインドの料理ですが」
「全て日本のものにしました」
 素材は、というのだ。
「そして作り方も」
「つまりこのカレーは」
「カレーはカレーですが」
 このことは事実だ、しかしだというのだ。
「日本のものになります」
「つまり我々が言う」
「そうです、面白い和食です」
 それがこのカレーだというのだ、インド人から見れば日本のカレーはインド料理ではなくそうなるのである。
「それを作ってみました」
「そうですね、確かにこの味は」
「無論ヨーグルトもです」
 軍鶏の肉を柔らかくさせたそれもだというのだ。
「日本のものです」
「それですね」
「素材は厳選しました」
 日本のヨーグルトの中でも、というのだ。 
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