東方変形葉
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変化と不変の入り乱れ
東方変形葉13話「ドリアンの恐怖・・・じゃなくって、永遠亭の愉快な仲間たち+α」
前書き
紫「ハロー」
裕海「あ、紫。また差し入れ?」
紫「ええ。今度はこれよ!!」
裕海「・・・なにこれ?」
紫「あれ、裕海知らないの?外の世界の食べ物なんだけど。」
裕海「外の世界なら何でも知ってるわけじゃないよ。で、この妙に臭う、棘がすごいこの果物っぽいものは何?」
紫「ドリアン。」
裕海「ああ・・・ああ!!果物の王様と言われているあの!!」
紫「そうそう、甘みが強いし、栄養も満点というなかなかのものよ。すごいくさいけど。」
裕海「たしかアルコールと一緒に食べたらだめなんだっけ。」
紫「そうかもしれないけど、たしか迷信だった気がするわよ?」
霊夢「邪魔するわよ~ってくさっ!!ちょっと、紫?いい加減お風呂ぐらい入りなさいよ。」
紫「なんで直球で疑われるのかしら・・・あと、毎日ちゃんと入ってるわよ!いつも入ってないような言い方しないでよ。」
霊夢「で、その怪しい物体は何?」
裕海「ドリアン。」
紫「ドリアンよ。」
霊夢「そーじゃなくって。」
裕海「臭いさえなければ完璧な王様なんだけどな。」
霊夢「味は美味しいの?」
紫「もちろんよ!!甘くて栄養たっぷりなのよ!!」
霊夢「じゃあこれ、スペカで使おうかしら、神霊『ドリアン封印』とか・・・」
裕海「できることなら、一生使ってほしくないな。」
紫「・・・ええ。」
霊夢「自分で言ってて、気持ち悪くなったわ・・・」
魔理沙「お~い裕海、キノコ狩りにくさっ!?」
味こそは美味しかったが、あの臭いはしばらく部屋に充満していたので、さすがに耐えきれなかったので臭いを消滅するように変化させた。そういえば永遠亭と冥界には配達以来足を踏み入れていないことに気が付いた。宴会のことを伝えた時はスキマ越しだったから、足をつけてはいなかった。というわけでどっちかに行こう。そうだな・・・じゃあ永遠亭に行こうかな。スキマを開いてその中に入る。
―永遠亭―
大きな屋敷に着いた。後ろにある竹林は、かなりめんどくさい構造になっている。そういう時にスキマがあるというのは、便利なことだ。あれ?誰かの足音が聞こえる。
「あれ、てゐとメディスンじゃないか。」
「あっ裕海だ~っ!ひさしぶりだね~!」
「ああ、3日ぶりだね。」
宴会から三日。みんな二日酔いになっていたが、もうすっかり治ったようだ。
「裕海、永遠亭に何か用かい?」
「いいや、そういえば全く来ていないなとおもってね。メディスンは何しに来たの?」
「ここの薬師さんが私の毒を必要にしてるんだって。」
ああ、きっと毒かな?種類にもよるが、毒は薬を作るうえで重宝させるらしい。
「あ、そういえば師匠は人形師もいつか連れて来いと言ってたからちょうどいいね。いらっしゃい、裕海。」
「ああ、じゃあ早速上がらせてもらうよ。」
「あ、そっちは・・・」
「うわあああああああああっ!?」
深い穴にはまり、予想外の出来事に意識を手放した。
「1ケ月かけて作った10メートル落とし穴があるの・・・」
「わあ~っ!?早く助けないとっ!」
「あ、気を失ってる。さすがに体は人間だったのね。」
「う、うう~ん・・・」
「あ、気が付いたかしら?ごめんなさいね、うちのてゐが迷惑をかけちゃって。」
俺が寝ている横に、・・・どこで売ってんのその服と聞きたいくらいおかしな服を着ている永琳がいた。なにさ、あの赤と青の服は。
「あ、ああ、薬剤師さん。いや、気にしてないから大丈夫だよ。」
「そう、ならありがたいけど。気絶していただけだから寝かせただけよ?何か体に異常があったら言ってちょうだい。」
「ああ、ありがとう。」
まあ、服のことは置いておこう。
「それで、少しあなたに話があるのだけど。」
「ん?何?」
そのとき、障子が開いた。誰だろう。
「あっ裕海さん。起きたのね。」
「ああ、鈴仙か。」
「ちょっとうどんげ?空気ぐらい読んでから入りなさい。」
「いやいやいや、無茶を言わないで下さいよ。ああ、あの話をしようとしていたのですか?」
「そうよ。で、その話なんだけど。」
そのとき、また障子が開いた。
「あ、ゆ~うみ~、もう大丈夫なの?」
「あ、メディスン。もう大丈夫だよ。」
「・・・こほん。それで話というのは・・・」
そのとき、またまた障子が開いた。
「あっ裕海。ごめんね、もう大丈夫?」
「ああ、大丈夫だよ。」
「・・・っもう!話ぐらい早くさせなさいよ!!」
幻想郷名物『なかなか話をさせてくれない』。これは主に力をもった者が被害を受ける。そしてその被害者の威厳を根っこからもぎ取ってしまうという、謎で恐ろしくもあるこの流れ。・・・何を考えているんだ、俺。
「・・・で、あなたにはここで少し働いてもらいたいの。あなたの能力を応用して最高の薬を作りたいから。」
そうか、変化は時に有益と化し、有害と化す。そして俺の力なら、有益な変化を行えるからか。
「ああ、なるほど。そういうことなら別にかまわないよ。職が人形作りだから、どうも暇がすごいできちゃうからね。」
「えっ、裕海って人形作りの達人だったの?どうりで前にもらった人形は違和感なくできてるのね。」
メディスンが言った。
「いや、達人ってほどじゃないけどね。」
「あら、兎の人形も作ればいいのに・・・」
てゐがつぶやいた。動物の人形か、そうか。
「あ、なるほど。その発想はなかったよ。じゃあ今度は動物の人形も作ろうかな。」
「それで、いまからあなたの能力がどのぐらいまで応用できるか試したいから、ちょっと来てもらえるかしら。」
「ああ、いいよ。」
そういって、永琳の後を追う。
「あ、あなた達も来なさい。」
「はーい。」
「はい、師匠。」
「は~い!」
だれがどう見ても怪しげな実験室に来た。この瓶はなんだろう?『一瞬で気分が有頂天までいく薬』?・・・これって危ない薬じゃないのか?
「大丈夫よ。依存成分は入っていないから。」
「そんなのできるのか。」
依存成分のない快楽薬なんてできるものなのか?
「じゃなくって実験よ。まず、この薬の無駄なものを排除させることはできるかしら?」
「ん、やってみる。“消滅への変化”」
薬が反応したのか、少し不自然に揺れてみせる。早速永琳がそれを手に取り、成分を調べる。
「・・・なるほど、この成分があの成分の邪魔をしていたのね。想像もつかなかったわ。」
「無駄なものは無くなった?」
「それは使ってみないとわからないから・・・うどんげ、姫様を呼んでちょうだい。」
「はい。」
「・・・?あの人を呼んでどうするの?」
いかにも暇そうな人だ。前にあったが、「眠い」の一点張りだったので会話にならなかった。
「実験台よ。・・・ん?ああ、私も姫様も死なないから大丈夫。」
死なないって、それだったら自分にやったらいいんじゃ・・・
「姫様はいま、腹痛気味なの。不死身だけどね。あれは腹痛薬なのよ。」
「へえ?そうなんだ。」
心を読んだかのように答えた。
「この前の宴会で、がばがば暴食、暴飲してしまってね。」
ああ、なるほど。それで胃がおかしくなるのも無理はない。不死だけど。
「師匠、連れてきました!!」
「うぅ~、おなかいたいぃ~。」
「姫様、この子が作った薬です。何かあったらこの子に言ってください。」
待て!作ったわけでもないし、すごい責任転嫁をしてきた!!しかも真顔で!!
「わかったわ~・・・」
わかんな。頼むから。
「んぐっ・・・あら?お腹痛くない。」
「でしょう!?」
でしょうじゃない。責任転嫁からさらに一転、私が作ったといわんばかりだ。手のひら返しを何回するつもりだ?
「さすが永琳ね!!えーりん!!」
もうどこから突っ込めばいいかわからなくなったわ。おお怖い怖い。
「ふむ、この変化ができるのならあれもできるかも・・・」
「あれって?」
「そう。言うなれば、精神治療の薬よ。」
「・・・ごめん、まだ人の心とかを操るような変化はまだ操れないんだよ。今それの修行をしているんだけど、なかなかうまくいかなくて。」
そう、心を操るほどの力も感覚もない。
「あら、そうなの。じゃあここにきて修行するといいわ。ここなら兎もたくさんいるし、精神をいじることができる鈴仙もいるから、きっといい修行になるでしょう。」
「そうなんだ、じゃあそうしようかな。」
「よろしくね、裕海さん。」
鈴仙が微笑んでくれた。
「薬師さん、私はどうすればいいの?」
メディスンは、しばらく自分の周りをうろついている人形に話しかけていたが、我に返って永琳にやることを聞いた。
「う~ん、あなたはあらゆる毒を操れるわよね?」
「うん、ある植物毒で人を操ることもできるよ。」
なにそれ、怖っ!?
「なら話は早い。鈴蘭だけでもいい薬は作れるけど、それならもっと心強いわ。必要になったら呼ぶから、その時はてゐに送迎を任せるわね。」
「うん、この因幡の素兎におまかせあれ!!」
因幡の素兎・・・あっ日本神話の!
「てゐってあの兎神だったんだ。」
「うん。以前、大穴牟遲神様に助けられた、あの素兎様だよ。」
「へ~、日本神話は前に読んだことがあるからよく知ってるよ。」
「じゃあ、2人とも今日はもう遅いから帰りなさい。もう外は暗いわよ。」
外は確かに、もうかなり暗かった。
「え?もうそんな時間?」
「あ、伝えられてなかったの?裕海は約六時間気絶してたんだよ?」
「えっ!?そ、そーなのかー。じゃあメディスンは俺があの丘まで送るよ。」
「うん!」
「うどんげ、あの子たちを玄関まで案内しなさい。」
「はい。」
鈴仙に別れを告げ、スキマを開く。そして無名の丘でメディスンと別れ、俺の家に戻ってきた。のはいいんだが・・・
「ただいまくさっ!?」
なぜか大量のドリアンが部屋にどっさりと積まれていた。そのため、鼻が曲がるほどくさい。紫の仕業か?
「ハローくさっ!?」
「え、紫が積んでいったんじゃないの?」
「さすがにこんなに持ってきてないわよ。」
「じゃあ一体・・・?」
あとで知ったのだが、どうやらやっぱり紫が犯人だった。犯人というか、紫の屋敷で寝ぼけて、俺の家にスキマを開いて、ドリアンが山積みになったという。これにより、家ではスキマを開けないようにする結界を張った。ちなみに俺には能力があるため効かない。さて、明日は冥界に行こうかな。そう思いながら鈴奈庵で借りてきた本を読む。
続く
後書き
13話かきおえました!!近々各キャラの設定資料を公開したいと思っています。では!
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