美しき異形達
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第十話 風の令嬢その七
「何処かの組織がとかな」
「まさか。そんなことはね」
「ないか」
「ないわよ」
裕香も笑って薊に返す。
「幾ら何でも」
「ないか」
「それじゃあ特撮かアニメじゃない」
裕香はその笑顔のまま楓に言うのだった。
「そんなのないわよ」
「組織とかねえか」
「ないわよ、多分ね」
「多分?」
「いや、あの怪人が何処から出て来るのかは全くわかってないから」
それでだとだ、裕香も多分と言うのだった。
「若しかするとね」
「組織とかか」
「うん、少なくともあれだけ色々な怪人が出て来るのってね」
このことからもだった、裕香は考えて言うのだった。
「絶対に自然発生とかじゃないから」
「そもそもあんな怪人涌いて出ないよな」
「それもないわ」
裕香は常識から考えて述べる。
「絶対に後ろに誰かいるわ」
「それは間違いないか」
「何かが出て来るにはそれ相応のものがあるから」
「あの連中にしてもそうか」
「そう、だからね」
このことからだった、裕香は薊に考えながら話した。怪人のことを。
「絶対に、怪人の後ろには誰かいるわ」
「それは間違いないか」
「ただ、組織とかはね」
「ないか」
「そこまではね」
ないだろうというのだ。
「誰かいることは間違いなくても」
「組織はないか」
「多分ね」
こう言うのだった、そしてだった。
そうしたことを話してだった、そのうえで。
裕香は薊の顔を見てだった、そのうえでこう言ったのだった。
「とにかく。今はわかっていないし調べる術もないから」
「だからか」
「考えても仕方ないからね」
「じゃあ別のこと考えるか」
「やることは一杯あるしね」
「そうそう、何かとな」
薊も裕香のその言葉にこう答えた。
「宿題とかテスト勉強とかな」
「学生の本分は勉強よ」
裕香は微笑んで薊に言った。
「薊ちゃん學校の成績の方は」
「赤点はないよ」
それは、というのだ。
「一応勉強してるからさ。あたしも」
「そうなのね」
「赤点取ると後が面倒だろ」
追試なり呼び出しなりある、確かに厄介なことになる。
「だからさ」
「それでなのね」
「一応勉強はしてるさ」
そうだというのだ、薊にしても。
「進学も考えてるしさ」
「八条大学ね」
「そうそう、とはいっても体育が一番好きだけれどさ」
「薊ちゃん体育の成績は」
「いつも五か十だよ」
五段階でも十段階でもだ、最高の評価だったというのだ。
「動くことは得意だしさ」
「そうよね、だからよね」
「ああ、スポーツ推薦も考えてるよ」
「それもいいわね」
薊にしてみればと言うのだった、裕香も。
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