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紫炎の超能力者、彼の地へゆく

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第一話 「後悔」

「おっし! 後は敵陣のクリスタルを各個撃破すれば勝ち確だな」

 楽勝楽勝。もう負ける方が難しいくらい余裕ですわ。
 ランキングだってもう8位だ。
 まあ、毎日やり続けてもう二年だからなあ。

 「お、やっと終わったか。今日はこの辺でログアウトするか」

 もう深夜2時かよ。早く寝よ。





 「ぐふぅ!!」

 突然体に痛みと衝撃が走る。

 「早くおきろ」

 俺に痛みを与えた奴を見ると・・・やっぱり妹か。こいつマジで大嫌いなんだが。

 「とろとろしてんな!」

 「うっ!」

 再び鈍い痛みが脇腹に響く。

 そして奴は部屋を去っていった。毎朝暴力振るいやがっていつか倍にしてかえしてやる。
 俺はそう心に誓った。

 俺は学生服に着替えてすぐに家を出た。

 途中でコンビニに寄ってパンとコーヒー牛乳を買って歩きながら朝食をとる。
 え? なんで家で食ってこないかって? んなもん家族全員が俺のこと嫌いだからな。何故嫌いかはこの後すぐわかるよ。





 学校に着き、教室のドアを開けると今いるクラスの奴らが全員俺を嫌悪の目で見てくる。

 口々に俺への侮蔑や蔑み、罵倒を言ってくる。
 もう一年以上言われてるんだ、さすがに慣れてきたさ。

 「ようカス村君、お前みたいな無能がこの学校に来るんじゃねえ、よ!」

 「うぐ!」

 ちくしょうこいつ鳩尾をいきなり殴って来やがった。

 周りの奴らも倒れた俺を見て馬鹿笑いしている。

 「何をしてるんだ!」

 突然教室に聞き覚えの無い声が響く。
 顔を上げて見てみるとそいつは生徒会長だった。

 「いや~会長おはようございます」

 「そんなことはどうでもいい。なぜ彼がそこで倒れて顔に痣ができているんだ?」

 「それはこいつが急に女子に殴りかかろうとしたんでそれを止めていたらこっちにも殴りかかってきたので自衛のためにしたんですよ」

 無駄なクソイケメン皇上 高峰が下卑た笑みをうかべながら勝手に捏造した嘘を言う。

 「そうなのか守村 悟君」

 クラスの奴らからの無言の圧力にから察するにここでもし真実をいったらただじゃおかないってとこか。

 「はいそうです。僕が勝手にやったことであり、彼の自衛は正しいです」

 「む、そうか。それなら私の口出しできるとこではないな」

 そのまま会長は納得していなさそうな感じで教室を出て行った。

 その後彼らは超能力を使って俺に暴力を振るい続けた。




 「やっと終わったか」

 さて今日の出来事の中で一番大切なところを下校しながら説明していこう。

 まずこの世界は科学技術が発達し、超能力が存在する。
 超能力者個々によってその能力は異なる。
 能力の高さによりランク付けがされている。
 Fランク…ほぼ無能に近い。それ以上能力が上がることもない最底辺。

 Eランク…何かに干渉できる程度。たかが知れている。

 Dランク…モノに干渉して能力をしっかり発現できる。

 Cランク…戦闘において役に立つレベル。

 Bランク…秀才。並大抵のやつなら蹂躙できるレベル。

 Aランク…ほとんどの奴をフルボッコにできる。ただし能力による。

 Sランク…世界に10人しかいない。10人で戦争を終結させた。

 Lランク…世界に三人。世界最高レベルであり、単独で国家を複数相手にできる相手にするのもアホらしいレベル。





 因みに俺は世界最低レベルのEですけどね。
 学校では俺一人だ。
 なぜ入学できたかは俺にも分からない。



 でももう俺も限界なんだよな生きるのがね。

 そろそろ終わりにしようかな。

 もう辛いんだ、身体的にも、精神的にも。

 俺は帰宅し、自分の部屋に入り紙に何かを書きはじめる。

 今書いているのは遺書だ。

 これまでのことを洗いざらい書き、親への感謝と同時に罵倒も書く。日頃の恨みや学校のこともすべて書いた。
 書き終わる頃にはもう外は真っ暗になっていた。

 俺は早く起きるためにすぐに寝た。




 翌日。
 俺は朝四時に起き、リビングに昨日書いた遺書を置いた。

 そして家を出て近くの山にある崖へと向かった


 妹視点~

 今日も起きるのが遅い兄の部屋へ行った。

 いつも殴ったり蹴ったりしてたけど今日は普通に起こして今までの事を謝罪するために朝五時に起きた。

 いざ部屋に入って驚いた。

 布団は綺麗に折りたたまれ、部屋はゴミ部屋どころか新築の部屋並みに片付き、掃除されていた。

 急いでリビングへ向かってみると誰もいなかった。

 ふとテーブルに手紙のようなものがおいてあった。

 そこで人生で一番驚いた。

 「なに、これ」

 その表紙にはたった二文字こう書いてあった。

 『遺書』

 と。

 私はそれ読んだ。教科書なんかよりも真剣に読んだ。

 内容はいままでの暴力や暴言の事やいじめの事。
 私の事も書いてあった。最近の事、そして心配しているということも。

 目から涙が溢れているのにも気づかない程にその文章を読み、最後にはたった一言、

 ―――― 皆さんどうかお幸せに

 私は涙を大量に流し、声を抑えて泣いた。

 彼の事は嫌いでは無かった。

 むしろ大好きだった。

 小さい頃から自分を心配し、嫌なことがあってもそれに対して真剣に考えてくれた。

 時には体を張って頑張ってくれた。

 最近は嫌われていたけど。暴力振るってたからなんだけど。

 それだって構って欲しかっただけ。

 行かなければ。まだ間に合うかもしれない。
 場所は遺書に記してあった。

 しかし、



 ついた頃にはもう遅かった。



 そこには彼の学生服の上以外無かった。


 私は声を上げて泣いた。

 喉が張り裂けそうなくらい泣いた。 
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