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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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十四章
  越前×現状

「・・・・ちょっと待って。これはちゃんと奥を取り仕切らないとマズイことになるわよ」

「何が問題なのですか、結菜様」

「どんどん増えると家中の乱れになるから、しっかりと宰領しないと」

「それは正室、側室、愛妾の場合では?失礼ではありますが、久遠様と結菜様は愛妾では?それにひよさんたちも愛妾になるので、関係ないと思われますが」

「あ、そうだったわね。本来なら、久遠が正室で私は側室のはずだけど。私も久遠も愛妾だから、関係ないか。一応説明しときましょうか?桜花に沙紀」

「そうですね。本来なら聞いても関係ない情報ではありますが、この世の決まりごとなら聞いておきましょう。沙紀は簡易ディスプレイで打ち込んで」

私は、腕だけを量子変換で本体の腕を出して、簡易ディスプレイを出してキーボードを取り出した。
実を言うと私はタイピングも得意なので、こういう仕事も昔ありまして。

「では、説明するね。この戦国の世の仕来りとして、一正妻多側室多愛妾多伽係が、奥・・・・閨室の基本になります。本来であれば、ある程度の序列と条件を設定しないといけない。奥の乱れっていうのは、家中のひいては国の乱れとなるの。で、正室は大勢に影響を与える、力のある人限定になる。側室は、一真にとって有用有益な者で身分の高い者になる。愛妾は身分なんか関係なく、一真にとって有用有益な女の子がなるということなんだけど。あと伽役だけど、女の子の素性をきっちり調べないといけない。これが基本的な奥の規定なんだけど。仕来り関係ないわよね?」

「そうですね。この世の仕来りに考えると、正室は奏さんで側室は本来なら久遠様や結菜様、それと一葉様と双葉様もなるはずですが、側室はすでに埋まっています。側室だけで166人いますから。ですので、空いてるのは愛妾、恋人になりますがそこしか空いていないので愛妾止まりなのです。ご理解できましたでしょうか?」

「ええ。今聞いただけで、側室はなぜ空いてないのか理解したわ。でも久遠の手紙にはいつか側室に上がると書いてあったけど」

「それは、我々が元いた世界と言えばよろしいでしょうか。私たちは未来から来た人間です。ですので、そういう仕来りは無くなっているのです。一夫多妻制で、本妻は奏さんですが、隊長は平等に愛しております。奏さんはそれ以上になりますが」

「どういうことですか?まるで本妻一筋って感じなのですが」

「隊長からは口止めをされますが、奏さんより愛してしまうと隊長の記憶から消えてしまうのです」

と言ったら、固まってしまった。それはそうですよ、このことは箝口令ぐらいの禁句でありタブーなことですので。ですが、なぜ正室が奏さんかは分かっていただけたようでした。好きな人から記憶が無くなるのはつらいことです。

「では、もうこの話はお終いにしましょう。越前に向かいますが、詩乃さんは何か言いたそうですね」

「はい。久遠様にお聞きしたい事がございます」

「・・・・越前のことか?」

「御意。我らが識る情報はすでに古くなっているとみるべきでしょう。今の越前の状況が分からなければ、戦略を組み立てることができません」

「うむ・・・・。眞琴からの書状には、何度か越前に向けて草を放っているらしいのだが・・・・」

「誰一人、帰ってこなかったというわけですか」

私は、さっき結菜様が言ったことをデータ化にして保存しといた。腕をまたISの状態にして待機してたけど。

「なるほど。・・・・なかなかの難国のようですね」

「しかし情報は戦において大きな武器となりますわ。何とかして情報を手に入れないとなりませんわね」

と何か考えていたけど、なんか忘れられていますね。我々の武器は何もライフルばかりではありませんから。

「一真様なら、自分一人でも行くと言いますけど」

「ハニーの立場は、一真隊の頭という立場では無くなっていますが」

「桜花さん達が動けないのでしたら、姫路衆から物見を出しましょうか?」

「いや、余計な損害は出したくない」

「では自分が行きましょう」

「それは駄目です。許可できません」

「し、しかしこれが自分の仕事でもありますから・・・・」

「ダメなものはダメです。隊長に代わって言いますが、小波さんは大切な仲間です。今の状況で小波さん一人では行かせられないでしょうというつもりです」

「この身をそこまで・・・・分かりました。ご主人様の代役ですが、命があるまでお側に居させて頂きます」

と言って考え込んでしまったが、本当に忘れているようですね。私たちには衛星カメラと偵察機があることを。

「考え込むのは後にしましょう。今は小谷の眞琴様と合流が大事です」

「うむ。では一真隊、先導を頼むぞ」

「了解しました。ひよさんにころさん。小谷へ出発してください」

「「はいっ!」」

結菜様と合流した私たちは、隊列を整えてから小谷を目指しました。途中、いくつかの村を通り過ぎましたが、やけにピリピリしてましたね。何かあったのかは知りませんが、首を捻りながら私たちは行軍の足を速めました。といっても私である沙紀は、皆さんの近くで立ちながら進んでいます。桜花は再び結衣と一緒に空中からこちらを見ていましたけど。近江街道を北上して、時計を見ると12時を過ぎてました。ようやく、小谷城の全景が見えてきましたね。

「あれ~?ころちゃんころちゃん。あそこに旗が見えるんだけど・・・・」

「どれ?んー・・・・あれは三つ盛亀甲だから、浅井眞琴様の御旗になるね」

「眞琴様の旗ですか?ですが予定では・・・・」

「小谷城で落ち合ったあと、評定を行い、準備を整えてから越前に討ち入る。そういう手筈だったはずだが」

「それなのに小谷近郊まで兵を率いて出てるっていうことは、何かあったってことかしら?」

「さて。合流してみないと何とも言えませんね・・・」

「デアルカ。・・・・沙紀」

「はい。ひよさんところさんは先触れを頼みます。私たちも急いで後を追いますので」

「「了解!」」

で、急いで小谷城へ行くと、先触れをしたので城門に眞琴様と市様がいらっしゃいますね。

「お姉様!」

「お姉ちゃん」

私たちが城門に近づくと、二人が出てきましたが、表情が厳しいですね。隊長は今こちらに向かってると連絡がありましたね。

「眞琴、市。・・・・状況を聞こう」

二人の表情から何かしらの異常を察知したのか、久遠様は姿勢を改めて問いかけました。

「実は先日・・・・」

「越前から江北に、鬼の奴らが群れを成して侵攻してきたの!」

「なにっ!?」

「六日ほど前、越前の国境、賤ヶ岳方面から、鬼の群れが江北に入り・・・・周辺の村を荒らし尽くして、越前に帰って行ったんです」

「それも市たち救援隊が到着する直前で、クルッと方向転換して逃げて行っちゃったの」

「・・・・・統率が取れてきた、ということか?」

「そう思えますね。知恵をつけてきたのでは?もともと素体が人間でしょうし。ですが、今の状況把握が必要ですね」

「誰かある!金柑を呼べ!」

久遠様の命令を受けて、一真隊の一人がすぐに後方の明智衆に向けて走っていきました。おっと、ここで隊長はやっと到着したようですが。いつ登場するか見てますね。あと、この会話を聞いていますね。
今は、状況を聞いているようですね。すると数分後に馬に乗ったエーリカさんが来ました。

「お話は伺いました。越前の鬼は、もう統率が取れるようになってしまったのですね・・・・」

「うむ。・・・・そこにどのような意味があると読む?」

「上級の鬼が存在するというのは、この前の一真様による調べで知ったことですので、今の状況と重ねるといるという証拠でしょう。そして越前内部がその上級の鬼に仕切られ、戦略を持って動くようになったということでしょう」

「鬼が知恵をつけたということか・・・・?」

「分かりません。この前一真様が独自に調査した結果は知っていると思われますが、あの時点でもうもう知恵をつけていたかと。残念ですが、私とて鬼の全てを識っている訳ではありませんから。ですが間違いなく言えることが一つ。・・・・鬼との戦いがまた一段階、困難になったということです。膂力強く、敏捷性高く、凶暴な化け物が知恵を付けたのです・・・・これからの戦いにどれほどの影響があるか」

眉根を寄せて言うエーリカさんの姿が、困難を想像させていると思います。ですが、私たちだって軍人であり統率が取れています。これはもう人間対鬼の戦争という感じですね。

「エーリカさん。ザビエルが越前に居る可能性はあるんでしょうか?」

「それは・・・・可能性としては高いと思います。鬼を使役する者は、上級の鬼よりも更に上の位置。ザビエルが越前に入り、指揮をしている可能性は高いと見て間違いないでしょう」

「ここが切所か、か。しかし鬼の力が増した以上、難しい戦いとなるであろうな・・・・」

「久遠様に進言致しますが、それは考え過ぎだと思われます」

「考え過ぎ?」

「確かに鬼が強くなって大変とか、難しいではなく、手の届く場所に倒すべき敵を捉えたと考えた方がよろしいかと。越前に侵攻することはほぼ確定です。ですが、手強くなったというだけで敵はすぐ近くにいます。そう考えたほうが気楽になれるかと」

実際、私たちIS部隊やMS部隊、それにトレミーでのミサイル攻撃や爆撃なのでやるとすぐに終わります。が、それだとこの世界の武将にとっては、嫌味何だと思います。自分の手で、鬼を抹殺し越前はこの目で見てから自分で取り戻すと。眞琴様もそうおっしゃいますでしょう。それに我々の兵器は、あくまでピンチのときや援護が必要のみ出撃します。それにドウターが現れたら我々の出番なのですから。 
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