久遠の神話
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第百二話 教会にてその六
「ですから貴方の服も」
「切り裂かれただけなのに」
焦げた、毒によってというのだ。
「そうなったのですね」
「そうです」
「一撃でも受ければですか」
「神である貴方でも」
それならばだ、人である彼ならばだった。
「終わりです」
「そういうことですね」
大石も納得した、この戦いはほんの擦り傷でも身体に受ければ彼の敗北だ。そのことをだ。
そしてだ、そのことがわかるとだった、彼は決めたのだった。
「それならです」
「それなら?」
「それならとだ」
その言葉にだ、声も聡美も問うた。
「何か思いついたのですか」
「戦い方が」
「余計な小細工はいりません」
こうだ、大石は礼拝堂の宙に浮かび床に身体を戻したエキドナを見下ろしながら構えを取った。そのうえでの言葉だった。
「最早」
「一撃でも受ければ終わりだからですね」
「そうです」
まさにとだ、聡美に答えた。
「ですから」
「だからですか」
「もう小細工は使わずに」
そのうえでというのだ。
「私の全ての力を込めて」
「一撃にですね」
「闘いを終わらせます」
そうするというのだ、こう話す中でも。
エキドナは再び攻撃を繰り出してきていた、今度は。
その毒に満ちた爪を下から伸ばしてだった、大石の身体を貫こうとしてきた、そこに尾も来て複数の攻撃を仕掛けてくる。
その中でだ、こう言うのだった。
「余計な攻撃はいりません」
「一撃で、ですか」
「一撃で倒されるのなら」
それならというのだ。
「一撃で終わらせます」
「そうされるのですか」
「風、この力を」
まさにというのだ。
「全て注ぎ込み」
「そうしてですね」
「私はこの闘いに勝ちます」
「では見せてもらいます」
聡美は宙でエキドナの爪と尾をかわし続ける大石に対して下から言った。
「貴方の勝利を」
「一撃ではなくですか」
「はい」
大石に微笑みを向けてだ、そのうえでの言葉だった。
「そうさせてもらいます」
「そうですか」
「はい、そうです」
まさにと言うのだった。
「私にはわかっていますから」
「私が勝つことを」
「そうです」
「そうですか、では」
「見せて頂けますね」
「そうさせてもらいます」
大石もこう聡美に返した、宙で敵の攻撃をかわしつつ。
そしてだった、大石はというと。
まずは剣だった、そして。
剣だけでなくだ、さらにだった。
全身にだ、風をまとわせてだった、身体全体に台風もかくやというまでの凄まじい風をまとわせてそうしてだった。
怪物に体当たりの様に突っ込む、その速さは。
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