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久遠の神話

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第百二話 教会にてその二

「貴方にとって」
「そしてそれがですね」
「また戦いを終わらせることになります」
 剣士の戦い、それをだというのだ。
「そうなります」
「そうですね」
「では」
「はい、心定めは出来ています」
 既に、というのだ。
「何時でも闘えます」
「そうですか」
「ですから」
「後はですね」
 聡美は大石の言葉を聞いて述べた。
「お姉様がここに来られて」
「怪物を出してくればです」
「闘われるのですね」
「それだけです」
 まさにというのだ。
「私は」
「そうですか、それでは」
「はい、ただ場所は」
「そこはどうされますか」
「私は何処でも構いません」
 他の場所でも、というのだ。
「それは」
「そうですか、では」
「何時でもいいです」
 そしてだ、何処でもだというのだ。
「私は闘います」
「貴方の最後の闘いを」
「そうしてです。この無益な戦いを終わらせることです」
 微笑みながらも確かな声での言葉だった。
「私が降りた分でも」
「そうですね。では」
「戦い。そしてです」
 そのうえで、というのだ。
「生き残り降ります」
「そうされますね」
「例えどの様な怪物が出て来ても」
「わかりました。ですが」
「最後であるだけにですね」
「私がこれから出す怪物は」
 大石にだ、ここで差し向ける怪物はというのだ。
「相当な強さです」
「まさに神に匹敵するまでの」
「いえ、神です」
 神話に出て来ただ、オリジナルのそれはというのだ。
「神を出してくるでしょう」
「オリンポスの神々とは別の系統にある神々ですね」
「そうした存在を出してくるでしょう」
「そうですか」
「これまで多くの怪物が出てきましたが」
「ギリシアにおける怪物は」
 神話に出て来た彼等の中には、というのだ。
「神もいましたね」
「そうです、巨人達もまた然りです」
 ギガンテスやキュクロプス達だ、尚聡美達オリンポスの神々にしてもその実は巨人である。無論声の主であるセレネーにしても。彼女はティターン神族だ。即ち巨人である。
「神です」
「そしてその神を倒さなければですね」
「貴方は戦いから解放されません」
「そして戦いも終わりに近付けない」
「生きてはそうなりません」
「私は死ぬつもりはありません」
 微笑んでだ、大石は聡美にこのことは断った。
「まだ。やりたいことがあります」
「貴方の神に仕えることですね」
「はい、そうです」
 その為にだ、彼はまだ生きたいというのだ。 
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