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真夏のSummer good job

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第三章

 気付けばクラスの殆どが参加して海に行くという有り得ない事態になっていた、皆その砂浜で現地集合となった。
 僕は驚いたままでだ、仲のいい男子連中に囁いた。
「どうしてこうなったのか」
「びっくりだよな」
「本当に」
「うん、本当にね」
 正直ここまでなるとは思ってもいなかった、だから今もこう言うのだった。
「信じられないよ」
「まあそれでもな」
「そうした話になったからな」
「だからな」
「こうなったら楽しもうぜ」
「海でな」
「そうだね、それに」
 僕もここは前向きに考えることにした、驚いたままじゃなく。
 それで考えてみると当初の目的まずならないだろうと思っていたそれは果たされている、それも予想以上に。
 これはいいことだった、それでこう皆に言った。
「じゃあ楽しもう」
「ああ、それじゃあな」
「海でな」
 こうしてクラスの殆ど皆で海に行くことになった、勿論男子連中は女の子達の水着姿を堪能出来る。これは最高の展開だった。
 しかし海でだ、僕達は落胆した。何と。
 女の子達は皆だった、折角美人で可愛い娘ばかりのクラスなのに。
 水着は水着だ、だが。
 十九世紀の水着だった、身体をすっぽりと覆ってドレスみたいな。少なくとも今ある水着じゃなかった。、皆その水着だった。
 それでだ、男子は皆砂浜に倒れ込んだ。昭和四十六年の日本シリーズで王さんに逆転サヨナラスリーランを浴びた山田久志さんの様に。
 そうしてだ、こう女の子達に言った、僕が皆を代表して。
「・・・・・・それ何?」
「水着よ」
「見てわかるでしょ」
「・・・・・・うん」
 項垂れたまま女の子達の言葉に答えた。
「よくね」
「似合うかしら」
「どうかしら」
「ノーコメント」
 最早こう言うので精一杯だった、男連中は。
「絶望したよ」
「じゃあ楽しくね」
「色々やって遊ぼうね」
「そうしようね」
 僕は口から魂を出しながら答えた。
「それじゃあ」
「最初は何するの?」
「西瓜割り?それともビーチバレー?」
「それとも泳ぐ・」
「準備体操は忘れないでね」
 僕は気力を振り絞ってこのことだけは言った。
「じゃあ今から」
「皆でね」
「楽しもうね」
「そうしようね、うん」
 僕は無気力のまま答えた、そうして。
 皆でだった、準備体操をしてからだった。
 海を楽しんだ、ビーチバレーに泳いで西瓜割りに。それに砂浜でバーベキューや焼きそばも焼いた。女の子達はとても楽しそうだ。
 だが僕達男組はだ、その色気なぞ宇宙の彼方に放り捨てた女の子達の水着姿を見ているだけでだ、本当に。
 絶望しきった、青い海と空の間で黒く澱んでいた。
 そしてだ、その絶望の中話すのだった。
「海綺麗だよな」
「空もな」
「白い砂浜も雲な」
「太陽なんて金色だぜ」
「眩しいな」
「まさに夏だよ」
「ここはもうな」
 こう話す、世界は夏だ。
 しかしだった、肝心の女の子達の水着を見ると。 
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